小便器を使う男子の後ろを通り、女子が個室に　小学校の「男女共用トイレ」が物議

施設の建て替えにより、トイレ問題の解消も進む長法寺小の放課後児童クラブ（長岡京市長法寺）

　京都府長岡京市の一部の放課後児童クラブで、施設内にある男女共用トイレが課題になっている。小便器を使う男子の後ろを通って女子が個室に入る構造で、保護者らから「自分なら嫌だ」「子どもに申し訳ない」との声が上がっている。市は、老朽化や利用児童の増加に伴う施設の更新に合わせ、共用トイレの改善にも乗り出す。 【写真】プライバシー0。物議をかもすトイレ 　市教育委員会や保護者らによると、男女共用トイレが残っているのは、長法寺小と長岡第八小の敷地内にある放課後児童クラブ。それぞれ2005〜10年に建設され、各施設ともトイレに入るとすぐに男子用の小便器が目に入る構造になっている。 　各施設では小便器の側面に目隠しとなる覆いを設置するなど対策してきたが、京都新聞社が現場を確認した長法寺小のクラブでは男子が用を足している姿は完全には隠れない。そのため、子どもの心情に配慮し、トイレで男女が鉢合わせしないよう指導員が注意したり、建物外のトイレに案内したりするなど対応してきたという。ある保護者によると「トイレに入るのを嫌がる児童もいる」という。 　近年では障害者にも配慮した多機能トイレや、性の多様性に対応するオールジェンダートイレなど男女で分けないトイレもある。だがこれらは便器ごとに個室になっているなどプライバシーに配慮されている。 　各施設のトイレについて市教委の担当者は「課題として認識している」と説明。「建設当時の経緯は分からないが、敷地が狭く、保育面積の確保を優先した可能性がある」という。 　市も放置しているわけではない。長法寺小の施設では、老朽化とともに、入会児童数の増加で施設が手狭になり、市は建て替えを計画。早ければ来年度にも着工し、トイレも男女別にする方向で準備を進めているという。 　老朽化や利用児童の増加が課題となるのは長岡第八小の施設も同じだ。市によると、建て替えに向け、昨年度に学校の敷地の調査を実施したという。市教委は「できるだけ早く対応していきたい」としている。 　ある女子児童の母親は「仮に子どもが声に出さなくても『自分が使う立場だったらどうか』と考えるのが、大人の役割だ。指導員の先生の工夫で大きな混乱は聞かないが、これから通う子どもたちのためにも、より使いやすいトイレになってほしい」と話していた。