嘘の夢の話 7月11日
道で一匹の黒猫を見つける。何か食べ物をあげようと思ったが、私はバターしか持っていない。それでも何もあげないよりはマシなので、1cm角くらいにちぎったバターを猫に与える。しかし猫は、不審そうにバターに鼻を近づけてくんくんやったあと、口をつけずに歩いて行ってしまう。
私は地面に転がるバターを足で潰して広げる。ちょうどアスファルトにバターを塗っているような格好だ。するとさっきの猫がやって来て、地面に擦り込まれたバターをぺろぺろ舐めはじめる。こうなると無防備なもので、いくら撫でても猫は全く逃げようとしない。私は猫を撫で続けるが、ある瞬間にこの猫の毛並みが人間の髪の毛の手触りにそっくりであることに気付きぞっとする。そうなると、この猫がふつうの状態のバターには興味を示さなかったのに、それを踏みつけて潰した途端ぺろぺろしだしたことも、何かおぞましい事実を暗示しているように思えてくる。その意味に気付く前に、私は一目散にその場から逃げ出す。


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