嘘の夢の話 6月8日
木のうろの中に、白いクリーム状のものが溜まっている。試しに少し舐めてみると、それは嫌に甘ったるく、食感もジュルジュルしていて、少し口に含んだだけなのに吐き気を催してくる。口直しに水が欲しいがここらに水道はなく、代わりに辺りに降り積もっている雪を口に含んでは吐き出す。それを4〜5回繰り返して、ようやく口の中の甘みが消える。
木のうろに溜まっていたあれは、例えば樹液のような自然に発生するものではなく、人間の手によってあそこに注入されていたのである。誰が、何の目的でそうしたかはわからない。ただ私には、そういうことをする人が確かに存在しているということがひどく恐ろしく感じられる。あの不味さから悪意や敵意を読み取ったというより、人の考えていることはわからないということが、これほどのリアリティを伴って感じられたのが初めてだったのである。こんな恐ろしいクリームを放置しておくわけにはいかないと私は考える。しかし最後には、これも受け入れなければならない現実だと悟り、何もせずにその場を後にする。


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