12/7〜12/25
発端は、サブアカウントで掲載していたある男性コスプレイヤーとのツーショット。
サブアカウントは通知をOFFにしていて、たまに目についたリプライに返事をする程度だった。誰もそれを責めたりせず、期待もせず、ふらっと立ち寄る気楽な場所だ。コメントやいいねもそれなりにくる。
だから私はずっと、その写真を消して欲しいという彼の1件のリプライに気がつかなかった。
その男性をQとしよう。Qはその後、「2週間以上経っても削除依頼されない」と憤って、暴走をはじめた。
彼との関わり
彼とは1年近く前、フォロワー数百の時からの付き合いだった。アドバイスをくれたり、初めての1万いいね超えを目の前でちょうど達成して、一緒に喜んでくれたりした。カメラマンさんや私のマネージャーを交えて、食事に行ったこともあった。
「勉強にもなると思うし、僕の撮影のアシスタントをしにおいでよ。君もついでに撮影してもらったらいい。お金はいいから」と言ってくれたこともあった。(あとから知ったけど、この人はこのカメラマンにいつも無料で撮影させていたらしい)
あれから数ヶ月経って、私のフォロワー数は彼より1万人以上多くなった。数万いいねを何度かいただけたり、お仕事が舞い込んできたり、嫉妬するには十分な要素が揃っていた。
発端の投稿から2週間後。
削除依頼に気づかぬまま参加したイベントで、私は彼と偶然同じ作品のコスプレをしていた。私とさっき撮影したファンの子が、ちょうど彼とも一緒に撮っているところに出会したので、サプライズ的に画角に入った。
彼は一瞬「今みんな並んでくれてるから」と戸惑っていたけど、その事情を説明し、ファンの子の嬉しそうな反応を見ると、納得してカメラにまた視線を送った。
マネージャーが並んでいる方に声をかけると、その次も、その次も、そのまたずっと次の子まで「2人と一緒に撮りたい」との要望があったため「だそうなので、このまま列一緒にしてもいいですか?」と確認した。私たちはそのまま、一緒に撮影対応することになった。
私がやっていたのはかっこいい女性キャラクターで、手をとったり肩に手を置いたり、その一挙一動に女の子たちが「きゃー!」と歓声を上げてくれていた。
ただ、Qはそれが面白くなかったのだろう。最初は撮影後に「SNS見てやってください」と誘導していた彼だったが、途中から誘導をやめるどころか「あ、僕のSNSはいいんで」と断るようになった。Qとの撮影も皆喜んではいたが、歓声まではあがらなかったのだ。
「まずいな」と思った。すぐに列整理をしていた私のマネージャーを呼んで、「並んでいる人に、彼のフォロー誘導もしてほしい」とお願いした。
露骨に態度に出してしまうなんて、幼稚だ。年齢は私より上だろうし、コスプレ暦ももちろん上だろうに。
でも何か言っても変えられないのは明白だ。私は鼻をかむと言って頻繁にその場を離れたり、撮影と撮影の合間には端に寄って、彼のソロショットを撮りやすいようにした。
それでも2人と撮れることを期待して並んでくれている方は多くて、その場を離れてもすぐに「撮るよー!」と呼ばれた。年上にこういう気を遣うのは、すごく大変だなと思った。
1時間半ほど経って、寒さの限界がきた。彼もしきりに寒いというので、列を切ろうと提案した。彼は寒いと言いながらも「もうちょっと撮れる」「あの子以降はもう並ばないだろうから」と言いながら対応を続けた。列は伸び続けた。
そのうち、「私も寒くて体調悪くなってきちゃった」と言って半ば強引に列を切らせてもらった。結局2時間ほど撮影対応をしていて、体は芯から冷え切っていた。
イベント後には、ツーショットを撮ってくれた方の歓喜の投稿やDMがたくさん届いた。「寒かったり気を使ったり大変だったけど、頑張ってよかったな」と思った。
その更に2日後、ことは起こる
そのイベントの2日後、彼は「注意喚起」というタイトルで1本の投稿をした。
「削除依頼をしたのに2週間も無視!」
「撮影列に割り込み!」
「無許可掲載!無許可投稿!」
「しかも投稿に悪意あるコメントをする!」
寝耳に水だった。
「本当に消してほしい写真があったら、LINEでもDMでもお願いをするでしょう」……と思った。
社会人として、届いた連絡に気づかない私には当然落ち度がある。でも、毎日数百件のいいねと、数十件のコメントがくる中で、サブアカウント…いわば別荘の敷地に投げ入れられた手紙に気づかないのは仕方なくないだろうか。
せめて別荘でもいいからDMをくれ。というかその男性レイヤーは、LINEというメイン中のメインの自宅ポストを知っているのだ。そんなに大事なら、ちゃんとポストに入れてくれ。
それに彼は「無許可掲載だ」と言うが、私は口頭でOKをもらった記憶がある。ただしこのあたりは水掛け論。こういうのはお互い様ではないか。
そしてコメントの件。そのツーショットには、Qの扮するキャラにまつわるブラックジョーク的なリプライがついていた。しかし内容が暗喩的だったこともあり、私はブラックジョークだとはわからなかった。それを作中の事件の発端となるシーンの話だと勘違いして「なんだか悪い予感がするね」と返事していた。決して、何かの事件を揶揄するつもりはなかった。
相手が嫌な気持ちになったのは事実なので謝罪は必要だ。でもそれを「悪意」と決めつけられたのがショックだった。弁解しても「そんな言い訳通用しない」とQは続けてリプライを送った。(彼のファンも、一緒になってそのようなコメントを続けた。)
そもそも、そんな肖像権を侵害した上に2週間も削除依頼を無視する危ない人間と、2時間も一緒に撮影対応に入るだろうか。いや普通入らない。
まあでもイベントのこともあったし、彼はいま頭に血が昇っているのかもしれない。シリアスになるよりいつも通り接した方が得策だと思って、丁寧に謝罪して写真を削除した後に「でも会った時に直接言ってくださいよ!!!!!」と、ポップに本心を付け加えた。
https://x.com/shikano_tsuno_/status/1871552720999743894
ごめんなさいODQ線って小田急のことだったのか!作中に出てくるあの銃で撃っちゃうシーンの電車のことなんだろうなと思ってました🥲
— 鹿乃つの@冬コミ1日目東ロ17a (@shikano_tsuno_) December 24, 2024
リプも気づかず申し訳ありません。他意はなく、埋もれちゃってただけなんです。すぐお写真消しておきますね。…
「俺も言いすぎたなぁ、申し訳ない」と言ってくれると思った。あるいはしばらく音沙汰がなくなって、またイベントで会えば元通り話せるだろうと思った。
さらなる爆弾
予想は大きく裏切られた。翌日、先の投稿の倍以上の長さのポストが投稿された。そこには、私の悪い話が追加でたくさん並んでいた。
・こいつは注意しても撮影列を抜かす
・一本の動画は掲載許可したが、それ以外は掲載許可していない
・そもそもマネージャーに無断で撮影をされた(1本は掲載許可したのに、撮影は許可してないらしい)
加えて
・イベントスタッフの仕事の時も、就業中の自撮りをたくさん投稿していて怒られていた
・他のスタッフとトラブルを起こした
・それなのに反省していないから何も改善が見込めない
と書かれていた。もう寝耳に濁流だ。
私という人は
友達や、私と話したことのあるフォロワーに彼の投稿の話をすると、「あなたがそんなことするわけないじゃん(笑)」と笑ってくれた。嬉しかった。
……そうだ、私がくだらない順番抜かしなどするわけないのだ!
Qはスタッフですらない
大体Qは、イベントスタッフをやっていない。おそらくスタッフに身内がいて、何か又聞きしたのだろう。(ちなみに誰が言ったのかはおおよそ検討がついている。その人もまた当事者ではないので、事実確認をしないまま何かを話したのだろう)
「何か」は一応あった。女性スタッフと仕事のやり方の認識のズレが発生して、お互いに意見を言ったことがあったのだ。その時は「これ以上言っても相手の気分を損ねるだけで、理解はされないな」と思って、3手目で黙った。
でも結局私のやり方が正しくて、彼女はあとから上の人に私と同じ指摘をされていた。「まずいなこれ」と思った。
案の定、彼女は終業後に控え室でその怒りか悲しみか悔しさか、なにかを爆発させていたらしい。私は翌日から彼女と違うポジションになった。
(あとから聞いた話だが、彼女は「鹿乃が就業中にスマホをいじっていたので注意したが、やめてくれなかった」とも話していたらしい。確かにあまりに暇な時間があり、「これ、もはやスマホで暇つぶししててもいいレベルっすね笑」と言ったことがあった。
「それはダメだよ。全体の印象が悪くなるからやめるべきだよ。マニュアルをみる時は仕方ないけどね」と彼女は返した。「(まずい、冗談言っちゃだめな人だった)」と思った。
その後私は、就業中にスマホで遊んだりはしていない。スタッフマニュアルを見るためにスマホを何度か取り出していたが、それを見て「注意を無視してまだやってる」と思ったのだろう。)
トラブルと言うこともできる。でも悪い噂にまぜて取り上げられるようなトラブルは起こしていない。
そして「就業中に写真をたくさん投稿して怒られた」とあるが、投稿はほとんどが帰宅後の夜の時間帯だ。1件は休憩中のものだが、それを就業中にカウントしたとしても決して「たくさん」ではない。
なんにしても、だ。
それはほとんど私からすればでっちあげだった。
でも彼の投稿は2つとも大して伸びておらず、「ゆっくり慎重に対処しよう」と思った。
その直後、私はフォロワーに向けてこのメッセージだけを残して、しばしXから消えた。
それも含めて、何もかもが悪手だった。