嘘の夢の話 10月19日
ギャラリーに警備員として雇われる。警備員と言っても夜間の仕事ではなく、営業時間中に客が展示品に近づきすぎないよう見張るのが仕事らしい。私の持ち場は一枚の大きな絵が飾られた壁の前である。
その絵は緑色を基調とした抽象画で、壁の半分を覆い尽くすくらい大きなキャンバスに描かれているが、私には美術品としての価値は全くわからない。実際、大きさゆえに目立ちはするのに、この絵の前で足を止める人は全くいない。こんな絵をわざわざ近くで見ようとする人などいないだろうと思い、私はギャラリーの他の作品を見て回ることにする。
しかし、どうも様子がおかしい。このギャラリーには、あの絵の他には一つも作品が展示されていない。見物客たちは、何もないギャラリーを順路通りにゆっくり回り、そのまま外に出て行く。奇妙に思いながら自分の持ち場に戻ると、あの大きな抽象画は、王冠をかぶったハニワのような絵に変わっている。ひどく重苦しい画風の絵で、見ているだけで気分が悪くなってくる。上に報告すべきか迷うが、怒られたくないので黙っておくことにする。


コメント