あすにかけ九州山口でさらに線状降水帯のおそれ 厳重に警戒を
前線の影響で福岡県と山口県、それに大分県で線状降水帯の発生が相次いで記録的な大雨となり、災害の危険度が非常に高まっています。あすにかけて九州北部と南部、山口県ではさらに線状降水帯が発生し、雨量が増えるおそれがあるため今夜は安全な場所で過ごし、土砂災害や川の氾濫などに厳重に警戒してください。また、東日本や北日本でも大雨のおそれがあり、土砂災害などに警戒が必要です。
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気象庁によりますと、前線に向かって暖かく湿った空気が流れ込んでいる影響で、大気の状態が非常に不安定となり九州北部と山口県を中心に発達した雨雲がかかり続けています。
いずれもレーダーによる解析で、午後6時10分までの1時間に福岡県の▽福岡市西区付近と▽糸島市付近で、午後7時50分までの1時間に▽福岡県久留米市付近、午後8時までの1時間に▽大分県日田市日田付近と▽福岡県うきは市付近でおよそ110ミリの猛烈な雨が降ったとみられ、気象庁は「記録的短時間大雨情報」を発表しました。このほか、静岡県の御殿場市付近でも午後7時までの1時間におよそ110ミリの猛烈な雨が降ったとみられ、「記録的短時間大雨情報」が発表されています。
線状降水帯は福岡県と山口県、それに大分県で相次いで発生し、今夜に入ってからも福岡県の福岡地方と筑豊地方、筑後地方、そして大分県西部で線状降水帯が発生したとして「顕著な大雨に関する気象情報」が発表されました。24時間に降った雨の量は福岡県宗像市で午後8時までに414.5ミリと観測史上最も多くなり、平年の8月1か月分の2倍を超える雨量となっています。
これまでに降った雨で福岡県と長崎県、佐賀県、大分県、山口県、島根県、石川県、静岡県、神奈川県、それに新潟県では土砂災害の危険性が非常に高まり、土砂災害警戒情報が発表されている地域があります。
また、九州では氾濫危険水位を超えている川があり大分県中津市を流れる山国川上流部では「氾濫危険情報」が発表されています。
九州と山口県 線状降水帯さらに発生のおそれ
今後の見通しです。
九州や山口県では非常に激しい雨があすにかけてさらに降り続くおそれがあります。気象庁は、線状降水帯が▼福岡県と山口県、佐賀県、長崎県、熊本県、大分県ではあす朝にかけて発生すると予測しているほか、▼奄美地方を除く鹿児島県と宮崎県でも今夜遅くからあすの昼前にかけて発生し、災害の危険度が急激に高まる可能性があると呼びかけています。
また、低気圧はあすの夜にかけて北陸付近に進み、前線はあさってにかけて西日本の日本海側から東北地方に停滞するため、東日本や北日本でも雨が強まる見込みです。
あす夕方までの24時間に降る雨の量は、いずれも多いところで、▼四国で300ミリ、▼九州南部と東海で250ミリ、▼九州北部と関東甲信で200ミリ、▼山口県と近畿で180ミリ、▼中国地方で150ミリ、▼北陸で100ミリと予想されています。その後も雨は降り続き、あさっての夕方までの24時間には▼東海で150ミリ、▼九州北部と四国、北陸、関東甲信で120ミリ、▼山口県と近畿で100ミリと予想されています。
九州北部と南部、それに山口県では、土砂災害や低い土地の浸水、川の増水や氾濫に厳重に警戒してください。これまでに降った雨ですでに災害の危険度が非常に高まっています。
今夜は頑丈な建物に移動するなど、安全なところで休むようにしてください。また、東日本や北日本でも土砂災害や低い土地の浸水、川の増水や氾濫に警戒が必要です。
- 注目
専門家「上空に大量の水蒸気 非常に危険な状態」
福岡県や山口県で線状降水帯が相次いで発生するなど記録的な大雨になっている専門家は「上空に大量の水蒸気が流れ込んでいて、非常に危険な状態だ」ことについて、と危機感を示しています。
さらに、大量の水蒸気が流れ込む状況がしばらく続くと考えられていることから線状降水帯の発生が予測されている九州や山口県をはじめ、それ以外の地域でも大雨のおそれがあるとして広い範囲で警戒が必要だと指摘しています。
大雨のメカニズムに詳しい名古屋大学・横浜国立大学の坪木和久教授は、現在、大雨となっている背景には大量の水蒸気が川のように流れ込む「大気の川」が形成される状況が先週から長期間にわたって続いていることがあると指摘しています。
今回の大気の川は、▽幅が、南北300キロから500キロ程度、▽長さは東西に数千キロ程度と大規模で、非常に危険な状態だとしています。
坪木教授は「梅雨明けが発表されて1か月以上たった時に、『梅雨末期』のような状況になるのは非常に驚きだ」と述べた上で、こうした状況がしばらく続くと分析しています。
特に、すでに土砂災害などの危険度が非常に高まっている九州や山口県などでは雨の強弱にかかわらず、しばらくは厳重な警戒が必要だとしています。
また、気象庁は前線が12日ごろまで停滞し湿った空気の流れ込みは継続すると予想しています。
坪木教授は、流れ込んでいる大量の水蒸気のうち線状降水帯を形成するのはごく一部だとして、東海や北陸、関東甲信越などでも大雨のおそれがあり、場合によっては線状降水帯が発生してもおかしくないとして、広い範囲で警戒する必要があると指摘しています。
坪木教授は「停滞前線は非常にゆっくりとしか動かないため、同じ場所に長時間雨が降る可能性がある。西から大量の水蒸気が流れ込んでいる状況がしばらく持続すると考えられるので、どこで線状降水帯が発生しても不思議ではない」と話しています。
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