嘘の夢の話 2月1日
自宅の洗面所で歯を磨いている。洗面台には縁まで水がなみなみと張られていて、その中を小さな赤い金魚が泳いでいる。私はうがいをしたいのだが、この洗面台では水があふれるし、第一金魚が汚れてしまうので、別の場所でしなければならない。しかし、他にうがいをできそうなところがない。流しや風呂場やトイレがないのである。仕方ないので、私は歯磨きの汁を口に含んだまま外に出、マンションの入り口の植え込みに口の中身を吐き出す。
部屋に戻って洗面所の鏡を見ると、自分の顔に何か違和感を覚える。しばらく鏡を眺め回して、ようやくその違和感の正体に気がつく。鼻がないのだ。まるでアニメや漫画のキャラのようだが、現実の人間の造形で鼻がないのはかなり異様である。でも私は鼻がなくなったことよりも、そのことにすぐに気づけなかったこと、ひいては自分がそれほど美醜の感覚に疎い人間だということにショックを受け、洗面台に顔を突っ込んで泣いてしまう。金魚はもういなくなっている。


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