道路陥没をわずか一晩で奇跡の復旧 博多駅前事故の教訓いかした福岡市の果断と巧みな連係
下水道管などの経年劣化により、全国で道路の陥没が相次ぐ中、福岡市中心部の国道で6月に発生した道路陥没は、市がわずか一夜で埋め戻した「スピード復旧」が注目を集めた。関係機関との連携を密にし、会議を開かずに現場を中心に対応するなど時間のロスを作らず、夜を徹した作業で復旧を遂げた。ただ同市では7月にも市道の一部が陥没。市は8年前のJR博多駅前での事故も教訓に陥没対策に力を入れるが、事故原因はさまざまで、対応に苦慮しているのが実情だ。 【写真】「人や車が落ちてもおかしくない穴」陥没した道路 ■市長は最速を指示 「人や車が落ちてもおかしくない穴だった。ダンプカーがきてどんどん埋め戻し、すごい速さで復旧した」。陥没現場近くの青果店店長、山口丈司さん(55)は6月の陥没事故を振り返る。 事故は6月10日午前9時50分ごろに発生した。陥没が起きた現場は市の中心部を東西に貫く通称「国体道路」で、店舗が並び、交通量も多い。けが人はなかったが、穴は長さ約4メートル、幅約2メートル、深さ約2メートルに広がり、安全確保のため周辺全4車線が通行止めとなった。 主要幹線で起きた事故で、寸断が長期化すれば市民生活への影響は大きい。影響を最小限に抑えるため、市は迅速に埋め戻すことを決定し、現場に駆け付けた高島宗一郎市長も、とにかく最速で埋め戻すよう指示した。 ■処理土の特性把握 現場近くで地下の雨水管を整備する浸水対策工事が行われていたことから、市は事故は下水道管の老朽化ではなく、この工事に起因する可能性があるとみて事業者と対応を協議。埋め戻しには、JR博多駅前の陥没事故でも活用した特殊な土砂「流動化処理土」を使うことを決めた。 周辺の地盤と一体となって固まりやすい性質を持つ流動化処理土は短時間に大量に投入でき、入り組んだ隙間にも充填(じゅうてん)できる。水の中でも固まる性質を持ち、JR博多駅前の事故では、この処理土を使って巨大な穴を7日間で埋め戻し、海外メディアからも賞賛(しょうさん)された。 処理土の特性を市が把握していたことから、早い段階で復旧方法が決まり、市は調査会社に依頼して空洞の範囲を確認する一方、事業者は処理土の調達に動いた。調査終了と同時に埋め戻し作業を開始できるようダンプカーを待機させ、同日午後3時には処理土を投入した。路盤を締め固め、新たな道路を敷設するなどの作業を夜通しで行い、発生から21時間後の翌11日午前6時53分、交通規制を解除した。