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国際結婚で日本人はどこの国の人と結婚しているのか?男女で全然違う相手国

荒川和久独身研究家/コラムニスト/マーケティングディレクター
写真:イメージマート

男女別国際結婚の相手国

前々回の記事で、日本の国際結婚の長期推移についてご紹介した。

参照→日本人男性の国際結婚がピークから6割も減ってしまった背景にある「お金にまつわる悲しくも残酷な話」

今回は、男女で国際結婚の相手国の違いを見ていきたい。

人口動態調査から国別の統計のある1992年から2023年までの推移を男女別相手国比率で表したのが以下のグラフである。

暖色系はアジア諸国、寒色系は欧米及び南米諸国である。

欧米との国際結婚が少ない男性

男性の場合は、長期的に、韓国、中国、フィリピン、タイというアジア系4ヶ国との結婚が多く、特に、1990年代から2010年ごろまで、このアジア4カ国との国際結婚占有率は9割を占めている。最近になってその割合は徐々に減っているが、それでも2023年時点で、この4カ国で約7割を占める。その他の国比率が増えているが、この中にもベトナムなどアジア諸国が含まれている。

対して、女性の場合も上記アジア4カ国が約4割を占めているが、男性ではほとんど見られない米国、英国が多いのが特徴的である。むしろ、日本人男性の国際結婚において、米国や英国の女性との組み合わせはこれほど少ないのかという思いもある。

また、女性ではその他の国の比率も多く、男性より広い選択肢をもって国際結婚をしていることがわかる。

直近の2023年において、男性でもっとも多い相手国は、1位中国28%、2位フィリピン23%、3位韓国・朝鮮10%。一方、女性は1位韓国・朝鮮23%、2位米国17%、3位中国14%となっている。

日本×韓国との組み合わせ男女逆転現象

比率だけのグラフで比較してしまうと、韓国・朝鮮と結婚する割合が男性より女性の方が長期的にずっと高いように見えてしまうが、あくまで比率上の話だけである。全体の婚姻実数は圧倒的に男>女なので、決して韓国、朝鮮国籍の男性と結婚する日本人女性が今まで多かったということではない。

しかし、近年はもこの韓国、朝鮮との国際結婚数は男女で実数としても逆転した。2019年に日本男性×韓国・朝鮮女性1678組に対し、日本人女性×韓国・朝鮮男性1764組と1992年以降ではじめて女性が上回った。

そうした状況は、韓国の統計にも同様に表れている。

韓国統計庁のデータによれば、2024年の日本女性×韓国男性の国際結婚件数は1176件(前年比40%増)で過去10年間で最多だったらしい。逆に、日本男性×韓国女性の組み合わせはたった147件にとどまり、10年前の5分の1にまで減った。

つまりも日本においても、韓国においても、日本女性×韓国男性の国際結婚が日本男性×韓国女性のそれより多いということである。

同じ国同士のカップル減

日本でも韓国でも、日本女性×韓国男性はうまくいって、日本男性×韓国女性は縁がないというのも興味深い。

日本女性と韓国男性がモテるのか、はたまた、日本男性と韓国女性がモテないのか。実は、モテる・モテないの問題ではないと思われる。その検証はいずれ機会を改めて行うとしよう。

ちなみに、韓国男性の国際結婚相手国は、1位ベトナム32%、2位中国17%、3位タイ14%であり、日本は4位。決して日本が一番多い相手国というわけではない。

韓国の場合は、韓国人同士の結婚そのものが激減している中で(近年は多少持ち直したが)、国際結婚数が増えたといっても全体の1割程度に過ぎない。日本においては、そもそも日本人同士の婚姻数も減っている上に、国際結婚数自体も減っている。日本の国際結婚比率は全体の3.9%で最盛期の半分である。

韓国にしても、日本にしても、同じ国同士のカップルが増えない以上、その先にある出生数も増えないということになるのだろう。

提供:イメージマート

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ありがとうございます。
独身研究家/コラムニスト/マーケティングディレクター

広告会社において、数多くの企業のマーケティング戦略立案やクリエイティブ実務を担当した後、「ソロ経済・文化研究所」を立ち上げ独立。ソロ社会論および非婚化する独身生活者研究の第一人者としてメディアに多数出演。著書に『「居場所がない」人たち』『知らないとヤバい ソロ社会マーケティングの本質』『結婚滅亡』『ソロエコノミーの襲来』『超ソロ社会』『結婚しない男たち』『「一人で生きる」が当たり前になる社会』などがある。

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