広陵高校の甲子園辞退で考える初期対応の重要性。SNS時代に学校が直面するデジタルタトゥーの恐ろしさ #エキスパートトピ
広島県の広陵高校は8月10日、夏の甲子園への出場を辞退すると発表しました。同校は今年1月に校内で発生した上級生から下級生への暴力行為を7月にSNSで告発され、炎上状態となっていました。
炎上当初、高野連は同校から報告を受けて3月に厳重注意の処分を行っていることを明かし、同校も告発を受け改めて関係者に事情を聞き取りした結果、新たな事実は確認できなかったと発表し、出場続行の判断を下しました。
しかし、この発表を受けて炎上はさらに加熱。甲子園の放映映像を使ったSNSでの晒し行為が相次ぎました。
ココがポイント
夏の甲子園が始まる直前の7月、広島県の広陵高校で暴力事件があったとの告発があった
出典:篠原修司 2025/8/7(木)
SNSでは暴力事案の内容や加害者とみなされた部員の名前・写真などがあげられる事態に発展
出典:東洋経済オンライン 2025/8/7(木)
被害者生徒の親もインスタグラムのストーリーで、《くれぐれも実名、顔写真等をSNSにアップすることはお止めください》と投稿
出典:週刊女性PRIME 2025/8/7(木)
広陵高(広島)の堀正和校長が10日、兵庫県西宮市で取材に応じ、今大会の出場を辞退すると表明した。
出典:共同通信 2025/8/10(日)
エキスパートの補足・見解
出場辞退の判断は遅きに失したと言わざるを得ません。ただ、広陵高校はこうなるよりも前に対応ができていたはずです。
被害生徒の親御さんからの報告によると、同校が確認したと発表した内容以上の暴力を上級生から受け、監督やコーチからも隠蔽工作と受け取れるような圧力を受けていたとのことです。
同校は今回の炎上を受けて別の暴行事案もSNSで告発され、こちらは第三者委員会を立ち上げて調査中だとのことですが、同様のことを最初の事案でも行い、被害者に対して真摯に対応していれば今回のような事態にはならなかったかもしれません。
事実関係がどうあれ、いま大きな問題なのはSNSを含めたインターネットに残った出場生徒への誹謗中傷を含む晒し行為です。もはや消すことができないデジタルタトゥーとして刻まれてしまうため、当事者だけではない第三者の調査による公式な報告が待ち望まれます。それがない限り、このデジタルタトゥーを打ち消すことは難しいでしょう。
今回の事案は、初期対応の重要性と、SNSにおける情報拡散の恐ろしさを改めて浮き彫りにしました。学校関係者は問題が起きた初期に透明性を持って対処することの大切さを、強く認識して欲しいものです。