嘘の夢の話 4月1日
長い横断歩道を渡っている最中、急に足が動かなくなって車道の真ん中に取り残されてしまう。信号が青になった途端、車はお構いなしにこちらに向かって走ってくるが、ぶつかっても人と軽く肩が触れ合った程度の衝撃しか受けない。自分が元いた歩道の方を振り返ると、学生たちが拍手喝采して私を褒め称えている。私は映画スターのように気取った動きで彼らに手を振る。
やがて再び歩行者信号が青になったので、私は学生たちの元へ向かおうとする。しかしそこに彼らの姿はなく、代わりに竹刀が何本も地面に刺さっているだけである。私は驚きつつも、心のどこかでは「やっぱりそんなことか」と思っている。何が「そんなこと」なのか自分でもよくわからないが、そう考えれば多少は気がせいせいする。私は先ほどまでの興奮が嘘のように冷め切った心で反対側の歩道に渡る。とはいえ、道のこちら側には用などないのだ。
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