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【万博】中国パビリオン壁面の漢文

2025大阪関西万博の中国パビリオンの壁に書かれた漢文が何と書いてあるのか気になったので調べてみました。

自分で撮影した写真とバーチャル万博のスクリーンショットをソースにしています。(見づらくて申し訳ない)
現代訳追加しました。
→6/9現代訳追加しました。

全部で76文あって多いので、気になるところへジャンプされることをおすすめします。

9月に再度万博に行くことになりましたので、確認できていない庭園のほうも記事に追加する予定です

入口側

こちらは四書五経などからの引用が多めな印象です。

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入口側は3分割で紹介していきます

入口側右

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1~12まで

1. 上善如水 水善利万物而不争

  • 出典:『老子』

  • 書き下し文:上善は水の如し 水は善く万物を利して而も争わず

  • 意味:最高の善は水のようなものである。万物に利益を与えながらも、他と争わず器に従って形を変え、自らは低い位置に身を置くという水の性質を、最高の善のたとえとしたことば。[デジタル大辞泉]

2. 万物並育而不相害 道並行而不相悖

  • 出典:『礼記』中庸

  • 書き下し文:万物並び育(やしな)われて相害(そこな)わず 道並び行われて相悖らず

  • 意味:万物は互いに害を与えることなく共に成長し、すべての道は互いに矛盾することなく並行する。宇宙・自然界の調和を表したことば。多様性の尊重や国々の協力の重要性を言う場面で引用されたりする。

3. 徳不孤 必有隣

  • 出典:『論語』里仁

  • 書き下し文:徳は孤ならず 必ず隣あり

  • 意味:徳がある者は孤立することがなく、理解し助力する人が必ず現れる。[デジタル大辞泉]

4. 大道之行 天下為公

  • 出典:『礼記』

  • 書き下し文:大道の行われるや 天下を公となす

  • 意味:大道の行われる世では天下は公とされる。政治は公(民衆)のためにある。

5. 天行健 君子以自彊不息

  • 出典:『易経』

  • 書き下し文:天行健なり 君子以て自ら彊(つと)めて息(や)まず

  • 意味:天体の運行は、宇宙の誕生以来常に規則正しく動き、太古から現在に至るまで、今まさにこの瞬間も休みなく、整然として正しくめぐり、誠に健やかである。人々の上に立つ君子たるものは、この健やかな天の運行を範とし、自ら努め、学問に励み職務を全うし、怠ることなく規則正しく健全であるべきである。[青海社]

6. 君子務本 本立而道生

  • 出典:『論語』学而

  • 書き下し文:君子は本を務む 本立ちて道生ず

  • 意味:君子はものの根本に力を注ぐものだ。根本がしっかり定まれば、その先の道はおのずから開けるものだ。

7. 観乎天文 以察時変 観乎人文 以化成天下

  • 出典:『易経』

  • 書き下し文:天文を観て以て時変を察し 人文を観て以て天下を化成す

  • 意味:天文を観て時(四季)の変化を明らかにし、人の動きを観て天下の人々を教化育成する

8. 学而不思則罔 思而不学則殆

  • 出典:『論語』為政

  • 書き下し文:学びて思わざれば則ち罔(くら)し 思いて学ばざれば則ち殆(あやう)し

  • 意味:広い知識を身につけても、自分でそれについてよく考えなければ、本当に理解することはできない。ひとりで考えるばかりで、広い知識を身につけようとしなければ、独断に陥る危険がある。[故事成語を知る辞典]

9. 有朋自遠方来 不亦楽乎

  • 出典:『論語』学而

  • 書き下し文:朋遠方より来たる有り また楽しからずや

  • 意味:遠いところから志を同じくする友人がわざわざ訪ねてきてくれるのは、なんと楽しいことだろう。[故事成語を知る辞典]

10. 三人行 必有我師焉

  • 出典:『論語』述而

  • 書き下し文:三人行けば 必ず我が師有り

  • 意味:三人で一緒に行動すれば、ほかの二人の中に、必ず自分の参考にできる人がいるものだ。他人の行動の中には、必ず自分の参考になるものがある。[故事成語を知る辞典]

11. 知者楽水 仁者楽山

  • 出典:『論語』雍也

  • 書き下し文:知者は水を楽しみ 仁者は山を楽しむ

  • 意味:知恵のある賢い人は、水が流れるように才知を働かせ滞ることがないから、水を好んで楽しむ。仁徳の備わった人は、欲に動かされず心が穏やかでゆったりとしているので、おのずから安定したどっしりとした山を愛するものであるということ。

12. 己欲立而立人 己欲達而達人

  • 出典:『論語』雍也

  • 書き下し文:己立たんと欲して人を立て 己達せんと欲して人を達す

  • 意味:自分がある地位に立ちたいと思えば、まず人をその地位に立ててやり、自分が目的を遂げようと思うときは、まず人を助けて目的を遂げさせる。仁徳のある者は事を行うのに自他の区別をしないことをいう。[デジタル大辞泉]

入口側中央

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13~28まで

13. 與朋友交 言而有信

  • 出典:『論語』学而

  • 書き下し文:朋友と交わるに言いて信有り(らば…)

  • 意味:友人と交流するときは、誠実に話し約束を守らなくてはならない。たとえ才能や知識があっても、信用がなければ人から信頼されず、役に立たない。

14. 天地與我並生 而万物與我為一

  • 出典:『荘子』斉物論

  • 書き下し文:天地我と並び生ず 而して万物と我とを一と為す

  • 意味:天地は自分とともに生じた。だから、すべてのものは自分と一つである。

15. 万物各得其和以生 各得其養以成

  • 出典:『荀子』天論

  • 書き下し文:万物は各其の和を得て以て生じ 各其の養を得て以て成る

  • 意味:(前後の文も含めて)星は共に回り、太陽と月は交互に輝き、四季は規則的に巡り、陰陽は互いに転化し、風雨は世界を豊かにする。万物は調和して生まれ、養いながら成長する。その働きは目に見えないが、結果は目に見えている。これを私たちは神と呼ぶ。[共产党员网]

16. 鍥而不捨 金石可鏤

  • 出典:『荀子』勘学

  • 書き下し文:鍥捨てざれば 金石鏤(きざ)むべし?

  • 意味:(刻んで途中で止めれば、朽木でも折ることはできないが、)途中で止めなければ、金属や石でも細工することができる。途中で諦めずに最後までやり遂げること。[Wikitionary日本語版]

17. 謀度於義者必得 事因於民者必成

  • 出典:『晏子春秋』内篇諫上

  • 書き下し文:?

  • 意味:道徳に従って計画する者は必ず成功し、民意に従って行動する者は必ず成功する。[人民网]

18. 海不辞水 故能成其大

  • 出典:『管子』形勢解

  • 書き下し文:海は水を辞せず 故によく其の大を成す

  • 意味:海は水が流れてくるのを辞退しないから、あのように大きくなったのである。

19. 桃李不言 下自成蹊

  • 出典:『史記』李将軍列伝

  • 書き下し文:桃李もの言わざれども 下自ずから蹊(みち)を成す

  • 意味:桃や李の木の下には、実の美しさに惹かれて集まってくる人たちにやって自然に道ができてしまうように、高徳な人のまわりには自然に人が集まって来るということ。[四字熟語辞典]

  • 注:成蹊大学の名前の由来

20. 非学無以廣才 非志無以成学

  • 出典:『誡子』(諸葛亮の著書)

  • 書き下し文:学ぶにあらざれば以て才を廣むるなく 志あるにあらざれば以て学を成すなし

  • 意味:学ばなければ、才能を高めることはできず、志がなければ、学ぶことがてきない。

  • 注:パリピ孔明にもこのセリフが出てくるらしい?

21. 草木植成 国之富也

  • 出典:『管子』立政

  • 書き下し文:草木植成するは 国の富なり

  • 意味:国土に草木を植え育てることは、国の富となる。

  • 注:『管子』の国の繁栄を図る5つの基本原則のうちの一つ

22. 相知無遠近 万里尚為隣

  • 出典:張九齡『送韋城李少府』

  • 書き下し文:相知に遠近無く 万里なお隣たり

  • 意味:友情に距離は関係ない。

23. 衆力並 則万鈞不足挙也

  • 出典:『抱朴子』

  • 書き下し文:衆力並べば則ち万鈞挙ぐるに足らず

  • 意味:多くの力が集まれば、どんなに重いものも持ち上げられる

  • 注:鈞は古代中国の重さの単位。1鈞=30斤

24. 和羹之美 在於合異

  • 出典:『三国志』魏書諸夏侯曹伝(夏侯玄伝)

  • 書き下し文:そもそも羹の美いは和 異なるを合わせるに於いて在り

  • 意味:羹(スープ)の美味しさは、異なる材料を合わせた味の調和にある。

25. 図之於未萌 慮之於未有

  • 出典:『易経』系辞下

  • 書き下し文:?

  • 意味:起こる前に計画し、起こる前に考える。国家が安定しているときには危険を恐れず、国家が存続しているときには失敗を忘れず、国家がうまく治っているときには混乱を忘れてはならない。[人民网]

26. 志合者 不以山海為遠

  • 出典:『抱朴子』

  • 書き下し文:志合う者 山海をも遠しとせず

  • 意味:志を同じくする人々は、山や海を隔てていてもそれを遠いとは思わない。

27. 順天時 量地利 則用力少而成功多

  • 出典:『斉民要術』

  • 書き下し文:天時に順い 地利を量れば 則ち用力少なく成功多し?

  • 意味:天時に順い、地利を計算すれば、人力を使うことが少なくて効果が多い。[立岡裕士 漢籍における地理と地利2024]

28. 青山一道 同担雲雨 明月何曾是両郷

  • 出典:王昌齡『送柴侍

  • 書き下し文:青山は雲雨を同じくし、明月は何ぞ曽て是れ両郷ならん

  • 意味:青山がまとう雲も降る雨も同じで、見上げる月も同じではないか。厚い友情は空間の隔たりを乗り越える。

  • 注:コロナ禍の支援物資に書いてあった漢詩の一節

入口側左

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29~40まで

29. 落其實思其樹 飲其流者懐其源

  • 出典:庾信『徴調曲』

  • 書き下し文:其の実を落とす者は其の樹を思い 其の流れに飲む者は其の源を懐(おも)う

  • 意味:果実を収穫する者はその樹のことを思い、水を飲む者はその源に思いを致せ。[Study-Z] 世話になった恩を決して忘れない。

  • 注:飲水思源という四字熟語の元

30. 欲窮千里目 更上一層楼

  • 出典:王之渙『登鸛鵲楼』

  • 書き下し文:千里の目を窮めんと欲すれば 更に上る一層の楼

  • 意味:この雄大な眺めを千里の彼方まで見極めようとして、更にもう一層上へと登ってみるのである。[関西吟詩文化協会]  学問などを極めようとすれば、更に一層努力するべきである。[白水社中国語辞典]

31. 與君遠相知 不道雲海深

  • 出典:王昌齡『寄驩州』

  • 書き下し文:君と遠く相知らば 雲海の深きを道(い)わず

  • 意味:深い雲海で隔てられていても、君とは深く心が繋がっているから、遠いとは言わない

32. 遅日江山麗 春風花草香

  • 出典:杜甫『絶句二首』

  • 書き下し文:遅日江山麗しく 春風花草香し

  • 意味:日が伸びて江山がいつまでも麗しく見え、春風に乗って花草の良い香りがする

33. 取之有度 用之有節 則常足

  • 出典:『資治通鑑』

  • 書き下し文:?

  • 意味:自然の力で育つものには限りがあり、人の力で作り出すものにも限りがある。ある一定の範囲内で程度に使えば、常に足りるようになる。

  • 意味:フードコートに貼り紙されていることがあるとか

34. 天不言而四時行 地不語而百物生

  • 出典:李白『上安州李長史書』

  • 書き下し文:天言わずして四時行われ 地語らずして百物生ず

  • 意味:天と地は言葉を発することはできなくても、四季は巡り続け、万物は繁栄し続ける。

35. 等閑識得東風面 万紫千紅総是春

  • 出典:朱熹『春日』

  • 書き下し文:等閑に識(し)り得たり東風に面すれば 万紫千紅総て是れ春

  • 意味:春風に顔を向ければすぐにわかる。花が色とりどりに咲きすべて春である

36. 読万巻書 行万里路

  • 出典:董其昌『画禅室随筆』

  • 書き下し文:万巻の書を読み 万里の路を行く

  • 意味:人は本から得た知識以外に、自分の足で旅をして見聞を広めなければならない。

37. 海納百川 有容乃大

  • 出典:林則徐の言葉

  • 書き下し文:海百の川を納め 容の大なる有り

  • 意味:海は無数の川を受け入れるからこそ、あのような大きさを持っている。

  • 注:「海納百川計画」という長安汽車(自動車メーカー)の海外事業計画がある。

38. 志之所趨 無遠弗届

  • 出典:『格言聯璧』学問篇

  • 書き下し文:?

  • 意味:人が高い野望を持っているなら、それがどんなに遠くても、その野望に到達できる。[百度百科]

39. 山重水複疑無路 柳暗花明又一村

  • 出典:陸游『遊山西村』

  • 書き下し文:山重水複路無きかと疑う 柳暗花明 また一村

  • 意味:山に分け入り行き止まりになり途方に暮れた時、柳が木陰を作り花が明るく咲くあたりに1つの村に行き当たる。窮した時に道は開ける。[白水社中国語辞典]

  • 注:四字熟語「柳暗花明」の元

40. 一花独放不是春 百花齊放春満園

  • 出典:『増広賢文』

  • 書き下し文:一花独放是れ春ならず 百花斉放春園に満ちる

  • 意味:一輪の花が咲いただけでは春とはいえない。すべての花が咲いてはじめて、庭全体が春で満たされる。[百度百科]

出口側

こちらは漢詩が多い印象でした。

出口側右

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41~57

41. 幼幼鹿鳴 食野之苹 我有嘉賓 鼓瑟吹笙

  • 出典:曹操『短歌行』

  • 書き下し文:幼幼と鹿は鳴き 野の苹(よもぎ)を食う 我に嘉賓有らば 瑟(しつ)を鼓し笙を吹く

  • 意味:鹿はゆうゆうと鳴き、野のヨモギを食べる。私に賓客があれば、瑟を弾き笙を吹いて迎えよう。[wikipedia]

42. 見賢思齊 見不賢而内自省

  • 出典:『論語』里仁

  • 書き下し文:賢を見ては斉しからんことを思い、不賢を見ては内に自ら省みるなり

  • 意味:優れた人を見たら自分もこんなふうになろうと思い、つまらない人を見たら自分の中に同じようなところがないかと反省する。

43. 長風破浪会有時滄海 直挂雲帆濟滄海

  • 出典:李白『行路難』

  • 書き下し文:長風浪を破る 会(かなら)ず時有り 直ちに雲帆を挂(か)けて滄海を済(わた)らん

  • 意味:今に大風に乗じて万里の浪を乗り越えるときが必ず来る。そのときは直ちに帆をかけて、この人生の大海原を渡っていこう[zenzine.jp]

44. 明鏡所以照形 古事所以知今

  • 出典:『三国志』呉書呉主五子伝孫奮

  • 書き下し文:明鏡は形を照らす所以 古事は今を知る所以

  • 意味:曇りのない鏡は形を映し、歴史上の事実は今を映し出す手掛かりとなる。[デジタル大辞泉]

45. 太上有立徳 其次有立功 其次有立言

  • 出典:『春秋左氏伝』襄公二十四年

  • 書き下し文:太上は徳を立てるに有り 其の次は功を立てるに有り 其の次は言を立てるに有る

  • 意味:一番は徳を立てること、二番目は功を立てること、三番目は言葉を立てること。これを実践できれば死んでも人の心の中で生きられる。

  • 注:立徳、立功、立言を三不朽と言うらしい。

46. 青青子衿 悠悠我心 但為君故 沈吟至今

  • 出典:曹操『短歌行』

  • 書き下し文:青青たる子が衿 悠悠たる我が心 但だ君が為(ため)故に 沈吟して今に至る

  • 意味:青々した君の衿。君のことがかねてより心から離れない。ただ君のことを考え、いつも思いにふけってきたのだ。[wikipedia]

47. 人之相識 貴在相知 人之相知 貴在知心

  • 出典:『孟子』万章下

  • 書き下し文:?

  • 意味:人々が互いを知る上で最も価値のあることは、互いの内面を理解することである。人々が互いを理解する上で最も価値のあることは、互いの心の奥底まで理解できることである。[百度百科]

48. 髣髴兮若軽雲之蔽月 飄颻兮若流風之迴雪

  • 出典:曹植『洛神賦』

  • 書き下し文:髣髴(ほうふつ)として軽雲の月を蔽(おお)うが若(ごと)く、飄颻(ひょうよう)として流風の雪を迴(めぐ)らすが若(ごと)し

  • 意味:(その女神の姿は)薄い雲に覆われ隠れた月のように朧で、風に舞う雪のように軽やかだ。[中国語スクリプト]

49. 采菊東籬下 悠然見南山

  • 出典:陶淵明『飲酒二十首』

  • 書き下し文:菊を采る東籬の下 悠然として南山を見る

  • 意味:東の垣根のところで菊の花を折り取り、ゆったりとした気持ちで南方に見える山を眺め見る。[故事成語を知る辞典]

  • 注:俗世間から離れ、心にもの思うこともなく、自然を楽しんで生きる心境を現すことば。[故事成語を知る辞典]

50. 万物得其本者生 百事得其道者成

  • 出典:『説苑』

  • 書き下し文:?

  • 意味:世界中のあらゆるものがその根源を維持する限り成長することができ、あらゆるものが道徳に従うならば繁栄できる。[中国一带一路网]

51. 盛年不重来 一日難再晨 及時当勉励 歳月不待人

  • 出典:陶淵明『雑詩』

  • 書き下し文:盛年重ねて来たらず 一日再び晨(あした)なり難し 時に及んでは当に勉励すべし 歳月は人を待たず

  • 意味:若くて血気盛んな年頃は再び来ないし、一日のうちの朝も二度と来ない。それゆえに、学ぶべき時によく努め励んで充分に勉強しておかなければならない。歳月は人を待つものではないから、いつの間にか過ぎ去ってしまうのである。[関西吟詩文化協会]

52. 百聞不如一見

  • 出典:『漢書』趙充国伝

  • 書き下し文:百聞は一見に如かず

  • 意味:人から何度も聞くより、一度実際に自分の目で見るほうが確かであり、よくわかる。[デジタル大辞泉]

53. 野曠沙岸浄 天高秋夕明

  • 出典:謝霊運『初去郡』

  • 書き下し文:野は曠く沙岸は浄く 天高くして秋月は明らかなり

  • 意味:野は広がり、砂の岸は続き水はどこまでも清い、そして、天は高く澄みわたり、秋の月は明るく照らしている。[http://blog.livedoor.jp/kanbuniinkai10/archives/67541476.html]

54. 大鵬之動 非一羽之軽也

  • 出典:『潜夫論』釈難

  • 書き下し文:?

  • 意味:大鵬は羽が軽いから高く飛ぶのではない。

  • 注:大鵬は古代中国の創造上の大鳥。翼は三千里、一飛びで九万里上昇する。「荘子」に登場。

55. 天蒼蒼 野茫茫 風吹草低見牛羊

  • 出典:(無名)『勅勒歌』

  • 書き下し文:天蒼蒼として 野茫茫たり 風吹き草低(た)れて 牛羊見(あらわ)る

  • 意味:空はどこまでも青く、野原は果てしなく広がり、風が吹いて草が低くなびくと、平原のあちこちには放牧された牛や羊の姿が現れる。[関西吟詩文化協会]

  • 注:勅勒歌とは、今の甘粛省から内蒙古のあたりに住んでいた勅勒族の民謡

56. 寒来暑住 秋収冬蔵

  • 出典:『千字文』

  • 書き下し文:寒さ来たり暑さ往き 秋収め冬蔵(かく)す

  • 意味:寒さが来れば暑さが過ぎ去る。農家は秋に収穫し冬に(蔵)しまう。[書道広場]

  • 注:『千字文』とは、子供に漢字を教えたり、書道のお手本にするために使われていた漢文。1000字の異なる漢字で書かれている。

57. 河海不擇細流 故能就其深

  • 出典:『史記』李斯伝

  • 書き下し文:河海は細流を擇(えら)ばず、故に能くその深きを就(な)す

  • 意味:河海は一筋の細流たりとも拒まないからこそ、あれだけ深い流れになったのである。人の上に立つ人物も、度量を広くして、多くの人を受け入れるべきだ。[福島みんなのニュース]


出口側左

バーチャル万博のスクリーンショットを使用しました。
かなり見切れていますがご容赦を…

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58~76と★

58. 緑樹村辺合 青山郭外斜

  • 出典:孟浩然『過故人荘』

  • 書き下し文:緑樹村辺に合し 青山郭外に斜めなり

  • 意味:村のはずれは緑の木々が繁り、青々とした山脈が土壁の向こうに斜めに見える

59. 春眠不覚暁 処処聞啼鳥 夜来風雨声 花落知多少

  • 出典:孟浩然『春暁』

  • 書き下し文:春眠暁を覚えず 処処啼鳥を聞く 夜来風雨の声 花落ちること知る多少

  • 意味:春の暁は気候も暖かく、心地よい眠りに夜が明けたのも知らず寝すごしてしまったが、ふと眼をさませばあちこちで小鳥の啼く声がきこえる。そういえば、昨夜は風雨の音がはげしかった。あの嵐で庭の花はさぞたくさん散ったことだろう。[関西吟詩文化協会]

60. 洛陽親友如相問 一片氷心在玉壺

  • 出典:王昌齡『芙蓉楼送辛漸』

  • 書き下し文:洛陽の親友如(も)し相問わば 一片の氷心玉壺にあり

  • 意味:洛陽にいる親友がもし(私のことを)問うたなら、一片の氷のような心(澄んだ友情)を玉の壺に入れている、と伝えてほしい。洛陽にいる友人への伝言。[とっさの日本語便利帳]

61. 深林人不知 明月来相照

  • 出典:王維『竹里館』

  • 書き下し文:深林人を知らず 明月来たって相照らす

  • 意味:奥深い林のことだからこの私の楽しみを誰も知らないであろう。ただ明月だけが、この林のおくまで光をさし込んで私を照らしてくれる。[関西吟詩文化協会]

62. 海上生明月 天涯共此時

  • 出典:張九齡『望月懷遠』

  • 書き下し文:海上明月を生じ 天涯此の時を共にす

  • 意味:海の上に明るい月が昇る。今この瞬間彼ら(友人・家族)もまた同じ月を見ているのだろうか。

63. 空山不見人 但聞人語響 返景入深林 復照青苔上

  • 出典:王維『鹿柴』

  • 書き下し文:空山人を見ず 但人語の響くを聞くのみ 返景深林に入り 復た照らす青苔の上

  • 意味:人影のない、ひっそりとした山の中、誰かの話し声だけがこだまして聞こえてくる。夕日の光が深い林の中に射し込んできて、青い苔の上をふたたび照らしている[関西吟詩文化協会]

64. 莫愁前路無知己 天下誰人不識君

  • 出典:高適『別董大二首』

  • 書き下し文:愁うる莫れ前路知己の無きを 天下誰人か君を識らざらん

  • 意味:このような夕べ、君は別れて遠く旅するのであるが、董大よ、君の行く先に親友がいないなどと心配しなさるな。天下に琴の名手である君の名を知らない人は誰一人としていないのだから。[関西吟詩文化協会]

  • 注:董大は董庭蘭のこと。琴の名手。「大」は排行(諱を直接呼ぶのは失礼なので、代わりに呼ぶための通称。長男長女が大→次男次女が二→三男三女が三…)。

65. 大鵬一日同風起 扶揺直上九万里

  • 出典:李白『上李邕』

  • 書き下し文:大鵬一日風と同(とも)に起ち 扶揺に直上すること九万里

  • 意味:いつの日か大鵬が風に乗って舞い上がり、旋風に頼って雲より上の空に到達する[央视网]

66. 君不見 黄河之水天上来 奔流到海不復回

  • 出典:李白『将進酒』

  • 書き下し文:君見ずや黄河の水天上より来たるを 奔流海に到りて復(また)回(かえ)らず

  • 意味:君も知っていよう、黄河が天から流れ落ちてくるのを。奔流は海に注いで再び帰ることがない。[中国語スクリプト]

67. 山川異域 風月同天

  • 出典:『全唐詩』繍袈裟衣縁(詩の作者は日本の長屋王)

  • 書き下し文:山川域を異にすれども 風月天を同じうす

  • 意味:住むところは違えど風月の営みは同じ空の下でつながっている。[人民中国]

  • 注:コロナ禍で話題となった。鑑真和上にも関係あり。

68. 両岸猿声啼不住 軽舟已過万重山

  • 出典:李白『早発白帝城』

  • 書き下し文:両岸の猿声啼いて尽きず 軽舟已に過ぐ万重の山

  • 意味:両岸に聞こえる猿の声が、絶える間もなく続くと思ううち、軽い小舟は急流に乗って、幾重にもかさなる山々の間を、もう通りすぎていた[wikipedia]

69. 星垂平野闊 月湧大江流

  • 出典:杜甫『旅夜書懐』

  • 書き下し文:星は平野に垂れて闊(ひろ)く 月は大江に湧いて流る

  • 意味:見上げれば満天のほしが広大な平野に降り注ぐ。月光は大河の川面を照らし、揺れる波にまるで湧き立つかのように流れていく[中国語スクリプト]

70. 好雨知時節 当春乃発生

  • 出典:杜甫『春夜喜雨』

  • 書き下し文:好雨(こうう)時節を知り 春に当たって乃(すなわ)ち発生す

  • 意味:恵みの雨は降るべき季節を知り、春になるやここぞと降り始めて万物の成長を促す。[中国語スクリプト]

71. 風翻白浪花千片 鴈點青天字一行

  • 出典:白居易『江樓晩眺 景物鮮奇 吟翫成篇 寄水部張員外』

  • 書き下し文:風は白浪翻す花千片 雁青天に点ず字一行

  • 意味:風が翻した白浪は千片の花弁のようだ。青天を飛んで行く雁の群れは一行の文字のようだ。

72. 随風潜入夜 潤物細無声

  • 出典:杜甫『春夜喜雨』

  • 書き下し文:風に随(したがい)て潜(ひそ)かに夜に入り 物を潤して細やかにして声無し

  • 意味:雨は風に吹かれつつ、人知れず夜も降り続き、ひっそりと音も立てずに万物を潤す。[中国語スクリプト]

73. 山明水浄夜来霜 数樹深紅出浅黄

  • 出典:劉禹錫『秋思二首』

  • 書き下し文:山明水浄 夜来の霜 数樹の深紅浅黄に出づ

  • 意味:秋になり山々は輝き、水は澄んでいる。夜には霜が降り始め、木々の葉は赤や黄色に染まっている。

74. 雲散月明誰点綴 天容海色本澄清

  • 出典:蘇軾『六月二十日夜渡海』

  • 書き下し文:雲散じ月明らかにして誰か点綴せん 天容海色本より澄清なり

  • 意味:雲が散って月が明るく照らす空に誰が微かな雲すら点じることなどしようか、空も海ももともと澄み切って清らかなものだ

75. 乘風好去 長空万里 直下看山河

  • 出典:辛棄疾『太常引』

  • 書き下し文:?

  • 意味:風に乗って空へ舞い上がり、祖国の美しい山々や川を見下ろしたい

76. 苟日新 又日新 日日新

  • 出典:『大学』

  • 書き下し文:苟(まこと)に日に新たに 日々に新たにして 又た日に新たなり

  • 意味:もし本当に一日(身体の垢を洗い流すように、自分の心の汚れを洗い流して)新たにすれば、日に日に新たになり、その上さらに(止むことなく)日々に新たにしなさい[福島みんなのニュース]

  • 注:「苟日新 日日新 又日新」の順番が正しい?

★一花独放不是春 百花齊放春満園

  • 40.と同じ。

おわりに

調べてみての感想。

  • 三国志関係意外とあった。日本人向けにサービスしてくれたのかなー

  • 規則性はなさそう

  • 習近平さんが引用した文章も時々入っている

  • 篆書体の解読が楽しかった。最近は篆書体を判別してくれるAIもあるらしい

  • 授業で習ったりして知ってる文章見つけるとうれしい

誰に需要があるか不明ですが最後までお付き合いいただきありがとうございました。
是非現地で確認してきてください!

現代訳は後日追加予定です。
→6/9に現代訳追加しました。
正直漢詩はこの部分だけ読んでも何もわからないので、気になったものは是非全部読んでみてください




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コメント

4
atsuna0201
atsuna0201

素晴らしいです、ありがとうございます😊

水彩
水彩

atsuna0201さん
読んでいただきありがとうございます!

HbA1c
HbA1c

素晴らしいですね。
ありがとうございました。

水彩
水彩

HbA1cさん
読んでいただきありがとうございます😊

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【万博】中国パビリオン壁面の漢文|水彩
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