過疎化に悩む自治体からすれば羨ましい限り…ソフトバンクの育成施設ができた"無名の街"の劇的な変化
■市の認知度が急上昇 「地域ブランド調査」と呼ばれる、日本最大規模の消費者調査のデータがある。 全国の1000市区町村、および47都道府県を調査対象に、全国の3万人が各地域のブランド力を評価するもので「魅力度」「認知度」「観光意欲度」といった各地域のイメージに関する調査は全90項目。全国順位がつけられた上で公表されるから、その推移は各自治体にとって、街のイメージやパワーを示す指標として、注目されるものでもある。 筑後市における「ホークス」の効果の大きさは、同調査による順位の推移で明確になる。 ---------- 【認知度】 2014年「513位」 2016年「469位」 2022年「400位」 【居住意欲度】 2014年「690位」 2016年「409位」 2019年「304位」 【魅力度】 2016年「455位」 2019年「404位」 2022年「425位」 ---------- つまり、ソフトバンクの育成拠点が筑後で稼働した2016年を挟み、筑後市のイメージやブランド力、関心度はほぼ右肩上がり。自治体がいくらイベントやプロモーションをかけても、これだけの効果が明確に表れるのは難しいのだという。 「最終的には『認知度』。筑後市が知られた、というところがグッと上がっている。もう絶大なPR力を持っているんです。一つのスポンサーになってもらうとかいう話ではなく、拠点が1つあることで、露出の仕方も全然違うんです」(水田氏) ■高額納税者が毎年転入してくる 2016年1月18日、筑後の開業を2カ月後に控え、市と球団は「地域包括連携協定」を結んでいる。 球団の育成・選手強化はもちろんだが、地域の活性化、市民へのサービス向上を図るために、球団と市との連携事業として「6項目・32事業」が明記されている。 その中に「筑後市への住所異動」という事業名がある。 筑後の「若鷹寮」には、原則として高卒選手は5年、大卒、社会人出身選手は2年、寮生活を行うというルールがあるが、それに伴い、新人選手は筑後市へ住民票を移すことが決められているのだ。 当然ながら選手の納税地となる。これが、市にとって強大なメリットになるのだ。 ドラフト1位なら、それこそ1億円近い契約金になる。下位指名でも、数千万円単位の契約金になるため「ドラフト上位の選手は、高額納税者みたいな感じになるんです」と水田はいう。つまり、その契約金に課税され、これが筑後市の税収となるわけだ。 「税金は大きいんです。定期的に入ってくるわけですから」