AIを使ったサービスを手がける「オルツ」をめぐっては、ことしになって不正な会計処理が明らかになり、調査した第三者委員会は報告書で、売り上げが4年間で119億円余り水増しされていたなどと指摘していました。
こうした中、会社は30日、東京地方裁判所に民事再生法の適用を申請し、受理されたと発表しました。
不正会計の発覚によって財務状態の悪化が深刻になるおそれがあり、自力での再建が困難な状況に陥ったためだと説明しています。
今後はスポンサーを探して再生を目指すとしていて「不適切な会計処理に起因して発生する可能性のある債務の公平かつ適切な対応をするため、再生手続き開始の申し立てに至った」などとしています。
一方、「オルツ」は東京証券取引所のグロース市場に上場していますが、東証は30日、上場の際に財務諸表などに虚偽の売り上げを記載したのは重大な違反にあたるとして、8月31日に会社を上場廃止にすると発表しました。
AIサービス企業 民事再生法を申請 “売り上げ水増し”の指摘も
売り上げを水増しするなど、不正な会計処理が明らかになった東京のスタートアップ企業「オルツ」は、財務状態の悪化が深刻になるおそれがあり自力での再建が難しいとして、30日東京地方裁判所に民事再生法の適用を申請しました。
日本取引所グループ 山道CEO「本当にゆゆしき事態」
東京証券取引所を傘下にもつ日本取引所グループの山道裕己CEOは30日の会見で、不正な会計処理が発覚した「オルツ」の上場審査が適切だったのか問われたのに対し「会社の上層部が悪意をもってだまし、監査法人も見抜けなかったわけであり、上場審査の妥当性がないとは全く思わない。いろいろな予防策や改善策を打っているが、ここまでやられると事前には察知できないものだと思う」と述べました。
そのうえで「今回のような事態は本当にゆゆしき事態だ。マーケットに対する信頼性を維持するため、監査法人や証券会社などの市場関係者と協力しながら再発防止策を考えていきたい」と述べました。
上場の主幹事務めた大和証券 吉田CFO「誠に遺憾」
オルツが去年10月に東京証券取引所のグロース市場に上場した際に主幹事を務めた大和証券の吉田光太郎CFOは、30日の決算会見で上場の手続きについて「社内調査の結果、日本証券業協会の規制などに基づいて、適切に行われたと認識している」と述べました。
そのうえで「結果的にこのような事案が発生し、投資家の皆様に損失が発生した点に関しては誠に遺憾だと認識している。適切に審査体制が構築されていると認識しているが、企業による資料の改ざんが起こりうることを認識し、さらに一段上げて対応していきたい」と述べました。