消費減税は無意味だ!竹中平蔵「これでは『失われた30年』が再び日本を襲う」…外国人を受け入れ、無駄な年金を減らしなさい
また「失われた30年」が生まれることに
成長戦略の中で減税が必要なのも事実です。しかし今の経済政策の議論の中で問題になっているのは供給サイドの話と需要サイドの話がごちゃ混ぜになってしまっていることです。 日本の経済政策は基本的に需要サイドのみに手厚く、供給サイドに弱いのです。なので潜在的成長率が低いのです。需要を刺激しても、供給を上回る成長は起きないのです。 今注目されている給付や消費減税、所得減税といった需要サイドの政策を実施しても、これ実は90年代に日本が犯した過ちを繰り返すだけなのです。90年代は、本来だったら不良債権の処理、つまりバランスシートの調整という供給サイドを強くしなきゃいけなかったのに、それを全く無視して当面の需要をつけるために、その時は減税じゃなくて公共事業をやったのです。 そうすると、また失われた30年が生まれることになります。その需要を刺激した瞬間は、一瞬だけ経済は良くなります。公共事業をやった瞬間、一瞬良くなったし、減税した瞬間、一瞬良くなります。けれども、これで終わりです。財政赤字だけが膨らみます。
減税したら経済も回るはず…。これは根本的に間違っています
供給サイドを強くするための減税もあり得ると思います。だから、私は減税を議論するんだったら、法人減税だと言っているのです。少なくとも所得税減税や消費税減税ではない。需要を拡大して成長につなげるなんて言ってますけど、そんなことは経済学的にあり得ないのです。 社員の給料を上げれば、その分経済が回るから会社の業績もいずれ良くなるということを仰る人もいますが、減税も同じ議論なんです。減税して、手取りが増えれば経済も回るはずだ、と。しかしこれは根本的に間違っています。 だから、需要サイドの議論しかしていないから、供給サイドが強くならない。本来、そういうのは責任政党である自民党が掲げるべきです。だから、今の日本経済の責任の多くは自民党にあると思います。今回の参議院選挙ほど政策議論のなかった選挙はないと思いますよ。 潜在的経済成長率を上げるためには、そもそも論として、例えば労働市場の流動性を高めるとか、雇用改革をやらなきゃいけません。それと規制改革をやる。例えば今日本ではタクシーが需要を満たせていないわけだからライドシェアを認めるといった当たり前の構造改革をやっぱりもっとやらなきゃいけない。