嘘の夢の話 8月16日
私はビルの屋上に立っている。時刻は夜だがひどく蒸し暑く、風ひとつない。頭上に月が出ているので右手をかざして眺める。だが、次第に右手がどんどん大きくなっていって月明かりを遮ってしまう。私は恐怖でその場にうずくまり、嘔吐する。早く口をゆすぎに行きたいが足がすくんでしまって立つことができない。
突然肩を掴まれたので振り向くと何者かが立っている。その人物は首から下は正常に視認できるが、顔だけはまるですごく遠くにあるようにぼやけていて表情を読み取ることができない。私は何も考えられず、その人物の後をついてビルの階段を下りていく。
ビルの各階は家畜小屋になっていて、床に土が敷き詰められ、豚や牛や鶏が繋がれている。しかし手入れは全くされていないようで、部屋中に糞便の臭いが満ち、家畜たちのうつろな鳴き声が響き渡っている。その人物は小屋の奥にある木の扉を開け、中に私を招き入れる。
そこは先ほどまでの小屋と同じような作りだが見慣れた家畜はおらず、天井から巨大なミミズのような生物が縄で吊るされている。それは全身つるつるで口などは見当たらないのに、体のどこかからゲップのような音を発し続けている。その人物は脇に置いてある短刀を手に取り、巨大ミミズを縦に真っ二つに切り裂く。大量の血液が溢れ出し私の足元まで伝ってきたので逃げようとするが、たった今そこから入ったはずの扉は鏡に変わっていて、そこには見たこともない太った中年の男が映っている。
コメント