嘘の夢の話 8月7日
部屋の中をハエが飛んでいるので、その動きを目で追っている。ハエはやがて窓から外に出て行くが、私はそのハエの視点で眼下に広がる街並みや空を眺めることができる。
遠くに目をやると、紫色の風船のようなものが空にぷかぷか浮かんでいるのが見える。近づいてみるとそれは風船などではなく、人間の臓器のような形と質感の何かグロテスクなものである。しかしハエの視点からすると、その物体は官能的で抗い難い魅力を放っており、たまらずそれの上に着地する。その表面はぬかるみのようになっており、同じ場所にとどまっていると足をとられて出られなくなるような感じがする。さすがに危ないと思って早々に飛び立ち、しばらく離れてから振り向いてみる。するとその物体はすでになくなっていて、『天気の子』の魚みたいなキラキラしたものが陽炎のように揺らめいているだけだった。
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