嘘の夢の話 7月8日
ビジネスホテル風の簡素な宿に宿泊している。ここがどこかはわからないが、日本でないことは確かだ。その証拠に、ホテルの窓から見える月は鐘のような変な形に欠けている。部屋に備え付けの小さな冷蔵庫を開けるとペットボトルの紅茶飲料らしきものが入っていて、それを取り出して飲む。午後の紅茶をさらに甘くしたような味で、よほどの甘党でなければ好んでは飲まないだろうという味である。
だが、それを半分ほど飲んだあたりから、私は奇妙な陶酔感を覚え始める。酒や煙草のそれとはまた異なり、風邪が治って熱が引いていく時のような心地よさ・開放感を感じる。その感覚自体は気持ち良いものだが、同時に本能的な部分が危険を訴えかけてくるのも感じる。私はトイレに行き、指を喉に突っ込んで無理やり飲んだものを吐き出す。便器の中を見ると、あの飲み物と胃液しか吐いていないはずなのに、ピンク色のムースのようなものが水に浮かんでいる。


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