嘘の夢の話 3月22日
マンションのゴミ置場にトランペットが捨てられている。やや古びてはいるが壊れてはなさそうなので、私はそれを自室へ持ち帰る。持ち帰ったはいいが、うちには防音設備がないので室内で音を出すことは憚られる。そこで、小田原の方に一軒家を持っている親戚の元を訪ね、その人の家で吹かせてもらうことにする。
私は意気揚々と電車に乗り込むが、時間が経つにつれ気分が盛り下がっていく。探せばもっと近場でもトランペットを吹ける場所はあるはずだし、連絡もなしに急にその親戚の家を訪ねたところで快く迎え入れてくれるとも限らない。そもそもゴミ捨て場から物を持ち去ったら犯罪になるのではないか。私は気が滅入って、知らない途中の駅で降りる。帰りの電車に乗ろうとするが、都心部の駅なのに次の電車が来るまであと1時間半もある。私はやけになってトランペットに思い切り息を吹き込む。しかし音は鳴らず、穴から小さなイカがぽんと飛び出す。地上であるにもかかわらずイカは悠々と動き回り、ホームを降り線路を越えて、知らない街の中へ消えていく。


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