総務省のまとめによりますと、ことし1月1日現在の住民基本台帳をもとにした外国人を含めた日本の総人口は、1億2433万690人でした。
去年の同じ時期と比べて55万4485人、率にして0.44%減りました。
日本の総人口約1億2433万人 55万人減少【都道府県別データも】
ことし1月1日現在の日本の総人口は、およそ1億2433万人で、去年より55万人余り減りました。このうち日本人の人口は、1億2065万人余りで、16年連続で減少し、調査開始以降、1年間の減少数が初めて90万人を超え、最大となりました。
都道府県ごとの一覧は記事後半に掲載しています。
都道府県別では▽東京都が最も多く1400万2534人、次いで▽神奈川県の920万2559人、▽大阪府の877万1961人、▽愛知県の748万3755人、▽埼玉県の737万4294人などとなっています。
一方、最も少ないのは▽鳥取県で53万4003人、次いで▽島根県の64万2590人、▽高知県の66万4863人、▽徳島県の70万409人、▽福井県の74万6690人などとなっています。
前の年と比べて人口が増えたのは東京都と千葉県でほかの45の道府県は減少しました。
日本人の人口 減少数・減少率ともに最大
また、外国人を除いた日本人の人口は、1億2065万3227人で、去年の同じ時期と比べて90万8574人、率にして0.75%減りました。
調査を始めた昭和43年以降、1年間の減少数が90万人を超えるのは初めてで、減少数・減少率ともに最大となりました。
日本人の人口は、平成21年の1億2707万人余りをピークに16年連続の減少となりました。
▽去年1年間に生まれた日本人は68万7689人と昭和54年の調査開始以降、最も少なくなったのに対し、▽亡くなった人は159万9850人と最も多くなりました。
この結果、亡くなった人が生まれた人を上回る「自然減」の数は、91万2161人で過去最大となりました。
国内に住む外国人の人口 調査開始以降最多 増加数も最大
一方、国内に住む外国人の人口は、367万7463人で、前の年より35万4089人増え、調査を始めた平成25年以降、最多となり、増加数も最大となりました。
専門家「少子化は止まるどころか加速気味 大きな課題」
日本人の人口が減少している状況について、人口問題に詳しい日本総合研究所の藤波 匠 主席研究員に聞きました。
Q これほど減ったのはなぜですか?
A 多死社会に突入し、高齢の方が亡くなる人数が増えていることも要因ですが、より注目すべきは少子化です。政府も対策はしていますが、少子化は止まるどころか、むしろ加速気味で大きな課題です。
Q どのような対策が求められますか?
A 各自治体がそれぞれ政策を立ち上げて人口を奪い合うのは資源のむだづかいで、良いことではありません。少し広域で人口対策を考えるイメージを持つことが大事です。
また、人の流れはどこに雇用があるかで決まります。賃金やキャリアアップできる環境、それに子育て支援があるかなど、よりよい雇用は大都市部や各都道府県の県庁所在地に集中する傾向にあり、雇用の面でも対策を検討する必要があります。
専門家「今後どこまで続くか見通し示した方が良い」
日本人の人口が16年連続で減少し、減少数が初めて90万人を超えたことについて人口問題に詳しい関東学院大学法学部の牧瀬稔教授は「日本人が減っているのは想定通りなのだが、毎年、悪くなったと出るので今後どこまで続くのか見通しを示した方が良いと思う。国民としても、あと5年間我慢すればとか、あと8年間で終わるんだと分かった方がいろいろな計画を立てやすいのではないか」と指摘しています。
一方、国内に住む外国人の人口が最多となったことについては「日本が住みやすいということが背景にあると思うが、想定以上に増えて対策が追いついていないという課題も出てきているので、国が方針をしっかりと決める必要がある。一方で先進国はどこも労働力が足りてなく、世界的に外国人を呼び込もうとしている中、日本の賃金は相対的に低く、気がついたら日本が選ばれなくなる状況になるので、今のうちに制度設計をした方がよい」と話しています。
【都道府県別 人口(日本人・外国人)一覧】
【都道府県別 日本人人口】
多い順に
▽東京都 1328万1311人
▽神奈川県 891万7670人
▽大阪府 844万3833人
▽愛知県 716万1850人
▽埼玉県 711万6638人などとなっています。
少ない順では
▽鳥取県 52万7998人
▽島根県 63万2135人
▽高知県 65万8202人
▽徳島県 69万1640人
▽福井県 72万7538人などとなっています。
前の年と比べて日本人の人口が増えたのは東京都のみで、増加数は1万6825人でした。ほかの46の道府県はすべて人口が減りました。
減少数は少ない順に
▽沖縄県 5469人
▽鳥取県 6700人、
▽滋賀県 7432人などとなっています。
一方、減少数の多い順位では
▽北海道 5万9896人
▽兵庫県 4万3926人
▽静岡県 3万8970人などとなっています。
減少率でみると、
▽秋田県 1.91%
▽青森県 1.72%
▽高知県 1.71%などとなっています。
【都道府県別 外国人人口】
外国人の人口は
▽東京都が最も多く72万1223人
▽大阪府 32万8128人
▽愛知県 32万1905人
▽神奈川県 28万4889人
▽埼玉県 25万7656人となっていて、
上位5つの都府県で全体の半数以上を占めています。
一方、最も少ないのは
▽秋田県 5753人
▽鳥取県 6005人
▽高知県 6661人
▽青森県 8415人
▽徳島県 8769人などとなっています。
外国人の人口は、47都道府県すべてで増加しました。
人口増加数が最も多いのは
▽東京都で7万3807人、次いで▽大阪府 3万1549人、▽埼玉県 2万7422人などとなっています。
一方、増加数が最も少ないのは
▽鳥取県 496人、次いで▽秋田県 531人、▽高知県695人などとなっています。
増加した東京 市区町村別では「中央区」が最多
総務省のまとめによりますと、東京都のことし1月1日現在の人口は1400万2534人で、去年の同じ時期と比べて9万632人増加しました。
市区町村別では、最も増えたのが
▽中央区で1万569人
次いで▽大田区 6885人
▽板橋区 5987人
▽世田谷区 5069人
▽足立区 5053人などでした。
このうち、中央区でこの1年間に増えた人口を年代別にみると
▽30代が2210人で最も多く
▽50代 1789人
▽60代 1372人
▽10代 1354人
▽20代 1228人などとなりました。
また、中央区で増加した人口の5人に1人、率にしておよそ20%にあたる2183人が外国人でした。
専門家 “夫婦共働きで職場に近い場所が好まれるように”
Q 日本人の人口が増えたのは全国で東京都だけでした。どういう理由が考えられますか?
A (日本総合研究所 藤波匠 主席研究員)
東京都は子育てや学校教育関係の支援が充実していて、住みたい場所になっています。夫婦のどちらかが働くという時代では、都心に住むのは金銭的に難しかったのですが、夫婦共働きになったことで家計を夫婦で支えるようになり、可能になりました。ともに家事をするには職場に近い場所が好まれ、特に中央区のような場所にファミリー世帯が集まる傾向にあります。
東京 中央区 増加人数は少なくとも過去10年間で最多
東京 中央区のことし1月1日時点の人口は、18万7404人で、去年の1月1日に比べ、1万569人増えました。
中央区によりますと、増加人数は少なくとも過去10年間で最も多く、10年後(2035年)にはさらに2割近く増え、22万3000人余りになると推計しています。
区では、人口増加の要因として「晴海フラッグ」をはじめ、臨海エリアでの大型マンションの開発が進む中、都心への利便性のよさや、多くの会社が区内にあることで現役世代を中心に転入が増えたことや、新型コロナによる入国制限が緩和されたあと外国人住民が増えていることを挙げています。
一方で、子どもの数も増えたため区内の小学校では教室が足りなくなっていて、校内の空いていた部屋を教室に転用したり、新たな校舎を建設したりしているということです。
中央区の担当者は「去年は晴海フラッグという大型物件の影響で大幅に人口が増えたが、臨海エリアを中心に開発が進むなか、人口は今後も増加するとみている。新しい住民が多いので、地区の祭りを開催したり、自治会を支援したりして、地域コミュニティーの醸成に努めていきたい」と話していました。
小学生や幼児の英会話スクール 申し込み 問い合わせ相次ぐ
都内で最も人口が増えた中央区では、年々、子どもの数も増加しています。
中央区晴海にある小学生や幼児の英会話スクールには、5年前のオープン以降、連日、入校の申し込みや問い合わせが相次いでいます。
現在、通っている子どもはおよそ120人と、定員にほぼ達していて、曜日によってはキャンセル待ちも発生しているということです。
英会話スクールの運営会社によりますと、問い合わせの中には「マンションを購入したので2年先の入校を予約したい」といった内容もあるということです。
英会話スクールの運営会社の阿部健人さんは「ほかの地区でも英会話スクールを運営しているが、この地区の子どもの増え方はひときわ多く、需要の高まりを強く感じる。ぎりぎりのなかで運営してるが今後、教室を増やすことも検討していきたい」と話していました。
引っ越してきた人「子どもがすごく多くて活気」
去年、さいたま市から東京 中央区に引っ越してきたという60代の女性は「子どもがすごく多くて活気がありますし、公園が多いので犬の散歩もしやすいです。バスの輸送システム『BRT』もあるので、都心に出るのもすごく楽です」と話していました。
ことし、都内の別の自治体から夫婦で引っ越してきたという30代の女性は「2歳の子どもがいますが、道が広いし、公園や屋内の遊び場もあって満足しています」と話していました。
一方、再開発の前から中央区に住んでいるという50代の男性は「新しく学校もできたので、子どもを育てるには最高の場所だと思います。タワーマンションがたくさん建設され、外国人も入ってきて、子どももすごく増えました」と話していました。
減少深刻な地域で「関係人口」の取り組みも
各地で人口減少が深刻になるなか、地域を活性化させるために多くの自治体が力を入れているのが「関係人口」の取り組みです。
「関係人口」は都市部に住みながら休日に地方で過ごすなどして継続的に訪れるなどさまざまな形で地域に深く関わる人たちのことです。
いわゆる移住とは異なるかたちで地域づくりの新たな担い手になることが期待されていて、国もことし6月に決定した地方創生の実現に向けた基本構想の中で「関係人口」を今後10年間で1000万人に増やすことなどを目標に掲げています。
岐阜 飛騨市では
この「関係人口」の増加に先進的に取り組んでいるのが岐阜県北部にある人口およそ2万1000人の飛騨市です。
飛騨市では農作業や地域の祭りの担い手、それにイベント要員などといった人手不足で困っている現場を市の運営するホームページに掲載し、全国から「助っと」を募る「ヒダスケ」と名付けた取り組みを行っています。
参加者は地元の人と交流したり、豊かな自然を楽しんだりできるほか、特産品の購入や飲食店の利用などで使える飛騨地域の電子地域通貨を受け取ることができます。
5年前(2020年)に始められてからのべで、およそ5200人が参加し、このうち5割ほどがリピーターになるなど人気を集めていて、受け入れる市民からも「街に活気が出た」などの意見が出ているということです。
「ヒダスケ」にトマトの収穫作業などを手伝ってもらっている農家の池田俊也さんは「受け入れ側は助かるし、来てくれた人たちも楽しんでもらえてウィンウィンな関係だと思います。(関係人口とは)半分仲間のような関係になれていてとてもうれしいです」と話していました。
飛騨市ではもともとは移住者の獲得に力を入れてきましたが、人口の減少を補うことは難しいとして「関係人口」に着目しました。
飛騨市総合政策課の上田昌子さんは「関係人口が地域の担い手になっていると感じますし、人口が減ってもなんとかやっていけそうという思いが生まれています。人口が減ってもサポーターやファンが増え続ける、面白い地域を目指したいです」と話しています。
「ヒダスケ」の参加者の1人、金子明日美さん(23)はふだんは東京でIT企業の営業として働いています。
大学3年の夏休み、就職活動の気分転換のため飛騨市を訪れたのをきっかけに「ヒダスケ」に関わり、社会人になってからも年に数回、高速バスなどを利用して「ヒダスケ」に参加しています。
これまでに祭り屋台の引き手や花火大会のスタッフなどを担っていて、東京ではできない経験ができる点や、飛騨市の人々と知り合い交流ができる点に魅力を感じているといいます。
金子明日美さんは「作業をしながら地元の人と会話をすることができて、私にとって飛騨市は第2の故郷感があります。私にとって大切な場所なので、息抜きに行く場所として今後も関わっていきたいです」と話していました。
「関係人口」について人口問題に詳しい関東学院大学法学部の牧瀬稔教授は「定住人口はどんどん減って、増やせない所が多々ある。関係人口によって地域が活性化する可能性が高いと、いろいろな地方公共団体が誘致している。いろいろな所が取り組むことで切磋琢磨し、ブラッシュアップされていくし、いろんな方が参画してもらった方が広がっていき、良いものができてくると思う」と話しています。
一方で「基本は行政中心の取り組みなので、地元の住民が知らないとぶつかりあってしまう可能性があるので、行政はしっかりと関係者の間に入って調整をしていく必要がある」と指摘しています。
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