嘘の夢の話 8月20日
散歩がてら近所の山に山登りに行く。山道を進んでいると、一本の木の幹に非常ベルのボタンが付いているのを発見する。気になって押してみると、一瞬だけセミの鳴き声が大きくなった気がしたが、警報の音は鳴らない。そしてボタンは木の幹から外れ、まるで椿の花が散るようにぽとりと地面に落ちてしまう。
ボタンがはまっていた穴に右目を当てて木の内側を覗き見ると、その中では人形劇が繰り広げられている。ある猟師が美しい狼に惚れるというストーリーで、面白いけどさすがに最後まで観るわけにもいかないと思って途中で穴から目を上げる。するとそこは山中から知らない住宅街へと変わっている。私は狐につままれた思いでそこら中を歩き回る。誰かに道を聞こうにも人は全く見当たらず、住宅街から出られないままとうとう夜になってしまう。私は歩き疲れ、ブロック塀にもたれかかる。と、そこに一枚の選挙ポスターが貼ってあることに気付く。そのポスターで明るい笑顔を浮かべ、胸の前でガッツポーズをしている男は、どう見ても私自身である。
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