嘘の夢の話 2月10日
新しく引っ越した部屋で大量の段ボールに囲まれている。翌日からすぐに仕事なので今のうちに荷解きしないといけないが、どうにも気が進まず、散歩に出る。新居のある町は私が子供の頃に住んでいた町とよく似ており、初めて歩くのに土地勘があるように思える。実際、細部に多少の違いはあれど、大まかな地形は一致しているので、当時の記憶を参照すれば迷わずに歩くことができる。
私は一軒の民家の前で立ち止まる。2階建ての1階部分がガレージになっている家で、外壁は青く、昼間なのに門灯が点いている。その辺りは町外れの方で、子供の頃の記憶に照らし合わせてもあまり行ったことのないエリアだ。したがってその民家にも特別な思い出はないのだが、妙に引きつけられてしまう。私はスマホを見るふりをしながらちらちらと家の方を窺う。
すると、ベランダに若い女性が出てくる。お嬢様っぽい、上品な感じのする人である。彼女は足拭きマットのようなものを干して室内に戻る。だがその直後、再び窓が開く。そこには、先ほどの女性とは対照的にひどくみすぼらしい格好をした老人が立っている。性別すらわからないその老人は、干されたばかりの足拭きマットをひったくるように取り込むと、部屋の中へ帰っていく。その一連の流れを見て私は言い知れぬ恐怖を覚え、家路を急ぐ。しかし、先ほどまでとは町の形が変わっていて、どうしても家にたどり着くことができない。


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