【批判】「レスキューハウス」兼平豪は若者の死を“再生数稼ぎ”に利用していないか
2025年6月、アズール株式会社の元代表取締役社長・青笹寛史さんが29歳という若さで急逝された。 会社による公式発表では死因は急性心不全。 葬儀は家族葬で行われ、初七日を終えた後、遺族の手で静かに公表された。
さらに発表文には、こう書かれていた。
「※故人に関する公式の情報はこちらのアカウントから発表させていただいた内容のみになります。 インターネットなどで憶測や噂を広げるのは厳に謹んでいただくようお願い申し上げます。」
これは遺族からの明確な要請であり、深い悲しみの中での静かな配慮の表明でもある。
しかしこの声明を無視するかのように、あるYouTubeチャンネルが1本の動画を公開した。
そのチャンネルの名前は、「レスキューハウス(RESCUE HOUSE)」。 元消防士を名乗る人物が運営する、防災や命の守り方を解説する人気チャンネルである。
「命を守る」と語るチャンネルが、命を消費する
問題の動画は、青笹さんの死をテーマに取り上げた内容だ。 動画タイトルやサムネイルでは、
「【急逝】29歳の若手経営者が急死 死因は〇〇か?元消防士が解説」
というように、まるで死の真相を知っているかのような断定的な表現が使われている。 だが実際には、動画の投稿者は青笹さんと一切の面識もなく、遺族の許可も得ていない。
内容は「一般的に急性心不全にはこういう原因がある」という防災知識に終始しているが、動画のつかみやサムネイルでは明らかに青笹さん個人の死と結びつける構成になっており、視聴者に「この人の死因がわかる」と誤認させかねない。
これは、命を扱う者として極めて不誠実な姿勢ではないだろうか。
問題は「知識の提供」ではない、「見せ方」である
もちろん、急性心不全や突然死に関する正しい知識の啓発は大切だ。 だがその動機がいかに崇高であったとしても、センセーショナルなサムネイルやタイトルで他人の死を“釣り”に使うことが正当化されるわけではない。
しかも今回は、遺族が明確に「憶測は控えてほしい」と要望しているケースだ。 それにも関わらず、視聴者の好奇心を煽るような形で死因を語ることは、遺族の意思を踏みにじる行為であり、情報発信の自由を履き違えた行動だと感じざるを得ない。
「レスキューハウス」は信頼を損ねたのではないか
「助かる命を助けるために」という言葉を掲げているレスキューハウスは、これまで防災や救命活動の大切さを訴えてきた。 だが今回の動画は、「他人の死をコンテンツとして使ってでも再生数を取りに行く」というYouTubeの闇を象徴するような姿勢に見えてしまう。
命を語る者に必要なのは、沈黙の尊厳と想像力だ。 それがないまま「知識を教えてあげる」姿勢でいられるのなら、それは命への敬意を欠いた行為でしかない。
結びに代えて
今回の件を通じて思うのは、SNSやYouTubeがどれだけ身近になっても、「亡くなった人をネタにする」という行為には踏み越えてはいけない一線があるということだ。 レスキューハウスのように影響力を持つ発信者であればあるほど、その言葉の重みと矛盾には敏感であるべきだろう。
命を守るために活動しているのなら、まずは命を消費しない姿勢から始めてほしい。



コメント