嘘の夢の話 3月2日
橋の欄干にメガネが置いてある。そのメガネはつるに細い紙が吹き流しのように束になって結え付けられており、それが風に吹かれるさまが見ていて心地良い。立ち止まって見入っていると、男がやって来てメガネを持って行ってしまう。持ち主かと思ったがそうではないようで、彼は欄干の別の場所にメガネを置き直すと、そのまま去っていく。私はそっちに移動してメガネの観察を再開する。
すると今度は白髪のおじいさんが近づいてきて、またメガネを取っていく。おじいさんもさっきの男と同じようにメガネを移動させ、そのままどこかへ行ってしまう。この頃にはもう風は止んでいるが、私はメガネから目を離してはいけない気がして、再び場所を換える。動きのないメガネを注視していると女の子がやって来る。岸田劉生の麗子像にそっくりな顔の彼女は、私に「そのメガネはあなたの?」と尋ねてくる。「違うけど」と答えると、女の子は急に語気を荒げ「ならば見てはなりません!!」と私を一喝する。その迫力にひるんだ私は慌ててその場から逃げ出す。途中で振り返ると、女の子はメガネをバキバキに折って川に投げ込んでしまった。


コメント