チョイ国連代表は、国連機の座席で私に言う。
「日本が選挙監視団を派遣してくれることは、たいへん助けになります。選挙監視団に期待されるのは、選挙過程における「逸脱」がなかったかを見て、選挙が公正・中立に行われたと言えるかどうかの採点をすることだけではありません。おそらく、投票が終わった後、投票結果が発表され、それが国民に受容される過程において、とても重要な役割を担うことになります。」
選挙監視団というのは、各国で行われるさまざまな選挙に際して、選挙の過程が自由で公正なものであるか、投票に暴力や脅迫などが伴わないか、政権や軍などによる結果の歪曲がないか、などをよく見極めるために、地域機関や各国が派遣する調査団である。それぞれの選挙監視団は、選挙結果が出された後、その選挙が、国際社会の関心に照らして、信頼できるものであったと言えるかどうかを、判断することになる。
このたびのコートジボワールの大統領選挙でも、選挙監視団を受け入れるということである。現在のところ、欧州連合(EU)は、欧州議会議員数名を筆頭に、100名以上の代表団を送って来ている。米国は、「カーター・センター」という民主化促進活動のNGOが、有力政治家を団長とする50名規模の監視団を送る準備をしており、すでに10名が今月初めから活動を始めている。近隣のアフリカ諸国も、しっかり監視団を出す。西アフリカ経済共同体(ECOWAS)は、200名の監視団を派遣する。アフリカ連合(AU)は、トーゴの元首相を団長に50名を準備中。仏語圏共同体(OIF)も監視団を出す。
選挙を実施する国が、選挙監視を受けるというのは、正しい選挙が行われるかどうか国際社会から疑われている、ということだろうか。いやむしろ、選挙を実施する当事国の責任者としては、選挙が自由・公正・平和に行われることに自信がある、だからそこのところをしっかり見て、証人になってほしい、ということである。
だから、選挙監視団の派遣というのは、選挙を実施する当事国への、連帯の表明でもある。その国の民主化について、大きな関心を寄せており、その手助けをするということである。だから選挙監視というのは、民主化支援・平和構築支援の、たいへん重要な要素なのだ。日本はこれまでも、選挙への資金援助を通じて、コートジボワールの民主化に積極的な役割を果たしてきた。いざ大統領選挙が行われる段になって、この選挙監視を行わなければ、画竜点睛を欠く。それで、日本からも、人数は少ないながらも、本省などから専門家を派遣して、選挙監視団を構成することにした。チョイ代表は、その日本の選挙監視団のことを、話している。
ちゃんと選挙が行われて、きちんとした結果が出たら、日本の選挙監視団も、これは正しく行われた選挙だと宣言して、選挙管理委員会や国連の仕事を後ろから支えますよ。それが監視団の重要な役割と、そういうことですよね。私はチョイ代表に確認する。
「ええまあ、そういうことではありますけれど、コートジボワールの選挙では、心構えをしておかなければならないことがあるのです。少しばかり特殊な事態がありうる。」
それはどういう事態ですか。
「投票が終わったあと、各投票所で開票を行い、それぞれの投票所にて集計結果を各党の代表者で確認の上、地方の選挙管理委員会を経由して、中央の集計所に数を集めます。集計所では全国の得票数を集計し、中央の選挙管理委員会が、公式の数字として発表する。そして、各候補者の当選・落選を宣言するという手順です。」
「ところが、それぞれの投票所での集計結果は、各党とも知る立場にあるわけです。それで、携帯電話などがあるものですから、各党とも全国の数字を集めて、それぞれ集計するでしょう。そうすると、数字に間違いがないか、慎重に精査するためにどうしても時間がかかる選挙管理委員会の公式発表より先に、各党のほうが当選・落選のおおよその見当を、知ることになります。」
ははあ、それで選挙管理委員会の投票結果発表よりさきに、当選した候補者の政党が、勝った勝ったと騒ぎ出すということになるわけですね。それは厄介ですね。
「いや、勝った政党が勝ったと騒ぐのは、これはこれで無用な衝突を引き起こしかねないので困りますが、まあ仕方がない。問題は、どうやら負けそうだと感じた政党が、何か別の手に出てくる可能性があるということです。というのは、2000年の前例がありますからね。」
前回(2000年10月)の大統領選挙では、前年にクーデタで政権をとったゲイ将軍と、野党党首バグボ候補との一騎打ちになった。チョイ代表が言う「前例」というのは、その時の話である。
「あの時、投票が終わったあと、ゲイ将軍は結果発表を待たず、「勝利宣言」をして、軍の力により大統領に居座ろうとしました。ところが、真の投票結果はバグボ候補の当選であると知っていたEUの選挙監視団が、ゲイ将軍や軍側の動きを、断固拒否したのです。これが、バグボ候補側を勇気付けて、バグボ支持の市民による大衆行動につながり、選挙結果を保全しました。」
チョイ代表は、このように、選挙監視団には、いずれかの政治勢力に選挙過程そのものを危うくするような動きがあった場合に、それを拒否するという判断を下すという役割がある、と指摘する。
「もちろん、今度の選挙で、そのような乱暴なことを考えている勢力がある、というわけでは必ずしもありません。しかし、各国から選挙監視団が来ている、ということは、そのような手段で政権を乗っ取ることはさせないぞ、という大きな抑止力になるのです。」
日本も、小さいながらも選挙監視団を立てることにした。これには、まず何より、コートジボワールへの連帯を示すという意味がある。それだけではなく、日本も、コートジボワールの民主主義の確立に、いざとなれば重要な役割を担うとの心構えがあることを、内外に示すことになっているのである。
「日本が選挙監視団を派遣してくれることは、たいへん助けになります。選挙監視団に期待されるのは、選挙過程における「逸脱」がなかったかを見て、選挙が公正・中立に行われたと言えるかどうかの採点をすることだけではありません。おそらく、投票が終わった後、投票結果が発表され、それが国民に受容される過程において、とても重要な役割を担うことになります。」
選挙監視団というのは、各国で行われるさまざまな選挙に際して、選挙の過程が自由で公正なものであるか、投票に暴力や脅迫などが伴わないか、政権や軍などによる結果の歪曲がないか、などをよく見極めるために、地域機関や各国が派遣する調査団である。それぞれの選挙監視団は、選挙結果が出された後、その選挙が、国際社会の関心に照らして、信頼できるものであったと言えるかどうかを、判断することになる。
このたびのコートジボワールの大統領選挙でも、選挙監視団を受け入れるということである。現在のところ、欧州連合(EU)は、欧州議会議員数名を筆頭に、100名以上の代表団を送って来ている。米国は、「カーター・センター」という民主化促進活動のNGOが、有力政治家を団長とする50名規模の監視団を送る準備をしており、すでに10名が今月初めから活動を始めている。近隣のアフリカ諸国も、しっかり監視団を出す。西アフリカ経済共同体(ECOWAS)は、200名の監視団を派遣する。アフリカ連合(AU)は、トーゴの元首相を団長に50名を準備中。仏語圏共同体(OIF)も監視団を出す。
選挙を実施する国が、選挙監視を受けるというのは、正しい選挙が行われるかどうか国際社会から疑われている、ということだろうか。いやむしろ、選挙を実施する当事国の責任者としては、選挙が自由・公正・平和に行われることに自信がある、だからそこのところをしっかり見て、証人になってほしい、ということである。
だから、選挙監視団の派遣というのは、選挙を実施する当事国への、連帯の表明でもある。その国の民主化について、大きな関心を寄せており、その手助けをするということである。だから選挙監視というのは、民主化支援・平和構築支援の、たいへん重要な要素なのだ。日本はこれまでも、選挙への資金援助を通じて、コートジボワールの民主化に積極的な役割を果たしてきた。いざ大統領選挙が行われる段になって、この選挙監視を行わなければ、画竜点睛を欠く。それで、日本からも、人数は少ないながらも、本省などから専門家を派遣して、選挙監視団を構成することにした。チョイ代表は、その日本の選挙監視団のことを、話している。
ちゃんと選挙が行われて、きちんとした結果が出たら、日本の選挙監視団も、これは正しく行われた選挙だと宣言して、選挙管理委員会や国連の仕事を後ろから支えますよ。それが監視団の重要な役割と、そういうことですよね。私はチョイ代表に確認する。
「ええまあ、そういうことではありますけれど、コートジボワールの選挙では、心構えをしておかなければならないことがあるのです。少しばかり特殊な事態がありうる。」
それはどういう事態ですか。
「投票が終わったあと、各投票所で開票を行い、それぞれの投票所にて集計結果を各党の代表者で確認の上、地方の選挙管理委員会を経由して、中央の集計所に数を集めます。集計所では全国の得票数を集計し、中央の選挙管理委員会が、公式の数字として発表する。そして、各候補者の当選・落選を宣言するという手順です。」
「ところが、それぞれの投票所での集計結果は、各党とも知る立場にあるわけです。それで、携帯電話などがあるものですから、各党とも全国の数字を集めて、それぞれ集計するでしょう。そうすると、数字に間違いがないか、慎重に精査するためにどうしても時間がかかる選挙管理委員会の公式発表より先に、各党のほうが当選・落選のおおよその見当を、知ることになります。」
ははあ、それで選挙管理委員会の投票結果発表よりさきに、当選した候補者の政党が、勝った勝ったと騒ぎ出すということになるわけですね。それは厄介ですね。
「いや、勝った政党が勝ったと騒ぐのは、これはこれで無用な衝突を引き起こしかねないので困りますが、まあ仕方がない。問題は、どうやら負けそうだと感じた政党が、何か別の手に出てくる可能性があるということです。というのは、2000年の前例がありますからね。」
前回(2000年10月)の大統領選挙では、前年にクーデタで政権をとったゲイ将軍と、野党党首バグボ候補との一騎打ちになった。チョイ代表が言う「前例」というのは、その時の話である。
「あの時、投票が終わったあと、ゲイ将軍は結果発表を待たず、「勝利宣言」をして、軍の力により大統領に居座ろうとしました。ところが、真の投票結果はバグボ候補の当選であると知っていたEUの選挙監視団が、ゲイ将軍や軍側の動きを、断固拒否したのです。これが、バグボ候補側を勇気付けて、バグボ支持の市民による大衆行動につながり、選挙結果を保全しました。」
チョイ代表は、このように、選挙監視団には、いずれかの政治勢力に選挙過程そのものを危うくするような動きがあった場合に、それを拒否するという判断を下すという役割がある、と指摘する。
「もちろん、今度の選挙で、そのような乱暴なことを考えている勢力がある、というわけでは必ずしもありません。しかし、各国から選挙監視団が来ている、ということは、そのような手段で政権を乗っ取ることはさせないぞ、という大きな抑止力になるのです。」
日本も、小さいながらも選挙監視団を立てることにした。これには、まず何より、コートジボワールへの連帯を示すという意味がある。それだけではなく、日本も、コートジボワールの民主主義の確立に、いざとなれば重要な役割を担うとの心構えがあることを、内外に示すことになっているのである。
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