嘘の夢の話 9月19日
人でごった返す街の大通りを歩いている。疲れたのでどこかで休憩したいが喫茶店などは見当たらない。仕方なく歩き続けていると、ビルとビルの間に東屋があるのを発見し、そこで座って休むことにする。東屋は少し酒臭い匂いがするが、素朴なベンチと石でできたテーブルがあって居心地がいい。
休んでいると、佐川急便のユニフォームを着た男が東屋に駆け込んでくる。彼はベンチに腰掛け、原稿用紙を取り出して何やら書き物を始める。ちらっと覗くと、彼は原稿用紙のマス目ではなく、枠外の余白の部分に「牙」という字を大量に書きつけている。だが石のテーブルの凹凸のせいでうまく書けないらしく、時折紙の破ける音や舌打ちが聞こえてくる。なのに男は、うまく書けないのはお前のせいだと言わんばかりに私を睨みつけ、原稿用紙をくしゃくしゃに丸めて東屋を出て行く。目の前の通りの人波は途切れることなく、男の姿はすぐに見えなくなってしまう。


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