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行政と紙とファクシミリ


ファクシミリ(FAX)の利用度(正確には紙での利用度)が基準値2019年比で約95%にまで減ってきた。

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FAXそのものは誰もが利用できる簡単さのある素晴らしい技術です。あまりに便利すぎて万能が故に、本来であればファックスではない技術や方法でやりとりする方が効率性が高いことにまでファックスを多用しているのが行政の現実です。

昨年の4月頃に、患者さんの数が急増した際に、保健所からのファックス連絡の業務フローが破綻して問題になりました。感染者数が少ない段階ではファックスという技術選択で問題なかったのですがある閾値を超えるとその技術では処理が回らなくなりました。またメディアのみなさんや都民のみなさんからものすごく多くのお叱りをいただきました。

それも一つの契機として構造改革チームが立ち上がりファックスだけでなくコピー用紙削減、現金をキャッシュレス、対面相談を非対面相談にという活動を開始することに。そのあたりのきっかけから改善の取り組みの現状に至るまでの記事は最前線で奮闘している当事者の投稿で↓でどうぞ。

都庁ってまだFAX使ってるんですか?と、言われないために。

一方で現場視点ではなく経営層/マネジメント層の自分からみた振り返りをまとめてみました。仕事からファックスや紙の過多を減らしてデジタル化を推進したいという他組織の人の参考にどうぞ。

1.目標はリーダーが野心的に
現場:当初案は積み上げ数値で80%削減案。現場リーダ:低すぎ。ほんとは100%にしたいが98%で。現場:90%にしてください。どう積み上げても届かないです。リーダー:90%も98%も現状からすると無理めの目標で難題加減は一緒。どうせ野心的なんだから気持ちよく98%でいこうや。この現場リーダーの一言が大きかった。積算根拠も大事だけど時には積算根拠よりも気合が根拠ですと言い切るメンタルも大事。意思あるところに道はひらけるが根拠みたいな。

2.測れないものは改善できない。まず足し算。
まずファックス送受信数の足し算ができる環境を。年に一度しか数えれないと年に一回しか改善の引き金が引かれない。できるだけリアルタイムに測れるようにすることで改善の引き金の打席数を増やす。人は刺激を受けて改善を始める。年に1回の刺激より年12回の刺激の方が改善が12倍速になる。
せめて毎日とまで贅沢は言わないから毎月どの部門がどんだけファックスを送受信してるか?を足し算できるようにする。実はこれができてなかった。最初は全機種を手で集計。今はもう少し賢く集計し月次でどの部門が何枚、送受信したのか?を可視化で今はPower BIで。


3.明るい可視化
可視化は調子の悪い部門を吊るしあげたり奮起を促すためではなく群れ全体の進化速度を上げるために使う。不調部門を叱責するツメツメ系は行政文化ではうまくいかない気がするし自分も苦手。部門別数値が出ると調子の悪いところが可視化される。そこを強調するより調子の良い部門を可視化し、調子の良い理由のノウハウを言語化して調子の悪いところに伝える。詰める数値化だと暗くなるので続かない。群れの進化の速度は最後尾によって決まるので、先頭チームのノウハウを最後尾の人に効率的に伝えるには、誰が一番先頭かを知ることが大事。そこを可視化して後方集団に知恵を共有し群れの進化速度を上げるために数値化。

4.送受信を減らすために
4-1.相手に働きかける
こちらがファックスはやだと言っても相手がある話。送信側が辞めると言ってくれない限り拒否できない。丁寧に相手に働きかけて脱ファックスをお願いする。地味だけど大事。それでも残るものは受信しても紙に出力せずにデータとして保存して自分の端末から参照できるように。これが大部分になる。名刺やホームページのファックス番号を削除する部門も。
4-2.送信を減らす
これも相手のある話なので相手にはたらきかけた。通信は送受信ともに相手のある話なので行政が独りよがりでやらずに相手に働きかけることが大事。


5.効果測定は時間で見る
ファックスレスによってファックス代や紙代が減る。が、そこではない。職員(特に若手)がファックスを見にいってとってきてそれを担当に渡す時間。その時間コストを推定で試算する。新卒で入って退職するまでにコピーを含めて年単位の時間を複合機の前で過ごすことが明らかになった。これは悲しすぎる仕事。こんな仕事から人間を解放するという視点で効果測定の数値化を。


今後は?

KintoneとかSalesforceとかでささっと業務ツールを作る人が出現してきた。今後はワークフローをデジタル化してより本質的な脱ファックス、脱メール化をしていきたい。が、まだ時間かかるかな。

また各局にヒアリングをしていると東京都の仕事は土木や建設などの図面を扱うことが多い。図面を扱う仕事については大版の図面を出力してそれで話した方が早いことも多い。また図面にかぎらず手書きで資料に書き込めるようにしたいという声も現場ニーズとしては大きいです。図面対応の大画面でみんなんで書き込みもできるなどのニーズに関してはSurface Hubのような新しい技術もあるみたいですがデジタル産業の皆さんに新しい解決策の発明を期待したいところです。

この25年くらい個人としては職場で一度もファックスやコピーをとったことがなかったので、まさかコピーやファックス削減が自分の仕事として目の前に出てくるとは思わなかったけど、やってみるとこれはこれで奥が深いです。

ファックスレス、コピーレスというとどうしても複合機=悪みたいな感じにならないといいなと不安でしたが、複合機メーカーの担当者のみなさんからも積極的にこうするともっと効率がいいよという提案もたくさんいただけたそうです。この場を借りて御礼申し上げます。

また先日、千葉、神奈川、埼玉のCIOが集まって首都圏CIO会議を始めて開催。そこで各県で同分野での工夫を聞いたのですが具体的で参考になりました。行政はどこも似たような課題を抱えていてその改善に挑戦してるので、隣接県とはどんどん意見交換したり成功事例やしくじり先生事例の共有をし都道府県全体で群れとして進化速度が上がるようにしていきたい。中にはFaxで受信して紙にもちろん出力せずそのままAI OCRで読み取ってFaxを情報かの重要ツールにしようと考えてらっしゃるところも。勉強になりました。

今後も他の自治体や国、さらには民間の先進事例なども学びながらDX-readyな状態、すなわちデジタライゼーションを完了させる組織に生まれ変わりたいと思います。

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コメント

3
法務局の公僕A
法務局の公僕A

一人一台のメール送信が可能なPCが割り当てられない職場はどうFAXを廃止すべきなのでしょうか…。

とぅーむゅらす
とぅーむゅらす

公官庁間のFAXは廃止されて然るべきなのですが、市民に対応しなければならない職場では、FAXを残さざるを得ない場面があります。例えば、相手側がPCを使用しない方々や聴覚障害者の方などのケースです。FAXが受信後にダイレクトにpdfやテクストとして保存され、メールに転送されるシステムがあるとうれしいです。

失業中
失業中

三十年ほど前からファクスマシンは所有せず、送受信はパソコンです。この十五年ほどはタブレットでもスマホでも同様に、ファクス送受信に使っています。プロバイダの選択時には、「日本国内にサーバーを設置」している企業であることを確認してください。海外に設置されたサーバーを使用するプロバイダはお勧めしません。毎月千円ほど必要ですが、マシンを置くスペースも不要、世界中どこにいてもインターネットに繋がりさえすれば、ファクス送受信が可能です。もちろん、ペーパーレスも進みます。

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