嘘の夢の話 7月9日
四方の壁が全て障子でできている部屋で目覚める。正面の障子には、二人の人がテーブルを挟んで向かい合っている影が浮かんでいる。彼らは非常に深刻なトーンで何かを話し合っており、その話を聞きたくなくて布団に潜る。しばらくして布団から顔を出すと、正面の障子にはもう何も映っておらず、代わりに左側の障子に同じ二人組のシルエットが見える。彼らはやはり同じように何かを話し合っているので、私は再び布団の中に顔を埋める。
続いて外の様子を窺うと、今度は後ろの障子に彼らの影がある。だが、向かって左側に座っている人の頭が先ほどより大きくなっている。もう片方の人と見比べてみると違いは歴然で、およそ倍くらいの大きさに頭部が肥大している。私は今までとは異なる恐怖に布団をかぶって怯え、そしてもう一度外に目をやると、あの二人組のシルエットはどこの障子にも見当たらない。それはそれで不安なので、私は順当にいけば彼らのシルエットが映っていたであろう右側の障子を意を決して開く。するとそこには、一匹のツノゼミの死骸が転がっていた。


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