嘘の夢の話 5月27日
工事現場の仮設トイレの前を通りかかると、中から「ちょっと見てもらえませんか」という声が聞こえてくる。中を覗いてみると、水泳帽と水泳パンツを身に付けたガリガリのおじいさんが便座に座っていて、自分の頭と同じくらい大きな梨を食べている。おじいさんは私を呼んだきり何も言わないので、私は彼が口をべたべたにしながら梨を食べるところを見ることになる。垂れた梨の果汁が床に滴り、私の足元まで流れてくる。
おじいさんは長い時間をかけ、ついに梨を完食する。この様子を見られることがおじいさんの望みだったのかはわからないが、彼はなんとなく幸せそうである。おじいさんは餓鬼のように膨れたお腹をさすりながら、私の目をまっすぐ見据えて「最後までありがとう」と言う。次の瞬間、水洗の音がトイレ中に響き渡り、気付けばおじいさんの姿は消えている。慌てて便器の中を覗き込むが、そこには水泳帽に付いていた「5級」のテープが浮かんでいるだけだった。


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