夢
私には昔から「ガールズバンドを組む」という夢がありました。ですが、その夢は叶うことなく終わりそうです。私はそもそも男で、作詞作曲や楽器の演奏ができるわけでもなく、女性はおろか同性の友達すらいないからです。こんな私がガールズバンドを組もうだなどというのは、あるいはそれ自体が罪深いことなのかもしれません。
やはり、自分が男だということが一番の障壁だと思います。他の問題については努力次第でどうとでもなったのかもしれませんが、こればっかりはどうしようもありません。Googleで「ガールズバンド」と検索すればよく分かりますが、メンバーに男が一人でも紛れ込んでいればもはやそれはガールズバンドとは呼べないのです。そういうのは「バンド」と言うそうです。
「バンド」では駄目です。「ガールズバンド」でなければならない。そう考えると、私にとっては「ガールズ」になることの方がより本質的な願望であるように思えてきました。しかし、だとしても大きな問題が残ります。ガールズとは英語で書けばgirls、つまり複数形なのです。あるいはgirl'sという所有格だと捉えることもできますが、状況はさして変わりません。もし私が魔法の力などによって少女の姿に変わったとしても、それはガールズではなく「ガール」です。「ガール」では駄目です。「バンド」に比べればいくらかましではありますが、物事の核心はそこにはありません。
そうなると、「ガール」ではなく「ズ」こそが、私が最もなりたかったものだということになります。この結論には自分でも驚きを隠せません。「ズ」とは一体なんなのでしょうか。どんぐりのことでしょうか。お父ちゃんが扇風機でちんこを冷やししなに模写したどんぐりでしょうか。『実家のような安心感』でしょうか。そんなものに憧れて生きるくらいなら、私はこのまま室戸岬から身を投げた方がよほどいいように思われます。
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