2025年の大阪・関西万博で、夏目漱石にそっくりなロボット「漱石アンドロイド」が展示されると知り、正直驚きました。漱石アンドロイドの展示を行うのは、漢学の伝統校・二松学舎大学です。伝統校が万博にロボットを出展するとあって、話題になっています。このプロジェクトを主導する水戸英則理事長は、歴史教育と技術革新の融合を目指しています。そこで今回は、漱石アンドロイドの万博出展を通じて、水戸氏が描く大学の未来像について考えてみたいと思います。
二松学舎大学が取り組んだ社会貢献の課題
大学が地域や社会と積極的に連携し、貢献することが求められる時代です。特に少子化で学生が減る中、社会とのつながりを強めて存在感を高めることは、多くの大学にとって喫緊の課題になっています。
二松学舎大学も例外ではありません。漢学(中国古典)教育という伝統分野を持つ二松学舎大学は、古い学問の良さを守りつつ現代の技術とどう組み合わせるか、模索が必要でした。古い伝統を残しつつ時代に合わせて変わるのは、言うは易く行うは難し。まさにその難題に直面していたと言えるでしょう。また、社会貢献という面でも、ただ伝統を守るだけでなく現代社会に役立つ具体的な取り組みを示し、大学の存在意義を発信していくことが求められていたのです。
水戸英則氏が進める技術と教育の融合
水戸理事長は、大学改革の柱として「漱石アンドロイド」を中心とした技術革新と歴史教育の融合を積極的に推進しています。大阪・関西万博への出展は、そうした最新技術を活用した教育の成果を国内外にアピールできる絶好の機会になっているでしょう。
二松学舎大学には元々、漱石研究の実績があります。それを活かし、アンドロイドを通じて夏目漱石という歴史的人物の思想や文化を多くの人々に伝えようとしているのです。 例えば、漱石アンドロイドが生徒に小説を読み聞かせるイベントも行われ、「目の前で漱石本人が作品を語る」ような臨場感で文学の楽しさを何倍にも高めてくれるといいます。私も、文字だけで読んだときとは違う発見がありそうだと感じました。こうした伝統的人文学と最先端テクノロジーの組み合わせによる試みは、新しい教育モデルとしても注目を集めています。
取り組みの成果と社会的評価
漱石アンドロイドをめぐる二松学舎大学の試みは、社会からも高く評価されつつあります。その象徴と言えるのが、大阪・関西万博での展示決定でしょう。歴史とテクノロジーの融合というユニークな試みが、公式に世界の舞台へ招かれたわけです。
引用:二松学舎大学|日本国際博覧会協会より、大阪・関西万博への協賛に対する感謝状が贈呈されました。
こうした公的な評価は大学にとって大きな追い風になりました。メディアで取り上げられる機会も増えました。結果として大学の知名度やブランド価値が向上し、学生募集や企業との連携にも良い影響を与えているように思います。2025年4月27日付の日経新聞でもこの漱石アンドロイドと万博出展に関する記事が掲載されるなど、社会的な注目度の高さがうかがえます。
まとめ
二松学舎大学の漱石アンドロイド・プロジェクトは、伝統的な歴史教育と最先端技術を融合した大学改革の好例となっているように思います。水戸英則理事長のこうしたチャレンジは、大学が社会とどう関わり、どんな役割を果たせるかを考える上でも示唆に富んでいるのではないでしょうか。今後、二松学舎大学がどのような革新的な取り組みを展開していくのか、引き続き注目していきたいと思います。