「火のないところに煙は立たない」という言葉は、大嘘だ。
赤いきつね騒動で「非実在型炎上」という言葉が話題になったけど、私自身、最近そういう経験をした。
なにもかも事実か嘘か曖昧なこのSNS時代においては、誰かが「火だ!煙だ!」と言えば、そこには火も煙もあったことになってしまう。スモークを炊いて「火のないところに煙は立たないだろう!」と言う人までいる。
そして人は、嬉々としてそこに石を投げ、薪をくべる。何もなかったはずなのに、いつのまにか小さな火があがり始める。
そうやって「火がある!」と大声を出す人には2種類のタイプがいる。誰かを騙そうと思って嘘をつく人と、火や煙が本当にあると思っている(思い込んでいる)タイプだ。
前者はまだいい。意図してやっている分ずっといい。問題は後者だ。正しいと思い込んでいる=見えている世界が歪んでいるのだから、修正のしようがないし、いつでも何度でも、火があると思い込んでどこまでも延焼させてします。
今回この記事を書くのは、後者のタイプの人間と接触したばかりに大変な思いをした私の失敗炎上談を通して、みなさんに自衛をしてほしいからだ。
経験してわかったけど、これは交通事故みたいなものだ。
突発的で、偶発的で、防ぐのは難しい。しかし、日頃から危険を予測して備えておくことで、避けることも可能だ。
その術を知りつつ、私に残った火傷の話をきいてくれよ。
出会い
その人をQと呼ぼう。Qと出会ったのは1年くらい前のことだった。イベントでクオリティの高い男性コスプレイヤーがいたので、列に並んで一緒に写真を撮ってもらった。それがQだ。
イベントが終わってファミレスに入ると、偶然Qとカメラマンが順番待ちをしていた。それで、一緒に食事をしたのが始まりだった。
その後も、「撮影のアシスタントに来ないか」「撮影代はこちらで持つから、君も撮ってもらったらいい」と誘っていただいたりもした。
食事にいったのは3回程度、イベントで会ったのは5〜6回程度だろうか。私が相談ごとがあると言えば電話をとり、親身になって相談に乗ってくれる、いい先輩だった。
最初の火
12月24日、クリスマスイブの夜。家でのんびり仕事をしていた私のところに、Xの通知が届いた。Qが私をタグづけしたようだ。
なんの写真だろうと思って開くと、「鹿乃が僕の写真を無許可掲載した上に、2週間も削除依頼を無視している」と書かれた投稿が目に入った。
「……………へ?」
思わず間抜けな声が出る。投稿の口調は穏やかではなく、明らかに不穏な空気が文面から漂っていた。
しかし、まったく一体なんの話だ?削除依頼なんて知らない。
Qとは先週末のイベントで会ったばかりだ。2時間も一緒に撮影対応をしていて、帰り際には「また今度ご飯にいきましょう!」なんてやりとりをしていた。
その間、一言も削除依頼の話はされていない。私のマネージャーも覚えがなかった。投稿をよく読むと、どうやら2週間前、私のサブアカウントにリプライで削除依頼を送っていたとのこと。
確認すると、確かにそれは存在した。サブアカウントのプッシュ通知は切っていた上に、たくさんのコメントやいいねに埋もれていたため、その時までそのリプライには気づかなかった。
「イベントで会った時でも、DMでもLINEででも言ってくれたらいいのに」
「大人気ないなあ」
「まあ、嫌だったなら消すか」
「口頭で掲載確認したんだけどなあ」
と思いながら、すぐに元の投稿は消した。
そして
「気づかずすみません」
「すぐ消しますね」
「念の為、あなたの他の写真も全部消しておきます」
「でも会った時に言ってくださいよ」
とリプライを送った。
私にも、もちろん謝るべきところはある。しかし、こんな形で全世界に向けて突然怒りを露わにされるようなことはしていない。
Qは私のLINEも知っているし、もちろんDMだって送れる。共通の知人のカメラマンもいれば、マネージャーのLINEも知っている。なのに突然私を晒しあげた彼の行動は、今後付き合いを続けるには不安を覚えた。もう関わらないつもりで、私はQとの写真を全てSNS上から削除した。
思えば、変なところのある人だった
「初期の違和感は諸悪の根源」という格言がある。(私が1人で数年前から提唱しているだけなんだけど)思い返すと、確かに違和感は多い人だった。その特徴をいくつか挙げてみようと思う。
辻褄の合わない悪口が多い
話すべきじゃなさそうな話をよくする
自分で言ったことを忘れる
全部自分の話題にすりかえてしまう
相槌や返答が合ってない(話を聞いていない)
わかっていないのにわかったふりをして話を流す
恋愛観に変な固定観念
「常識的に考えて〇〇」という口癖
「そういう人は放っておいていい」という
①辻褄の合わない悪口が多い
愚痴や批判は誰にでもある。嫌だった話、大変だった話を友人に吐露したり、意見をもらうこと自体は良い。
ただQの話は、おかしな点がよくあったのだ。
「その時、他の人は何も言わなかったの?」
「このタイミングで気づかなかったの?」
というような疑問がよく浮かぶ。そしてそれを聞いても、要領を得ない回答しか返ってこないのだ。
これはかなり重要な「認知の歪みのサイン」だと思う。起こった事象の一部しか見ていなかったり、事実と違って記憶していたり、だから話の辻褄が合わなくなる。
特に気になったのは「イベントの仕事で自分がミスをしたら、その間に一緒に仕事をしていた友人が自分の仕事を無断で奪っていった」という話題だ。
「友人が仕事を無断で奪った」という点にQは憤りを感じているようだったが、むしろその人がQのミスをカバーしてくれたようにしか思えなかった。
「Q自身がそのミスをカバーできる方法もあったよね?」
「イベントのスタッフは、Q自身がカバーできるようサポートしてくれなかったの?」
そんなことを聞いても、返ってくるのはやはり要領を得ない回答だけだった。Qの口からは、その友人が自分勝手な極悪人であるかのようにばかり語られ続けた。
②その話していいの?という話題が多い
仕事の内部事情や、人の秘密っぽい話、真偽不明の悪評などをよく話すのもQの特徴だった。
例えば前述のQのミスの話だが、それはそのイベントや事務所全体の信頼を落とすことになるような、結構なミスだった。
言わない方がいいことの区別がつかないのか、あるいは自分がその仕事に抜擢されたという自慢をしたくて仕方ないのか。
イベント名や事務所名、クライアント名も隠すことなく話すQを見て「自分はこういうことは気をつけよう」と思った。
③全部自分の話にすりかえる
Qを含む10名程度で食事にいった時、Qに話のバトンが回ると話が切れてしまうことに気づいた。
よく観察すると、
・全部自分の話にすり替える
・相槌や返事がズレている
・人に質問することがない
という特徴が見えてきた。
要するに、人の話に興味がないかもしれないと思った。