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TSしたけどあんまり変わらなかったです/Novel by XJ(改)投棄場のようなもの

TSしたけどあんまり変わらなかったです

10,042 character(s)20 mins

TS病である日突然女になったけど、男の時とあんまり変わらなかった、な感じの話です。
こういうパターンの変化もまあ面白そうだなと思って書いた件。

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人生はどこかで転機があるものだ、とは誰が言ったのか。
俺の場合は今まさに、どこかであるはずの転機がやってきたと言える。それも、悪い方で。

TSびふぉーあふたー 無変化編


俺、マサチカが何かおかしいと感じたのは先日の事。
別に熱があるわけでもなく、喉が痛いわけでも咳が出るわけでもなく、ただひたすらに調子が悪い。
気のせいかもしれない、ちょっと寝不足かもしれない、そう思っていたのだが、あるタイミングでぶっ倒れてしまった。

救急車で運ばれたが、しばらくたって少し良くなってきた。もう大丈夫だろうと思ったが念のため病院で精密検査。
そして分かったこと、ちっとも大丈夫じゃなかったということ。診察室で医者が目の前の俺に神妙な顔でこう告げた。

TS病です。

今、何と言いました? TS病? まさか、噂に聞いたことのあるあの病気ですか?
聞いたことがある、都市伝説的にも言われることがあったが、実在する謎の病気。

それは、ある日突然男が女になる病気。原因不明、ウイルスなのか体質なのか遺伝なのかもよくわかっていない。
はっきりしているのは発症したら止めるすべはなく、ほぼ治療不可能で、確実に女になってしまうという事。
そんな病気に、俺がなったと?

現実には受け入れがたい。俺はこれから確実に女になってしまうという現実を突きつけられて。
今までの男として生きてきた自分が一気に全て否定されたようで。目の前が真っ暗になって。

それから俺は経過観察ってことでそのまま入院した。何かの悪い冗談であってほしかかった。
だが現実は非情である。医者からはきちんと診断書が出てきたし、はっきりと早ければ数日、長くても一週間以内には見た目に変化が表れ始めると言われてしまったし。

病室のベッドの上で俺は頭の中かぐちゃぐちゃになって。
世の中には自分の意志で手術して女になる人もいるが、俺はそんなんじゃない。女になりたいなんて思っていない。
しかし自分の意志などお構いなしに体が変化し、女になるのは確定的であり。

病衣に着替えた自分の体をまじまじと見てしまう。ごくごく普通の男子の体だ。これが、女になると?
俺の見た目はたいしてパッとしないごくごく普通の体。そこそこ筋肉はついてるけど、別に平凡なもの。
だが、確実に男であり、決して女ではない。

そんな自分の体が女になるって言われて、平常でいられるやつがいるだろうか?
自分のなにもかもが女になる? 自分が自分でなくなるのか? それが、怖かった。

それから変化が出るまでの間、カウンセラーの先生がやってきて話をすることになった。
やってきた先生は美人だった。スタイルもよくてドキリとする。俺のムスコが反応するぐらいに。

でも自己紹介されて驚いた。その先生、TS病を発症して女になった元男という。
え、こんな美人が? って思わず口にしたら「ふふっ、ありがと」って礼を言われた。なんか嬉しそうだった。

男だけど美人って言われて嬉しいものなのか? 思わず疑問を口にしてしまってヤバいと悟ったが、でも先生は「褒められると嬉しいものよ」って。
それから、あれやこれやと先生の体験と話を聞いていた。苦労もあればいいこともあったと話してくれる。

人生ってそんなものだと。いいこともあれば苦労することもあるのは、ある種当然だ、と。
つまり、どんなことも物は考え方でいい事にも悪い事にもなる、と。

そんな話を聞いて、俺の考えは一応整理がついた、気がした。
確かに今までの男が否定されたようなものだが、俺自身が否定されたわけではない、と。

女になるってのも大変な話だが、それで自分がいなくなってしまうわけではない。
新しい自分に生まれ変わるようなもので、それを受け入れられるかどうかで変わってくるのだと。

開き直りともいえるかもしれない、諦めと思えるかもしれない。けど、やっぱり前を向くことだって大切だ。
実際不安だってある。だが、いつまでもうじうじしていたら一向に前に進めないじゃないか。

そう思って俺は少しずつだけど、現実を受け入れようと思う。
だから俺は女になってしまうことを受け入れようと思う。どうなるかわからないけど、先生にその決意を伝えて、サポートしてもらうことにした。

それと、自分が男だったことを忘れないように……毎晩ちょっとムスコを慰めておくとしよう。



こうして俺は女になった。

入院から数日後に変化が表れ始め、今まで以上に倦怠感が大きくなり、体の節々が痛みでぎしぎしと音を立てているかのようで。
それはまさに体が作り替わっていると言える現象だった。

それが周期的に波のようにやってきて、そして数日たったある日、今までにない一番大きな波がやってきて。
痛みで暴れる俺を先生と看護師たちがベッドに固定して、それを俺はひたすら耐えていて。そこにカウンセラーの先生もやってきて「頑張ってマサチカ君」って励ましてくれて。
そして最高度に達した時……チンが取れた。

取れた瞬間今まで襲っていた体中の痛みが何事もなかったかのように引いていって、呆気にとられるかのようで。
ぶっちゃけ取れた瞬間は絶頂みたいなもので、なんだかすごく気持ちよかったのがなんとも。

カウンセラーの先生からは事前にどのように変化があるかは聞いていたけど、これはさすがに想像以上だった。まるでチンを出産したかのようだった。
そんな最高潮を越えた俺は、そのまま気絶したかのように意識を手放した。

そして目を覚ました時、かの出来事から半日ほど経っていたようで。
目が覚めたところで看護師に続いてカウンセラーの先生もやってきて見せてくれた。俺から取れた、チンを。

体の変化が徐々に進んでいて、そのせいで元々のサイズから半分くらいになっていたそれ。
ホルマリン漬けの瓶に入った俺の体の一部は、もう自分には存在しない器官だと知らされる。

そしてその代わりができた。手鏡を用意してくれて、そしてしっかりと見せてくれた自分の体の一部。
そこにあったのは一本の割れ目。つるんとした表面に、足の間に女の子の割れ目ができていて。

まじまじと観察して、そっと触れてみたりもして。
物体が存在していたはずの場所に物体が存在しなくなってしまったことを実感してしまい、そして自分が変わってしまったことを理解して、涙があふれてきた。

散々泣くと気持ちの切り替えってものは早いものだ。それからは現実を見ることにして。
検査を受けて間違いなくに女になったことが医学的にも証明され、そして俺は退院した。
ここに来るまでちゃんと決めていたことだ。前を向いて進むのだと、変化した自分を受け入れるのだと。

こうして俺は女になった。女になったのだが……



「なーんか、思ってたのとは違うんだよなぁ」

思わず口にしてしまう。間違いなく俺は女になったのだが、正直なところ本当に女になったんだよな? って言いたいぐらい。
なにせ女になったけど、見た目があんまり変わってなかったのだから。

TSびふぉーあふたー 無変化編


完全に女になった日、改めて自分の姿を鏡で見たのだが第一印象は「どこか変わりました?」って具合で。
病着姿の自分、男の時に見た姿と本当に変わってない気がしたもので、間違い探しでもするのかこれは、ってレベルで。

顔つきはちょっと柔らかくなったかなーぐらいの変化で、髪の毛も大して伸びてない。
声はちょっと高くなったものの、女としては低いし決して「カワイイ女の子」な声ではない。

肩幅はちょっと狭くなったかも、な程度で骨格も全体的にそんなに変わってないんじゃないか?
身長も大して変わっていない。TS病で女になると背が縮むって話だったが、男のそこそこ背の高いままだし。

腕は筋肉がちょっと落ちて細くなった。けど病院でずっと寝ていたのだから体動かしてなくて落ちただけかもしれない。
腰回りはちょっとはボリュームアップしたか? 尻太ももは、まあ男のごつい感じはなくなったけど、その程度の変化。

そしてなによりも……胸がない。

微乳、真っ平、つるぺた、まな板、大絶壁、マジでないです。カウンセラーの先生によると「個人差があるから……」だそうです。
まあ先端がちょっと大きくなったぐらいの変化はあるけど、これ男の胸板と何が違うん?

これから育つのだろうか? と思ったがそうではなくおよそ体の変化はあの取れる段階でほぼ終わるらしい。
という事は今後俺の胸は成長見込みなし、パインボインになる可能性はほぼないようで。
あのときの先生、憐れむような眼はやめてほしかったなぁ。

くそう、どうせ女になるんだったら巨乳になりたかった。あの先生みたいなナイスボリュームがほしかったなぁ。
まあおかげでブラ付ける必要なくなったから良しとしよう。めんどくさいイベントを一つ回避できたと前向きに考えよう。

そう、女になったことで身の回りの物を変える必要が出てきてしまった。
一番大きく変わったのは制服だった。女子用の制服、つまりスカートってやつを渡されて。

スラックスのままでいいんじゃね? って言ったのに「今後は戸籍上も女性になるので、校則に従ってください」だとよ。
このご時世ダメなのかよ、めんどくせえ。いいじゃねえかスラックスでも。

そうして仕方なく受け取った女子用制服のスカートを試着してみたのだが、まあ似合わん。
鏡に映る自分の姿を見れば、無理やり女子の制服着せられた感満載の女装男子にしか見えなかった。

こんな見た目ならばマジでスラックスにしたい。
むしろ男のままだと押し通せばよかったか? いやダメだな、もう学校には話通っちゃってるし。
柔軟性ってものがないよなぁ。

それとともに実用性がものすごく不安定なもので落ち着かない。
なぜかうちの学校の制服のスカートの丈が短いから、ちょっと動くだけで簡単にめくれてしまいようで。

女子って本当によくこんなの穿いていられるよなぁ。感心するよ。
むしろ嫌がっている人もいるんじゃないか? そこんところ上手く突いて女子の制服スラックス認めさせる活動してもいいか?

しかしどんなに計画したところで、今現在はスカートを穿いて登校しなければいけないのは事実。
本当に仕方なく女子として、ほとんど見た目は男のままなのにスカート穿いて登校せざるを得ない自分が今、ここにいるのであり。

「女になった、かぁ」
「見た目全然変わってないけどな」

そうして現在登校中、一緒に歩く友人のナルアキは俺を珍獣を見るかのようにまじまじと見ていた。
まあ気持ちはわからんでもない。ちょっと前まで男として共に歩いていた友人がいきなり女装しているわけだし。
しかし女装じゃないんだよなぁ。見た目は男のままだけど下半身は確実に女になっているんだからなぁ。

「うーん、なんかすげぇな」
「事故だよな」

気持ちはわかるがさすがにここまでじろじろ見られると気分はよくない。
男から見られる女子の気分ってのはこういうものなのか。視線を感じるというが、やはりいいものではない。

「……思ってたよりイケるな」
「ん?」
「可愛いって言うのは違うけど、アリだな」
「何が?」

ナルアキが何かを理解したようで。俺をじろじろ見て一体何を結論付けたのだろうか?
俺からは既に視線は外し、なにか真剣な顔して腕組んでいるのだが。

よくわからんが、俺がこうやって女になってもナルアキはちゃんと変わらず接してくれるようで。
そこんところはすごく安心した。今まで通り友人としてやっていけそうだ。
そう思っていたところでナルアキは真剣な顔してこっち向いた。

「なぁ、マサチカ」
「なんだ?」
「付き合ってくれ」
「………は?」

前言撤回。今まで通りとはいかなさそうなこと言いだしやがった。

「お前、何言ってんの?」
「だから、オレと付き合ってくれ」
「……正気か?」

なんか悪い物でも食ったのかと疑ったが、こいつ目が真剣だった。いたずらとか冗談とか、そういう表情じゃない。
こいつはマジな顔でキッ、とこっちを見ており、その目は勇気出して告白した男子そのものの表情。

え、どういうことこれは? 到底理解できないのだが?
俺なんてほとんど男の時と変わってないんだぞ? なのに告白? これどういうことだ? はっっ! もしかして……

「お前……ホモだったのか!」
「ちげぇよっ!!」

あれ? 違う? そんなはずはないだろ?
俺と付き合うってそういう事だろ? で、見た目男なままの俺と、ってことは、そういう事じゃないのか?

「あのさぁ、俺男の時とあんま変わってねえぞ? 中身だってそのままだしハートがいきなり女になったわけじゃないし」
「そんなこたぁわかってる」
「じゃあやっぱりホモ……」
「だから違うって!!」

何が違うというのか? だって俺は俺だし、男と付き合うってやっぱりホモ……いや、一応俺は女になったか。
だけどなぁ、俺の見た目これだろ? 女になったけど、ほとんど女装した男と見た目変わんないし。

「お前少しは自覚持てよ、女としての」
「今まで男だったのに自覚なんて言われてもなぁ」

大体何がいいんだよ? もしかしてこいつ、今までモテなさ過ぎて女ならだれでもいいとか思ったんじゃないよな?

「マサチカはオレのダチだ。今まであれこれと仲良くなってきた」
「うーん、まあそこそこには」
「そんな友情関係が、男同士から男女になったんだぞ」
「中身は変わってないけどなぁ」
「だったら、男女の仲になったっていいじゃないか!」
「そういうものかぁ?」

こいつの言う男女の仲ってのがよくわからんのだが。
確かに友人関係ではあるし、そこそこ仲のいい親友と言えるかもしれないけど、だからってあっさり男女の仲になるのかぁ?

「大体見た目変わってねえぞ? 胸だってまっ平だし。お前巨乳好きだろ?」
「何を言う! 貧乳だってステータスだっ!!」
「……何だろう、今殺意が混みあがってきたのだが」

不思議なものだ、胸の事を言われたら奇妙な感情が混みあがってきた。
胸がコンプレックスな人が「それがいい!」などと言われた気持ち、なんかわかってきた気がするぞ。

しかし女になって登校して、初日でとんでもない事態に直面してしまったな。
体が勝手に女になっちまったことで、女として生活しなきゃならないことで、周囲の反応も心配していたのだが。
殆ど男の時と見た目変わってない状態で女子として学校生活できるのか、あの性格悪い(と思ってる)女子たちに受け入れられるのか、体育の着替えとかどうすんだ、とか。

自分は自分のままのつもりだけど、周りは「女になった」ってことで、変な興味とかもたれたら最悪だとは思ったが。
それよりも何よりもいきなり友人から付き合おう、なんて言われるとは思ってもいなかったことで。

俺はナルアキのことをずっと友人だと思っていたし、今でもそう思ってる。
しかし、こうやって真剣な顔で「付き合ってくれ」とか言われると、どうしていいのかわからない。

今まで男同士の友人同士で、それが男女になったことで恋愛対象として見られるかと言えば、いや無理だろ。
これって冗談で言ってるんじゃないよな? 俺が女になったことでちょっと気を和ませようとしているわけじゃ、ないよな?

大体こっちは自分が女になった現実を受け入れるだけで精一杯なんだよ。恋愛とか、付き合うとか、そんな段階まで気持ちが追いついていない。
いや、そもそもそっちに向かうレールにすら乗ってない。俺はまだ、自分のレールが線路工事中なんだよ。
男と付き合うなんて考える余裕がない。けど、女になったから、いつかは、あるのだろうか?

まったく、女になったら友人から告白されるイベントがいきなり発生するとは。
人生の転機なんて本当に何が起こるかわからない。とりあえず、こいつへの返事はどうしてくれよう。

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