嘘の夢の話 4月11日
大きな樽を背負って運んでいる。何が入っているのか知らないがやたらと重い。冬の寒い日なのに汗がだらだら流れて、その汗が冷えて体感温度はさらに低くなる。私はうんざりして樽を地面に下ろし、その上に座って一休みする。
そこから見渡せるのは、辺り一面に生い茂った森である。その中央に私が今まで歩いてきた道路が通っているだけで、一体何の必要があってこんな場所に樽を運ばなければならないのだと思う。そして私は、自分が向かうべき目的地を忘れてしまっていることに気付く。どの時点から忘れていたのかわからないし、今まで自分が進んできた道が正しかったのかもわからない。途方に暮れて周囲を見回してみても、味気ない風景が広がっているだけだ。私は半ば癇癪を起こし、地面に立てた樽を思い切り蹴飛ばす。樽は地面をごろごろ転がっていくが、10mほど進んだところでぴたりと止まり、坂道でもないのに勝手にこちらに戻ってくる。そして私の爪先の前で停止すると蓋が開き、唐辛子のように赤く細長い顔をした怪人が中から出てきて襲いかかってくる。
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