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【勘違い】スキルアップへの近道は、技能や資格を増やすことではない(全1記事)

スキルは資格ではなく“解いた課題の数”で決まる キャリアアップに役立つ実績の言語化のコツ [2/2]

資格を持っているだけでは意味がない

豊間根:要はね、「課題」というのは、イコール、ほぼ「スキル」なんだけども、場所と高さがあるんですよ。今、YouTube運用というピラミッドの中で、動画1本をいい感じにするとか、もしくは、テロップ1個をうまく入れるみたいなところから、「いかに」の階段を上っていくみたいな話。

じゃあYouTube運用とぜんぜん違う、法人営業というピラミッドの中で、営業資料の1パーツをカッコ良くするみたいなところから、個人の業績を伸ばしにいくとか、チームとしてマネジメントをして業績を伸ばしにいくとか、あるいは営業部署全体の戦略を決めて業績に寄与するかの方針を決めて、なんとかうまく実現して上っていくみたいな。

「自分はこの場所で、この高さの仕事ができます。課題が解けます」というのがスキルなんですね。それを表すためには、自分の持っているスキルを、「私はこの課題を解けます。解いたことがあります」ということで、「私はこの領域で、この『いかに』ができます」というのがスキルなんですね。だから資格は意味がないんですよ。

岩本:そういうことですね。

豊間根:もちろん意味がなくはない。「自分はこの領域において一定の知識を持っていますよ」ということを示すステッカーを付ける意味では意味があるんだけども。

それって、「あなたはその資格を持っていると、どの『いかに』ができるんですか?」ということの証明にはならないので、資格を取るだけでは意味がない。

“実務経験3年以上”が求められる理由

豊間根:だから、「実務経験3年以上必要」とか、よく言うじゃないですか。

岩本:はい、ありますね。

豊間根:あれは、あなたはこの領域で、ある程度「いかに」の階段を上っているであろうことがわかるから、実務経験を求めている。よく「職務経歴書はSTAR(Situation:状況、Task:課題、Action:行動、Result:結果)が大事だ」と言うじゃないですか。状況とか、要因みたいな。

あれも、その人がただ作業をこなしたんじゃなくて、「いかに」の階段をちゃんと上って、ある領域において問題を特定して、要因に対して打ち手をぶつけて、成果を出した経験があるのかどうかを確かめるために、職務経歴書にはSTARを書くべきなわけですね。

だから要は、自分がやっている仕事が、どの領域における、どんな「いかに」をやっているのかを認識して、自分がこれから、それができているのか・できていないのか。これを上っていきたいのか、あるいは別の領域に飛ばしていきたいのかを意識しながら、自分のスキルを考えると、キャリアの見通しが良くなります。という話を、すごく早口でしました(笑)。

岩本:(笑)。いや、最後のところはすごく腑に落ちましたよ。自分がスキルを付けようと思う時も、手当たり次第やるんじゃなくて、「目的がこれだから、このスキルが欲しい」みたいな考え方が必要ですし。

人との目線合わせの時にも、「自分はYouTubeの運用ができます」とかだと、違った意味で捉えられちゃうこともあるので、具体的に「『いかに』のこれができますよ」というところをすり合わせることによって、ミスコミュニケーションも防げそうだなと思いました。

「いかに」の階段を上ると経営に行き着く

豊間根:おっしゃるとおり。そうなんですよ。さらに、この「いかに」の階段を上り続けると、どうなると思いますか?

岩本:え? でもなんだか、そこで成功できそう。

豊間根:それはそうなんだけど、究極的にはマネジメントになり、経営になるんですよ。

岩本:確かに、そうですね。

豊間根:これってどの領域であっても、上り続けると最終的には経営になるのね。

岩本:そうですね。下(の人材)を育てるとか、自分のノウハウを伝えるとか、そういうところにいきそうですよね。

豊間根:自分1人じゃなくて、チームで達成するとか、会社で達成するみたいなことになると、究極的にはマネジメントとか経営になって、そこまでいくと最強なんですよ。だってこれ、基本的には共通だから。

岩本:そうですね。

抽象度の高いスキルは業界を超える

豊間根:YouTubeの動画をどうやって作るかというスキルは、確かにPremiere Proとかを触れないとできないんだけども、じゃあ会社の経営をどうやっていくかって、業界によってもちろんノウハウとか違いはあるんだけど、本質は一緒なんだよね。だから、プロ経営者の人って、ぜんぜん違う会社に行っても成果を出したりするわけですよ。

「いかに」の階段を上って抽象度を上げていくと、どこでも通用する最強の人間になれるので、やはり「いかに」の階段を上ったほうがいいし、階段を上った視座で物事を考えられたほうが、中長期的なキャリアには良い方向に働くことが多い。とはいえ、頭でっかちになりすぎても良くないので。

岩本:あはは(笑)。そうですね。

豊間根:「いやいや、あなたには『いったんサムネを作ってほしい』という話をしていて、『YouTubeの方針を変えよう』とはお願いしてないんですけど」みたいになっちゃうと、ミスコミュニケーションが起きちゃうんだけども。

でもやはり、自分の1個上の「いかに」を意識して課題に取り組むと本質に近づきやすいので、自分が今、どの「いかに」に取り組んでいるかを意識するというのは、ぜひやってみていただきたいなと思います。

今、自分はどんな「いかに」に取り組んでいるか

豊間根:ちなみにヒロカさん、今、あなたは何の「いかに」をやっていますか?

岩本:いかにお客さまに、うまくうちの製品を伝えられるか。

豊間根:なるほどなるほど。伝えるだけでいいんですか?

岩本:売る。

豊間根:「いかにお客さまに、うちの商品をより多く買ってもらうか」ですかね。

岩本:そうですね。

豊間根:なので、例えばそのために営業資料をうまく作るとか、知識を身に付けていくとかがあるわけだね。

岩本:いろんなものが出てきますね。

豊間根:確かにヒロカが、これからリーダーになったり、マネージャーになったら、自分だけじゃなくて、いかにチーム全体として目標を達成できるかとか。それをするためには、もしかしたら1on1の技術とか、目標設定の技術が必要になってくるかもしれないけども。

今はいったん個人として、目標をどう達成するかに向き合っていると。かつ、それが法人営業で、IT系の領域ということですね。

こんなふうに、みなさんも自分が仕事で、どんな「いかに」に向き合っているのかと、その「いかに」のために必要な要素が何かを一度言語化して、よりレベルアップするために、どういうことを学ぶとか、何に取り組めばいいのかを考えてみると、自分の出すべき成果の解像度が上がって、より仕事に取り組みやすくなるんじゃないかなと思います。ぜひ、みなさんも「いかに」の階段を上ってみてください。


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課題解決の思考法 2年かけて執筆した新刊のエッセンスを、たった1時間で凝縮解説!(全4記事)

仕事の目標設定によくある3つの誤解 上司の“嫌な突っ込み”が教えてくれた課題解決の本質 [1/2]

【3行要約】
・問題解決において課題を明確化することは重要ですが、「なぜまだ解決していないのか」という視点が見落とされがちです。
・ 高松氏は、課題とは相対的なものであり、選ぶものだと指摘。目標設定では数字で語ることが会社を動かす鍵になります。
・効果的な問題解決には、課題を決めるキーチャートの活用や、解決策が満たすべき3つの条件(目標達成、目的合致、制約条件)を明確にすることが求められます。

前回の記事はこちら

“課題を明らかにする際のポイント”とは何か

高松康平氏:課題とは、何に取り組むかを決めることです。よく研修とか本で、こんな1枚のイメージを見たことがあるんじゃないかなと思います。ファクト、事実を集めて、まとめて、これが課題であるとまとめます、というものです。

ただ、まとめて上司もしくはクライアントに報告するとします。上司に「これが課題だと思います」と言いました。「高松君、ありがとう。ほかの課題はないのかな? それだけが課題なのかな?」みたいな突っ込みをもらいます。みなさんは、こんな経験はありませんか? 私はあります。

「いやいや」と。いつも「シンプルに言って」って言うからこっちは「課題はこれだ」って言ってみたのに、「ほかの課題はないか?」って。正直に言わせていただきますと、私は「嫌なやつね」って思っていました。

でも、上司は嫌なやつではなかったんじゃないかなと、今は反省しています。これは、上司にとって自然な疑問なんじゃないかなと思います。

つまり、課題を考えるポイントはこういうことなのかと。見えている問題の場合、目標があって、現状があって、何か問題が起きたら、何に取り組めばいいか、課題を明らかにする。

その課題を明らかにする際のポイントは何か。こういう問題ってたぶん、今までも何回か起きてしまったり、対策をしているにもかかわらず起きてしまう。だから課題を明らかにするためには、「why not yet、なんでまだ解決していないの?」に答えなきゃいけない。

“なぜそこに取り組むべきか”を明確にする

有名な例といいますか、見えている問題で言うと、やはり業務ミスとかそういうものです。(業務ミスが)また起きた。それを解決するための課題を発見するには、「実は今回はこれができていなかったんです」というファクトがあれば絶対的な課題を証明できる。つまり「今回だけはこれができていなかった。だからこれに取り組みましょう」と、課題を言える。

でも、見えていない問題の場合って、そもそも目標がわかっていなかった。その時にそもそも目標が定まっていないのに「これが課題です」って言われても、「んっ?」てなる。

つまり、より良い未来を作るために何に取り組むかを明らかにしたいので、「ほかよりもこの課題に取り組むほうがより良いよ」って言わないといけない。

上司は嫌なやつじゃなかったんですね。ごめんなさい。なぜ、ほかの課題じゃないのか。「why not others」に答えなきゃいけない。

だから、「いろんな課題、取り組むことがあるけども、その中でこれがいいよ」と言わなきゃいけないということだったのかなと思います。

課題を決めるキーチャートの活用法

つまり、課題を伝える際には、ちょっと工夫が必要なんです。「課題を決めるキーチャート」と呼んでいます。課題を決める際には、その1「事実の解釈」。絶対的な事実がある場合はこれでいいと思います。「事実1、事実2、事実3。こういう事実があるから、こういうことに取り組みましょう」と。見えている問題の場合はこれでいいんじゃないでしょうか。

ただ、見えていない問題の場合には「より良い」って言えなきゃいけない。だから、その2、その3、その4、どっちかのパターンを示します。その2「A vs B」。課題はAではなくBだよと。悩ましい2つの課題候補を出す。「右に行くか? 左に行くか? 2つあるけども、私はAではなくBである」と(いう)。出来レースはダメですよね。Bって言うためにちょっとAを添えるだけとか、それだと意味ありません。

より良くするためには、両方できない(場合は)、2項対立で課題を選ぶ。そうすると上司も「確かにね、どっちかだよね。私もそう思うよ」とか、「いや、私はこっちだと思うよ」と、議論すればいいんです。

また、その3「複数案を表で比較」。「A、B、C、Dと、課題の候補がいろいろあるけど、私はCだと思うよ」という。また多数案がある場合には、「いろいろある中でAとBである」といったかたちで多数の案を比較するのもいいんじゃないかなと思います。

つまり、見えていない問題を発見して、解決策を考えるわけなんですが、課題というのは相対的なものであり、選ぶものなんだと。そのためには課題を決めるキーチャートという考え方が必要なんだというのが、課題を決めるところのポイントになります。じゃあ、課題が決まったら、目標を決める。

目標設定の本当の意味とは

「目標って何のためにあるの?」っていうところなんですが、まず①番。会社をイメージして書きましたが、経営陣から管理職に目標を伝える。そうすることによって会社の大きな方針を伝えることができる。管理職は、それで何に注力するか決められます。

管理職もメンバーに「あなたはこういうことをがんばってください」と、目標を伝えます。そうすると、仕事の優先順位を決めることができる。

③。これは、すべての会社で働く人もそうですが、目標があることで何に取り組むか(の選択や)、仕事の振り返りができる(ようになります)。

これらは基本的に上から下に伝えるということで、正直、私はワクワクしたことはありません。「目標が落ちてきたよ。今期も高いな」みたいな、そういうものですね。

中から外もありますね。④、対顧客。「うちの会社、こういう品質をお約束するよ」とか、「こういうブランドですよ」とか。そして⑤番、対投資家。「うちの会社、こんなふうに成長するよ」とか。また、対⑥、「社会にこんなふうに貢献するよ」とか。最初の①、②、③よりは、対外的に貢献できるし顔が見える存在もありますので、これはちょっとテンションも上がるかなと(思います)。

組織を動かすために数字で語る

さらに今回、見えていない問題に取り組むに当たって、なんで目標を決めるのか。⑦です。メンバーから管理職。管理職から経営陣。つまり会社を動かすためには目標、言い方を変えると数字です。「これくらいこういう成果が出せる。だからやりませんか?」という。

やはり会社は数字でつながっています。P/L、B/S、キャッシュフロー。会社を動かすには、数字で語ることが一番効果的かなと思います。ノルマじゃないんです。「こういう課題に取り組んだらここにいけるかもしれない」という可能性なんです。あるべき姿ではなく、ありたい姿なんです。そうやって多くの人を巻き込んでいくことが、目標設定のポイントです。

じゃあ、どんなふうに設定するか。これはもう、今まで考えたものを数字に落とす。つまり現状があって、課題がある。「その課題に取り組んだら、どんな変化が起きるかな?」と想像していく。一定の仮定を置きながら計算します。

計算して、その目標が妥当か確認する。その1「目的を達成するための目標としてふさわしいか?」。会社とか事業とか、いろんな目的を掲げていらっしゃると思いますので、それと照らし合わせます。

そして「外部環境の変化と比較して、胸を張れる内容になっているか?」。やはり、市場とか競合の動きも気になります。そこだけでは決めませんよ。市場がこれだけの動きをしている。競合がこれだけがんばっている中で我々はこれだけがんばる。そこをチェックするという意味では必要なのかなと思います。

大事なのは自分たちがどうなりたいか。そこの思いがまず大事で、そしてどうなれるかが先かなと。そんなところで、その1、その2を確認しましょう。これが目標を確認する方法となります。

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