嘘の夢の話 3月14日
西武池袋線池袋駅のホームで特急列車を待っている。特急は速くて確実に座れるが本数が少なく、次の列車が来るまであと30分ほどある。退屈なのでホームを端から端まで何度も行ったり来たりしていると、5往復目を迎えたあたりから周囲の様子がおかしくなる。人々はコマ撮り映像のように挙動がぎこちなくなり、やがて全身が紗がかかったようにぼんやりとしか見えなくなる。線路の幅は所々で変わり、側溝のように細くなったかと思えば、向かいのホームが見えないほど広がった場所もある。そしてそんな空間を、赤いブーメランのようなものが飛び回っている。私は急所を隠し、そのブーメランの動きを目で追いながらホームの往復を続ける。
時計を見ると、私が乗る予定だった特急列車の発車時刻はとうの前に過ぎ去っている。そんなはずはない、と私は思う。なぜなら今日は節分だからだ。節分は電車が休日ダイヤで運行しているので、遅れが出るはずがないのである。私の動揺を見抜いたのか、赤いブーメランが一直線にこちらに向かって飛んでくる。すんでのところでそれをかわすと、ブーメランは壁に突き刺さって動かなくなる。


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