嘘の夢の話 3月21日
旅行で九州に訪れているが、私は旅先で風邪を引いてしまう。知らない土地のホテルの部屋で寝込んでいると、このまま一生家に帰れないのではという気がしてくる。そのホテルは大きな交差点の近くに建っていて、歩行者信号の「通りゃんせ」のメロディが延々と聞こえてくる。だが熱のせいか、だんだんとそれが人の声のように思えてくる。アナウンサーのようなハキハキとした明るい口調に反し、その内容は特定の個人や団体に対する痛烈な誹謗中傷である。私は怖くなって布団の中に顔を埋める。
暑くなって布団から顔を出すと、そこは見慣れた自宅の寝室である。しかも、体調もいつの間にか良くなっている。すごくホッとすると同時に、いつも通りの光景がひどく美しいものに感じられる。この爽やかな気分のままどこかに出かけようと思って玄関を開けると、ドアのすぐ前に私の背よりも高い真っ赤な消火栓が立っていて、その中からあの誹謗中傷の音声が聞こえてくる。


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