人口800万人弱の東南アジアの小国ラオスで、児童買春を目的に渡航する日本人が後を絶たない。今年春以降、現地の日本人女性が「目に余る」と抗議の署名活動を展開。日本大使館が「注意喚起」を出す異例の事態に発展した。現地を訪れると、緩やかなメコン川の流れとは対照的に、想像を絶する卑劣な少女たちへの「性的搾取」の現実があった。
最年少は9歳
首都ビエンチャンの中心部に近い一角にたたずむホテルにたどり着いたのは、今年7月のことだった。一般客も泊まる、地元では知られたホテルだが、家族連れが談笑するロビーを抜けて裏の駐車場に出ると、風俗店の入り口がある。あたりが暗くなった夜に行くと、10代とみられる「ボーイ」の少年数人に腕をつかまれ、店内に強引に連れ込まれた。
中には8～10の部屋があり、各部屋に10～20人ほどの少女が待機していた。ざっと百人近くおり、15歳前後のように見えた。「ヤング（若い子）？」と聞かれてうなずくと、一番奥の部屋に案内された。奥にいくほど若い子がいるというシステムらしい。
「この子が最年少の9歳だ」。ボーイが指さした先で、身長140センチにも満たないあどけない少女が無垢（むく）な瞳でこちらを見つめていた。最も高い9歳は「250万キープ（約1万7千円）だ」と持ちかけられたが、「別の店を見てくる」と言ってボーイの制止を振り切り、何とかその場を後にした。だが、その際にLINE（ライン）アドレスを聞かれ、営業メッセージが相次ぎ届いた。
その後、ホテルのロビーで1時間ほど観察していると、日本人とおぼしき30～50代程度の男性4、5人が1人ずつ少女を連れ、エレベーターに乗り込む姿が確認できた。児童買春が日常的に行われるラオスの〝闇〟を肌で感じ、怒りや悲しみが入り交じる何とも言えない気持ちになった。
