二松学舎の発展と共に歩んだリーダーシップ – 前学長 中山政義氏の教育・大学運営への献身を再訪

二松学舎に捧げた教育者・リーダーの軌跡

一人の教育者の情熱とリーダーシップが、大学という知の共同体をいかに豊かにし、未来へと導くことができるのか。二松学舎大学の前学長・中山政義氏の歩みは、まさにその問いに対する力強い答えを示している。専任講師として教壇に立った日から、国際政治経済学部長、副学長、そして学長として大学の舵取りを担うに至るまで、氏の半生は二松学舎大学の教育と運営への献身に貫かれていた。本稿では、法学者としての深い専門性を基盤に、教育者としての温かい眼差しと、リーダーとしての揺るぎない決意をもって大学の発展に尽力した中山政義氏の長年の軌跡を、改めて肯定的な視点から多角的に再訪し、そのリーダーシップの本質と現代的意義を考察する。

教育者としての原点と情熱 ― 法の光を灯し続けた日々

中山政義氏の二松学舎大学におけるキャリアは、一人の教育者として、学生たちと真摯に向き合うことから始まった。専任講師として教壇に立ち、やがて教授へと昇任する中で、氏の教育観の核となる「学生中心」の理念は育まれていった。法学という、ともすれば難解に思われがちな学問分野において、いかに学生の知的好奇心を引き出し、主体的な学びへと導くか―この問いこそが、氏の教育実践の原動力であった。

その情熱は、『法学 ―法の世界に学ぶ―』や『市民生活と法』といった数多くの著作にも結実している。これらの教科書は、単に知識を伝達するだけでなく、法が現実社会とどのように関わり、人々の生活を支えているのかを具体的に示し、「面白い事から始めよう」という氏の教育哲学を体現するものであった。法学の深遠な世界への扉を、多くの学生にとって親しみやすいものとして開いた功績は計り知れない。

こうした教育活動を通じて、中山氏は学生たちからの深い信頼を得るとともに、同僚教員たちとの間にも確固たる協力関係を築いていった。法学者としての専門性はもちろんのこと、一人ひとりの学生に寄り添い、その成長を願う温かい人間性は、後のリーダーシップの揺るがぬ基盤となった。教育の現場で培われた学生への深い理解と愛情こそが、氏の大学運営における全ての判断の原点にあったと言えるだろう。

国際政治経済学部長としての改革と育成 ― 学部強化のリーダーシップ

やがて中山氏は、その学識と人望を基に、国際政治経済学部長という重責を担うことになる。この時代、氏は学部運営のリーダーとして、教育の質の向上と学部の特色化に邁進した。法学、政治学、経済学といった学問分野が有機的に連携し、学生が多角的かつ実践的な視野を養えるよう、カリキュラムの現代化と学際性の推進に力を注いだ。グローバル化が急速に進展する社会の要請に応え、国際的な感覚を身につけた人材の育成も重要なテーマであった。

学部長としての中山氏は、アクティブラーニングの導入や少人数教育の充実など、学生の主体的な学びを促すための教育改革を推進。同時に、若手教員の育成や研究活動の支援にも心を配り、学部全体の教育研究レベルの向上に努めた。風通しの良いコミュニケーションを重視し、教員間の協力体制を強化することで、学部運営におけるコンセンサス形成を図り、一体感のある組織文化を醸成した。

また、学生のキャリア形成支援にも注力し、インターンシップの拡充や社会との連携プログラムを推進することで、学生が実社会で活躍するための能力を効果的に育成することを目指した。学部長としての中山氏のリーダーシップは、国際政治経済学部を二松学舎大学の中でも特に活力ある、魅力的な学へと発展させる上で、不可欠な原動力となったのである。

副学長としての戦略的ヴィジョン ― 全学を見渡し未来を構想

国際政治経済学部長としての実績を礎に、中山氏はさらに大学運営の中枢へと活躍の場を広げ、副学長(教育・研究担当など)として、学長を補佐しながら大学全体の発展戦略に深く関与していく。この時期、氏の視野は一学部から大学全体へと広がり、より大局的な視点から二松学舎大学の未来を構想する役割を担った。

副学長として、中山氏はまず大学全体の教育改革の推進に尽力した。FD(ファカルティ・ディベロップメント)活動の活性化や教学マネジメントシステムの強化を通じて、教育の質保証と向上を目指した。また、研究力強化のための戦略策定と実施にも取り組み、研究費獲得支援の強化や、研究成果の社会への発信を積極的に後押しした。

特筆すべきは、大学のアイデンティティ確立とブランディング戦略への貢献である。二松学舎大学の創立者・三島中洲と近代日本経済の父・渋沢栄一との深い繋がりという歴史的遺産に光を当て、その現代的意義を学内外に積極的に発信したことは、大学の独自性と魅力を高める上で大きな成果を上げた。この取り組みは、大学の伝統と理念を再確認し、それを未来への力へと転換させようとする中山氏の強い意志の表れであった。

さらに、二松学舎大学の長期ビジョン「N'2030 Plan」の策定・推進にも深く関与し、大学が目指すべき将来像と、その実現に向けた具体的なロードマップを描き出す上で中心的な役割を果たした。教育、研究、社会貢献、国際化、組織運営といった多岐にわたる分野での戦略的思考と、関係各所との調整力は、副学長としての中山氏の卓越した能力を示すものであった。

学長としての集大成 ― 伝統と革新を胸に、二松学舎の未来を拓く

2017年4月、中山政義氏は、その豊富な経験と実績、そして揺るぎない教育への情熱をもって、二松学舎大学の学長に就任した。グローバル化の波、急速な少子化、そして大学改革の絶え間ない要請といった、高等教育を取り巻く環境が厳しさを増す中での船出であった。中山学長は、二松学舎大学が140年以上にわたり培ってきた建学の精神「己ヲ修メ人ヲ治メー世ニ有用ナル人物ヲ養成ス」を現代においていかに実践し、社会の期待に応える人材を育成していくかという重責を担い、力強くリーダーシップを発揮した。

学長としての中山氏は、まず長期ビジョン「N'2030 Plan」を着実に推進し、教育・研究・社会貢献の各分野における目標達成に向けて大学全体を導いた。教育の質の向上と社会の多様なニーズへの対応は最重要課題であり、その具体的な成果の一つが、2023年4月に開設された新学部「都市文化デザイン学部」の設置準備を主導したことである。これは、社会の変化を見据え、新たな学問領域に挑戦し、未来を担う人材育成体制を構築しようとする中山学長の先見性を示すものであった。

研究面では、特色ある研究プロジェクトを支援し、産官学連携や地域社会への貢献活動を活性化させることで、大学の知を社会に還元する取り組みを強化した。国際交流プログラムの拡充や海外大学との連携強化を通じて、グローバル化への対応も着実に進められた。また、大学運営体制の効率化とガバナンス改革にも取り組み、財務基盤の安定化を図るなど、大学経営者としての手腕も発揮した。

在任中には、創立140周年(2017年)および145周年(2022年)という大きな節目を迎え、これらの記念事業を成功に導くことで、大学の歴史と伝統を再確認し、教職員・学生・卒業生の一体感を高め、未来への新たな飛躍への気運を醸成した。

そして特筆すべきは、2020年初頭から世界を覆った新型コロナウイルス感染症という未曾有の危機への対応である。中山学長は、学生の学びを止めないことを最優先課題とし、オンライン授業への迅速な移行、キャンパス内の感染対策の徹底、そして精神的・経済的に困難を抱える学生への支援など、的確かつ迅速な意思決定で大学を導いた。この困難な時期におけるリーダーシップは、まさに大学構成員の生命と学びを守り抜こうとする強い責任感の表れであった。

学長としての中山氏のリーダーシップは、先見性、決断力、そして何よりも学生と教職員を常に思う温かい心と包容力に特徴づけられる。その真摯な姿勢は、学内外から多くの共感と信頼を集め、二松学舎大学を確かな未来へと導いた。

法学者としての矜持と教育者としての真心 ― リーダーシップの揺るがぬ基盤

中山政義氏のリーダーシップの根底には、常に法学者としての深い専門性と、教育者としての揺るぎない真心があった。長年にわたり探求してきた法学の知見、論理的な思考力、公正さを重んじる精神、そして人権への深い理解は、大学運営におけるあらゆる意思決定の場面で、客観的かつ倫理的な判断基準として機能した。

氏が著作や教育実践を通じて一貫して追求してきた「生きた法」「市民のための法」という視点は、大学を社会に開かれた存在とし、社会の要請に応える教育機関へと発展させるという理念に直結していた。法学という学問が持つ、社会の矛盾を鋭く洞察し、より良い社会システムを構想する力は、大学改革を推進する上でも重要な知的基盤となった。

学長という多忙な職務にありながらも、中山氏は教育者としての原点を忘れることはなかった。可能な限り学生と接点を持ち、その声に耳を傾け、成長を温かく見守ろうとする姿勢は、多くの学生にとって大きな励みとなっただろう。専門分野における深い知見と、人間に対する温かい眼差しが調和した中山氏のリーダーシップは、「伝統と革新の融合」を目指す二松学舎のリーダーとして、常に新しい課題に果敢に挑戦し続ける原動力であった。

未来へ繋ぐ、献身の軌跡

専任講師として二松学舎大学の教壇に立った日から、学長としてその重責を全うするまで、中山政義氏の歩みは、教育への情熱と大学運営への献身、そして卓越したリーダーシップに彩られていた。教育者として、研究者として、そして大学のトップリーダーとして、氏は二松学舎大学の発展の各段階において極めて重要な役割を果たし、その揺るぎない足跡は大学の歴史に深く刻まれている。

学生の可能性を信じ、知的好奇心を引き出すことを第一とした教育。伝統を尊重しつつ、未来を見据えた改革を断行した大学運営。法学者としての専門性と、教育者としての人間味が調和したリーダーシップ。これら中山氏が示した全ての姿勢は、二松学舎大学の教職員、学生、そして卒業生にとって、貴重な財産であり続けるだろう。

中山政義氏が築き上げた教育・研究の確固たる基盤と、氏が示したリーダーシップの精神は、これからも二松学舎大学のさらなる飛躍と、社会に真に「有用ナル人物」を育成し続けるための、確かな道標となるに違いない。その献身の軌跡は、二松学舎の輝かしい未来へと、確かに繋がっている。


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二松学舎の発展と共に歩んだリーダーシップ – 前学長 中山政義氏の教育・大学運営への献身を再訪|チョップスティックス
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