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コートジボワール日誌

在コートジボワール大使・岡村善文・のブログです。
西アフリカの社会や文化を、外交官の生活の中から実況中継します。

選挙運動に突入した

2010-10-18 | Weblog

10月14日の夜8時のテレビニュースに、バカヨコ選挙管理委員長が登場する。
「大統領令に従い、大統領選挙の選挙期間が10月15日朝零時より、すなわち今夜夜半から開始されます。選挙期間は、10月29日夜24時に終了します。したがって、憲法院によって認証された14人の候補者は、これより自由かつ合法的に、選挙運動を行ってよろしい。」

投票日の10月31日まで、あとわずか2週間少々。ついに、選挙運動期間に突入する。
「選挙管理委員会は、各候補者が、合意し署名された「行動規範」に従って行動するように求めます。そして、全てのコートジボワール国民に、規律を守り、相手の立場を尊重し、賢明さを最大に示すよう、呼びかけたいと考えます。」

バカヨコ委員長は、最後にこう締めくくった。
「何年もの間待たされ、五里霧中のなかで、苦悩も不安も頂点にまで達した後、ようやく選挙が行われます。あと残りの2段階、つまり選挙運動と投票とを、国民の力を合わせて乗り切りましょう。そして、社会の協和が保たれ、平和で、国としての一体性がある新しい時代に、道を開きましょう。」

明けて翌10月15日、いよいよ選挙運動期間に突入するということで、何か変わった動きが見られるのか、私は期待しながら出勤した。しかし、町の気配には何も変化はない。唯一、バグボ大統領と、ウワタラ候補、ベディエ候補の、大きな看板の選挙広告が、街中に立っているのが目につく。きっと昨晩の零時以降に、これらを建てたのであろう。

本日から選挙運動期間に入るといえば、日本ならば、各党いっせいに街頭演説を始める、そして、渋谷ハチ公前から第一声をテレビ報道、というような騒ぎになる。でも、ここでは何か新しい局面が展開するわけではない。実際のところ選挙運動というなら、バグボ大統領もすでに、9月半ば頃から全国行脚を始めていて、私がティアサレで見た通り、実質的に選挙運動が行われている。

10月15日以前に選挙運動をしてはいけないではないか、と非難されて、バグボ大統領は答えている。
「私は100%候補者だが、また100%大統領でもある。」
つまり、全国行脚は候補者としての行動ではなく、大統領としての全国視察だ、というのである。大統領がそんなことを言うのなら、もう決まりを守る義理も道理もない。他の候補者も競って、もうとっくの昔から、全国で選挙運動を始めている。今日からの違いと言えば、選挙ポスターを堂々と街角に張れるようになる、ということくらいである。

さて、これから2週間の選挙運動で、14人の候補者がしのぎを削る。といっても、実質上の選挙戦は、大物3名の間で争われる。つまり、
(1)バグボ大統領(人民党)
(2)ベディエ元大統領(民主党)
(3)ウワタラ元首相(共和連合)
の3名である。

3名のうち、誰が当選するかを予測するのは難しい。知り合いの新聞記者に、おおよその見方を聞いてみる。どうですかね、誰が有利でしょうか。
「そうですねえ、ベディエ候補は、選挙が公正に行われさえすれば、自分が絶対に勝つと考えています。なぜなら、バウレ族は断突の最大部族ですからね。バウレ族は、皆がみんな、ウフエボワニ大統領の後継者の自分を、支持するはずだ。そうなれば数の論理で勝てる、と。」

たしかに、バウレ族全体で一致して支持すれば、ベディエ候補はかなり有利であろう。これに対してバグボ大統領は、ベテ族で少数部族の出身である。では前回、2000年の選挙でバグボ大統領がなぜ勝てたかというと、ベディエ元大統領が1999年のクーデタで追放されていたので、バウレ族としての候補者がいなかったからである。このときは、バウレ族の票は、ゲイ将軍に反対するという意味から、バグボ候補に向かった。だから、バグボ大統領が当選できた、というわけだ。

今回はバウレ族のベディエ候補が立っているということならば、ベテ族出身のバグボ候補は、かなり不利ですね。
「ところが、バグボ候補には今度は、現職有利というのがある。すでに10年にわたって大統領を続けていますから、バグボ政権の恩恵にあずかっている人々は多い。バウレ族であっても、現政権支持の人々はたくさんいます。それに、政権を動かしてきただけに、集められた選挙資金も潤沢だ。これに対して、ベディエ陣営、ウワタラ陣営は、もう2年越しで選挙があるのかないのか、振り回されてきましたので、この肝心な時に、実は資金不足に陥っているのです。」

既得権益のある人々は、バグボ大統領で居続けてほしいと思うから、彼を支持するだろう。バグボ大統領が、自分は「人民党」の候補だと言わず、「大統領の多数派(LMP)」の候補だ、と称しているのは、それを踏まえているからだろうか。そして農村などで、選挙運動を通じて大盤振る舞いすれば、かなり得票が上がる可能性はある。

そうすると、やっぱりバグボ続投ですか。
「いや、そうとも言えない。ある候補を支持する人が多いということと、その人々が投票に足を運ぶということとは、別です。バグボ大統領もベディエ元大統領も、農村部に支持者が多いと思われますけれど、農村部の人々は、何キロも歩いてまでして、わざわざ投票に行かない。天候によっては、得票に繋がらない可能性もあるのです。そうすると、都市部の得票数が勝敗を左右するということになります。都市での有権者というと、これは商人とかサービス業が多いですからね。北部出身の人が多くて、これはウワタラ候補の支持層なのです。」
つまり、農村部での投票率が悪く、都市部の投票率がいいとなると、ウワタラ候補がかなり有利になるということである。

10月31日の投票で、誰かが50%以上の得票を挙げれば当選。もし誰も50%の票が得られなければ、約1ヶ月後に上位2候補者の間で、決選投票が行われることになる。3者が拮抗しているので、おそらく決選投票になる可能性が高いであろう。そうなると、10月31日に、誰がまず脱落するのか。そして、第二回投票までの1ヶ月間に、どういう政治折衝が行われるのか。そうしたところを含めて、これから選挙結果の確定の日まで、むずかしい情勢観測の日々が続いていくだろう。

 壁に貼られた、各候補者のポスター

 木の幹にだって、ポスターを貼る。

 こんな所に貼っている人もいる。

 これはウワタラ候補の看板

 これはベディエ候補の看板

 ベディエ候補は、ビルの壁に巨大垂れ幕を掛けた。

 道路沿いには、バグボ候補のポスターが並ぶ。

 バグボ候補になるとさすが。国立競技場の横面に、巨大な看板を掲げている。

 他の候補も頑張っていて、これはニャミアン・コナン候補。

 これはトワクォス・マブリ候補

 これは、唯一の女性候補、ジャクリーヌ・オブレ候補


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