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コートジボワール日誌

在コートジボワール大使・岡村善文・のブログです。
西アフリカの社会や文化を、外交官の生活の中から実況中継します。

観光を再興しよう

2010-10-01 | Weblog

コートジボワールは、緑が豊かで、海岸も美しく、以前はこの国にたくさんの観光客が訪れていた。ヨーロッパの各国から、さまざまな航空会社の旅客便が、南国の太陽を楽しむ人々を運んで来ていた。かのリゾート「地中海クラブ」さえ、ここに拠点を構えていた。

ところが、2002年以来の紛争により、観光は低迷し、2004年にヨーロッパ人を排斥する運動が起こるや、観光客は全く来なくなった。観光ホテルには閑古鳥が鳴き、多くは廃業に追い込まれた。昔は盛んだった観光サービス、遊興施設、ヨットやダイビングなどのスポーツ産業は、今は跡形もない。土産物屋に客は来ず、彫刻や織物などの手工芸を作る職人たちに、注文は無くなった。コートジボワールの観光は壊滅した。

さて、先日ブアケで行われた、「兵士の集合」式典に出席したときに、コナテ観光相に世話になった。それで私は、公邸に彼を招いた。コナテ観光相は、観光省の部下を連れてやってきた。夕食を食べながらの話題は、もちろんコートジボワールの観光である。
「大統領選挙を終え、「危機からの脱出」が果たせれば、いよいよ観光を再興することになります。」
コナテ観光相は意気込んでいる。

「観光というのは、外貨収入源が限られている途上国にとっては、とても貴重な産業なのです。コートジボワールでも、現在の外貨収入は、カカオ・コーヒーに偏っていますから、これから観光を開発する利点は大きいのです。それに、観光は裾野が広い。観光サービス業のみならず、輸送業、飲食業、手工芸産業、文化芸能に至るまで、多くの雇用を創出できる。」

そうですね、紛争で観光客も追い払ってしまったのは、まことに残念なことでした、と私。30年近く前のフランスでは、コートジボワールへのバカンス旅行の宣伝が、旅行会社の窓口にたくさん張られていたことを覚えていますよ。この国には、各地に風光明媚な場所がたくさんあるのだから、かつての観光の隆盛を取り戻す余地は十分ありますよ、と励ます。

「観光を通じて、外国の人々はその国の印象をつくります。だから、観光というのは単に金儲けの機会というだけでなく、その国をどう見せるか、どういう国と思ってもらうかという、国の広報戦略の問題なのですよ。フランスだとエッフェル塔だし、インドだとタージマハル、中国だと万里の長城とか、すぐ出てくるでしょう。コートジボワールだと、何だろうか。無いですよね。」
コナテ観光相が言うとおり、コートジボワールには、観光のシンボルといえるものが、たしかに無い。ヤムスクロの大聖堂かな。でも余りアフリカらしくない。まあ、カカオ栽培は有名だから、カカオ狩りとか、けっこう人気が出るかもしれませんね。カカオの収穫から、カカオ豆の生産、チョコレートの製造までを体験する、カカオ・ツアーなんていうのは、日本人なら喜ぶかもしれない、と私は勝手なことを言っている。

「そうなんです。私が考えているのは、新しい観光の姿です。」
とコナテ観光相。
「これからの観光は、ビジネス観光、医療観光、エコ観光、バイオ観光、つまりただ観光地を訪ねるというだけでなくて、観光を兼ねて何か別の目的を達成する。観光地で商談の会議を開くとか、健康回復のために観光地に滞在するとか、自然研究のために観光地を訪れるとか、そういう形での観光が、重要な位置を占めるようになります。」

なるほど、と肯く間もなく、観光省の技術顧問氏が手を上げる。
「そして、私たちには、サファリ・パークの構想があります。フランスにある「プラネット・ソバージュ」と同じもの、つまり、象や麒麟や縞馬や河馬など、動物たちを放し飼いして、訪れる人々に車で見て回ってもらう施設を、コートジボワールにも作りたい。」
よく話を聞くと、別に具体的な計画も、資金の当てもあるわけではない。でも、夢を持つことは結構だ。私としては、テーマ・パークを考える前に、国内の道路を舗装するとか、国内航空路線を復活するとか、各地のホテルで停電をなくすとか、まずやらなければならないことがあるように思うが。

「こうした観光の重要性を訴えるために、「国際観光フェア2010」を開催することにしました。開会式は来週です。ぜひ大使に来てほしい。」
コナテ観光相の士気は高い。観光の展示会で、コートジボワールじゅうの観光地の展示、観光産業の宣伝、手工芸の職人による実演などを、週末をはさんで1週間の期間行うという。それは面白そうですね、行きましょうと答える。
「そうだ、いいことがある。「フェア」ではアフリカ料理コンテストを行うので、大使には審査員になってもらおう。」
ということで、その場で料理競技の審査員にされてしまった。まあ、私も料理に興味ないわけではないので、出て行くこととしよう。

そういう経緯で、1週間後、私は「国際観光フェア2010」の開会式に出かけたのである。

(続く)


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