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新幹線の車内がまるで“居酒屋”に…酔っ払いを黙らせた“おばちゃんの痛快な一言”に周囲の乗客は「助かったね」

朝7時台の新幹線が突然、“居酒屋”状態に

新幹線 車内

※写真はイメージです(J_News_photo – stock.adobe.com)

 車内で禁止されてはいないものの、意外と不快に感じる人も少なくないのが「飲酒」だ。アルコール類は駅の売店や車内販売でも購入可能。旅の楽しみのひとつでもある。だが、周囲への配慮を忘れてはならない。 「乾杯しよーや!」「昨日の接待、あれキツかったなぁ!」  まだ7時台とは思えない声が、新幹線の車内に響く。  平日の朝、出張のため、鹿児島中央から福岡へ向かう新幹線「さくら」に乗車していた大谷拓也さん(仮名)。  多くのビジネスマンが静かにノートパソコンを開いたり、目を閉じたりして、それぞれの時間を過ごしていた。 「通勤時間帯の『さくら』は割と落ち着いた雰囲気で、私もノートパソコンを開いてメールチェックをしていました」  ところが、熊本駅で状況は一変する。スーツ姿の男性グループ6人ほどが座るなり、コンビニ袋から缶ビールとつまみを取り出し、まるで居酒屋のような騒ぎっぷりで宴会を開始したのだ。  男性グループの声は大きく、おつまみの匂いも車内に広がった。周囲の乗客は明らかに不快感を示している。大谷さんの隣に座っていたOL風の女性もハンドバッグからマスクを取り出し、匂いを避けるように顔を背けた。 「すでに酔っているのか、声も大きく、まるで居酒屋のようなテンション。しかも、おつまみの匂いが強烈で、さすがに周囲の乗客も顔をしかめていました」

「ここは居酒屋じゃないのよー!」一瞬で凍りついた車内

 誰もが不快に思いながらも面倒を避けようと我慢していた。状況を変えたのは、60代くらいのおばちゃんだった。グレーの短髪に落ち着いたワンピース姿のそのおばちゃんは、前の席から立ち上がり、宴会グループに向かって毅然とした態度でこう言った。 「ちょっとー!ここは居酒屋じゃないのよー!」  その一言で車内の空気は一変した。 「一瞬で空気が凍りつきました。笑っていた彼らの表情が引きつり、缶ビールを持っていた男性は手を止め、コンビニ袋をガサガサと慌てて閉じ始めました」  小声で「すみません……」とつぶやいたのは一人だけ。他のメンバーはうつむいたまま、黙々と缶をしまい、おつまみを片付けていた。おばちゃんはそれ以上何も言わずに席に戻った。  その後、車内は嘘のように静かになった。博多に到着するまでの間、彼らはスマホをいじったり、目を閉じたりして、二度と声を上げることはなかった。  車内のどこかで「言ってくれて助かったね」と小さな声が聞こえ、大谷さんも思わずうなずいてしまったという。
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「身内から見ても不愉快だった」
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編集者・ライター・旅行作家。取材や執筆、原稿整理、コンビニへの買い出しから芸能人のゴーストライターまで、メディアまわりの超“何でも屋”です。著書に『海外アングラ旅行』『実録!いかがわしい経験をしまくってみました』『10ドルの夜景』など。執筆協力に『旅の賢人たちがつくった海外旅行最強ナビ』シリーズほか多数。X(旧Twitter):@gold_gogogo

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