嘘の夢の話 2月28日
友人たちとお好み焼き屋に行く。通されたのは個室の座敷席で、壁にはちょうど鉄板と同じくらいの大きさの絵が飾られている。二つの長方形が荒々しいタッチで描かれた抽象画で、店の雰囲気に合っていない。壁際の席に座ろうとした私が上着を脱ぎかけた時、その絵画に肘がぶつかってしまう。
すると、額縁は忍者屋敷の隠し扉のようにくるりと回転し、その裏側が露わになる。そこには、見たこともないくらい巨大な蝶の標本がピンで留められている。羽の模様や色合いが実に美しく、あんな抽象画を晒しておくくらいならこちらの面を表にしたほうが良いと思われる。私は壁をそのままにしておく。
しかし、タネを運んできたおかみさんは壁の蝶を見た途端、すさまじい剣幕で私たちを怒鳴り始める。我々は弁解の隙すら与えられず店外に叩き出された挙句、罰金として1万円を支払わされる。友人たちは絵をいじったのが私だとは気付いていないようだが、とても白状できる空気ではない。そして私は、ぼんやりと「この一件をきっかけに友情が崩壊したら嫌だなあ」と思っている。


コメント