嘘の夢の話 3月28日
通っていた高校から連絡があり、「修学旅行の旅費を130円多く徴収してしまっており、返金したいので学校まで来てほしい」と言われる。さすがに面倒すぎるので理由をつけて断ろうとするが、相手は「何様だてめえ」とチンピラのように凄んでくる。よく聞くとその声は、化学を教えていたU先生の声である。私の在学中、彼は大学を出たばかりの新米先生で、初々しくも真面目で優しい印象だったため、数年見ないうちに随分変わってしまったんだなと悲しくなる。ともかく私は折れて、返金に応じるために学校に向かう。
しかし到着してみると、学校は鍵こそ空いているものの一切人の気配がない。校舎内を歩き回っていると、上階の方から物音が聞こえてくる。階段を上がって見に行くと3階にある金工室のドアが開け放たれており、そこではU先生が自分の腕を万力で挟んで締め上げている。慌てて駆け寄ろうとした矢先、「ボリ」と鈍い音がして先生は泡を吹いて卒倒する。彼の元に近寄り、その顔を見て仰天する。それはU先生ではなく全然知らないおじさんである。知らない人だったとなると途端にどうでもよくなり、私はおじさんを放置したまま金工室を後にする。するとそこには本物のU先生が立っており、かつてと変わらない温和な態度で130円を手渡してくれる。
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