嘘の夢の話 5月14日
親がずっと借りっぱなしだったという料理本を返すために、親戚の家を訪れる。その親戚とは私が記憶もないほど幼い時に数回会ったことがあるくらいの関係なので、今更顔を合わせるのは少し気まずい。地図を見ながら親戚の家にたどり着くと、それは洋館のような立派な邸宅である。だが雰囲気は妙に暗く、庭は荒れ放題で、昼間なのに窓のカーテンは全て閉まっている。玄関の前には苔むした魚の石像が置かれている。
恐る恐るインターホンを押すが、誰も応答しない。しかし、本が入った袋をドアノブにかけて帰ろうとした矢先にドアが開く。そこには誰もおらず、ただ部屋があるだけである。それは四畳半ほどの狭いワンルームで、こちらに向けて開かれているドアの他に出入り口らしきものは一切見当たらない。明らかにここが正面玄関だし、じゃあこの豪邸は何……? と思うが、詮索する勇気もないのでさっさと退散する。その後、親にあの親戚は何者なのか尋ねてみたところ、大叔母の養子にあたる人物でかつては自衛隊に在籍していたらしいが、ここ十数年の消息は親類の誰も知らないらしい。


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