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「1on1がうまくいかない」の正体とは?【お悩み相談会付き】 ~現場の声に寄り添う人事のための1on1リノベーション戦略~(全3記事)

リーダーが1on1でやるべきなのは“成功循環モデル“を回すこと 変化が激しい世界に必要な「パートナーシップ型マネジメント」 [1/2]

【3行要約】
・1on1は単なる面談ではなく、組織の成功循環モデルを回す仕組みであり、関係の質から思考・行動・結果の質へとつながるスパイラルを生み出します。
・北方伸樹氏は「現代は環境変化が激しく、リーダーよりメンバーが詳しい領域も増え、マネジメントそのものの変革が求められている」と説明。
・チームは個の集合体だけでなく関係の糸の集合体でもあり、1on1を通じて心理的安全性を高め、メンバーの潜在能力を発揮させる環境づくりが重要です。

前回の記事はこちら

1on1の対話をインストールする仕組み

北方伸樹氏:チームマネジメント塾というプログラムですが、最初に2回、4時間ずつかけてセオリーをお伝えしていきます。1on1をやるためにはいろいろなセオリーを頭に入れておかないといけないので、それを踏まえるために、この4時間、2回を用意しています。

そこから先はピットインセッションというのをやっていきます。ピットインセッションを5回、最終回はチェックアウトセッションというんですけど、これはこの期間の変化とか成果とかをそれぞれが語る時間になっています。この2時間で何をしているかというと、インターバルでメンバーと対話した体験について話して、みんなでうまくいった・いかなかったの話をして、「じゃあ次はどうするかな?」という会話をしています。

さらにセオリーの重要なポイントをこの5回に分けて、あらためて深掘りしています。集まって話すことを2週間に1回ずつやるわけです。その間で職場のメンバーと1on1をしてくるという課題がありますので、1on1をやってくるということになります。

メンバーからすると、上司が研修に入って、面談の相手をさせられるんだみたいな感じで始まるんですけど、やっているうちにお互いにおもしろくなってくるんですね。実際にメンバーが自分の仕事で行動に移していくので、仕事そのものも変わっていくという現象が起こります。

同じ悩みを抱える仲間で一緒にがんばる

手応えを感じ始めているなということがわかるのが、5回目、6回目、7回目ぐらいで、「あぁ、これやってて良かったですね」って言い始めるという感じです。だから後半に入ってから、期間でいうと3ヶ月目ぐらいのところで、「これは確かに価値があるな」とわかり始める感じです。

このプログラムの肝になっているのは、もちろんメンバーと対話をせざるを得ない状況に追い込まれていることもあるんですが、もう1つは同じ立場のリーダーの人たちと、部下のマネジメントについて一緒に考える時間を取っているところも肝になっているなと思います。みんな同じような悩みを抱えていて、それを一緒にできるようになろうと、仲間になってがんばるというところですかね。

3ヶ月ぐらい続けることで効果が見えてくる

このプログラムはなぜこんなに長い時間をかけているかというと、関係ってそんなにすぐに変わらないですよね。「こういう関係を作ったらいいですよ」って本にはいっぱい書いてあるんですけど。それはわかってますよという話なんですけど。

それをやらないとできないし、やったからといってすぐに変化が起こるわけじゃないんです。先ほど言ったみたいに、3ヶ月ぐらい経ったところでようやく「あぁ、そういうことか」ってわかり始めるということなんですよ。だから、ある程度続けないといけないですよね。このプログラムは単に思いつきで作っているわけではないです。ちゃんと理論的な背景があります。

ダニエル・キム氏による成功循環モデル

組織開発をやっている人たちは、だいたいみなさん知っているサイクルです。マサチューセッツ工科大学のダニエル・キムさんという教授が、「組織で成果を上げたいんだったら、こういう成功循環モデルを回さないとダメですよ」というふうに整理したわけですね。「あまり成果が上がっていないチームがあったとしたら、まず手をつけないといけないのは関係の質ですよ」と言っているんですね。

関係の質がいいというのは、先ほどもチラッと言った心理的安全性が高いという状態です。なんでも言える関係であるということですよね。だから、思ったことを言える、そういった関係の中で仕事ができるという状態を作るということですね。それはなかなかハードルが高いんですが、なんでも言える関係ができあがったとすれば、思考の質が上がりますよと言っています。

「関係の質」と「行動の質」のスパイラル

これって1on1でもそうですし、ミーティングでもそうです。お互いにいろいろな意見を言い合っていて、それで何か課題があった時はそれについて話す中で解決方法を見つけていくことが起こりますよね。これはコーチング用語でオートクラインと言いますが、話しながら気づくという場が作られていくわけです。話しながら気づけるのはなぜかというと、関係性がいいからですよね。

関係の質が悪くて、「この人の前では自分の意見を言ったら危ないな」みたいな関係だったら話さないので、思考の質が上がらないですよね。関係の質がいいので、思考の質も上がります。思考の質が上がると、何か課題があった時に「こうやったら解決できるんじゃないかな?」と思いついちゃうと、やってみたくなりますよね。なので行動の質が変化していきます。

行動の質が変化すると、前やっていた行動の仕方とは変わりますから、結果の質に影響します。もちろん外的要因もあるので、100パーセント結果が良くなるわけでもありません。成果が上がらないやり方をずっとやり続けるよりは、結果の質はプラスに変化するはずですよね。このサイクルを回しましょう。

この結果が出たら、関係の質も強化されますから。「みんなでいろいろ言い合って良かったな」という状態ができますから、またさらに良くなっていく。スパイラル状に良くなっていくということです。

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「1on1がうまくいかない」の正体とは?【お悩み相談会付き】 ~現場の声に寄り添う人事のための1on1リノベーション戦略~(全3記事)

「なんか話そうよ」では1on1は上手くいかない “意味のない時間”から“有意義な時間”にするために重要なこと [1/2]

【3行要約】
・企業で広がる1on1ミーティングですが、形骸化や効果測定の難しさから「うまくいかない」と悩む声が増えています。
・北方伸樹氏は、1on1は単なる対話の場ではなく心理的安全性を構築するパワフルなツールだと説明しています。
・1on1成功の鍵は「なんでも話す」だけでなく、メンバーの主体的思考を引き出す質問力にあり、それにより組織風土が変革します。

1on1を導入している企業が増えている

北方伸樹氏:今日は現場の声に寄り添う人事のための1on1リノベーション戦略「『1on1がうまくいかない』の正体とは?」ということで、1時間ほどお時間をいただいております。後半、そんなに長い時間は取れないですが、お悩み相談の時間も取っていきたいと思っております。

1on1を導入している企業がだんだん増えてきています。それは大変喜ばしいことではあるなと思っていますが、「意外にうまくいっていないんですよね」という声が聞こえてくるので、当社でいろいろ試みていることをご紹介しつつ、ヒントにしていただければと思っております。

まずは私の自己紹介をしておいたほうが安心していただけるかなと思うので、簡単に自己紹介をさせていただきます。オフィス・アニバーサリーという会社をやっています。大阪の本町と淀屋橋の間ぐらいにある船場ビルディングという築100年のビルがあるんですけど、そちらのレトロビルの中でお仕事をさせていただいています。

仕事は何をしているかというと、基本スキルとしてはコーチングとかファシリテーションとかをやっています。そういったスキルを通じてクライアントの企業さんの中の、特に上司と部下との関係を変える仕事をさせていただいています。

いろいろややこしい案件もけっこうあります(笑)。「人間関係がドロドロで、なんとかしてください」みたいなこともあったりとか。そんなおもしろい案件をいろいろさせていただいております。

コンサル会社でのつまずき

独立してもう13年になります。長くやっているわけですが、そもそもは何の仕事をしていたかというと、今は日本製鉄株式会社という会社になっていますが、住友金属工業という鉄鋼会社で11年ほどお世話になりました。

こちらで、いわゆる大きな組織の中で仕事を動かす……。根回しとか関係性みたいなものがけっこう重要になってきますので、そういった仕事をさせていただいていました。大きな組織の中でものごとを動かしていくことを体感していたのですが、そのあとコンサル会社に入ろうと一念発起して、入れていただきました。

小さいコンサルティング会社なんですが、コンサルタントなので、いろいろ教えるのが仕事だと思っていたんですね。業務の改善とか、マネジメントサイクルがうまくいっていなければ「ここを直してくださいね」と言うとか。そういう仕事をしていたんですが、最初のプロジェクトでつまずきました。

質問して考えさせて、相手に話させる

行動変化をしてもらわなきゃいけない仕事だったんですが、ぜんぜん行動が変化しないんです。「こうしてください!」って説明したらですね、「はい、わかりました」と言って、リーダーの方々がやってくれるかなと思ったら、やらないんですよね。口だけ「やりますよ」と言いながら、実はやっていない。本当に日々そんな感じでした。

そうすると、私は上司から怒られますね。「北方さん、ぜんぜん何も変化が起こってないよね」と言われるんですよね。毎晩詰められまして(笑)。困ったなと思っていたら、先輩のコンサルタントが「北方さん、最近コーチングというのが世の中で流行り始めているらしいよ」って教えてくれたんですね。

その先輩もよくわかっていなくて、「質問して考えさせて、相手に話させるらしい」と、それだけ教えてもらったんですね。じゃあちょっとやってみようということで、毎日1対1でリーダーの方々と会話していましたので、その中で質問することにしました。

それまでは「ここのフローは、こうしたほうがいいんじゃないですか?」みたいなことをやっていたんですが、聞いてみることにしました。

マネジメントを扱っていたので、「マネジメントをしていらっしゃって、どういうところが課題だと思っていらっしゃるんですか?」と。素人なのでド直球に聞いてみたら、「ここが課題だと思うんですよね」「こういうところも、なんとかなったほうがいいと思っているんですよね」というような感じで、いろいろしゃべってくれるんですよね。

やらない理由がいっぱいあるから行動になっていない

その時にわかったんですが、こちらから「あなたの課題はこうですよね」と言っていたけれど、本人が一番よくわかっていることがわかりました。課題があることがわかったわけなので「じゃあ、それをどうやって解決したらいいと思います?」って聞いたら、解決方法まで考えているんですね。

やらない理由はいっぱいあります。やらない理由がいっぱいあるので、結局行動になっていないことが、すごく多かったなと思うんですね。

「それ、どうやって解決しますか?」と聞いた時に、さまざまな要因があるんですが、大きいのは上司との関係ですね。「どうせこの案を上司に言っても、結局変わらないと思っているんですよね」と。「YESと言ってもらえない」という、そういう思い込みみたいなものがあるわけですよね。私は外の人なので「ちょっとその上司と一緒に話しません?」と言うと、話すことになるんですね。

それで実際に話してみると、「そういうことを考えているんだったら、やってみたらどう?」と上司のほうも言ってくれたりするんですね。なんとなく距離があるので言えていないみたいなことが、すごく多かったなと思います。

そうやって自分で「これをやったらうまくいくんじゃないかな」と話して、「やってみたいな」と思えば、けっこう行動が変わっていくということに立ち会うことができました。

最初のうちは、コンサルタントは向いていないかなと思っていたんですけれども、成果がちゃんと出るようになると、おもしろいなと思い始めました。

リーダーの方々には共通した悩みがある

どこかでちゃんとコーチングをやってみようかなと思っていたんですが、途中で人事の責任者をやらないかという話があり、ベンチャー企業にお世話になりました。その後、コーチングの専門の会社があることを知り、そちらに移ることにしました。ここで5年半ほど修行して、独立して今に至るという経歴ですね。

このコンサル会社に入って以来、リーダーの方々とさしで話すということがものすごく多くて。会社によっていろいろですが、リーダーの方々には共通した悩みがあるなぁと感じております。

「人を育てる」のは本当に難しい

みなさんにも、どんな関心を持って、このセミナーに参加されたのかを書いていただきたいなと思います。

(コメントを見て)「人材育成の大切さと難しさを実感している」という状態ですね。これは人事の方に限らずリーダーの方々は本当にお悩みだと思います。実際のお悩みです(笑)。

たくさんのリーダーの方々とお付き合いしていますけど、人を育てるというのは本当に難しいんですよね。でも人が育たないとチームが成り立っていかないので、本当にこれはみなさん共通のお悩みというか、感覚ではないかなと思いますね。

「部下とのコミュニケーションが円滑に取れず、本音を引き出したい」。あぁ、そうですね。これもリーダーの方々のお悩みでよく出てきます。ありがとうございます。

「1on1がうまくいかない理由の1つとして、効果があったのかがわかりづらい点があります」。確かに。

「効果測定のヒントがあればと思い、参加させていただきました」。そうですね。手応えがあったなと思っても、何が変わったのかがよくわからないということがあります。そのあたりをどうしたらいいのかということで今日来てくださったということです。ありがとうございます。

「形式的ではない1on1はどうやったらできるのか。コツやポイントなどを知りたいと思いました」。ありがとうございます。そういう要素も盛り込んであるので詳しくお伝えしたいなと思います。

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