捕鯨の現場伝える 沖縄・西野さんが写真集刊行 石巻・鮎川の船員を活写

捕獲したクジラに手を合わせる木村さんの写真も掲載する。西野さんは「必死に追ったクジラを捕まえて安心した気持ち、感謝の思いだと解釈している」と撮影時を振り返る(西野さん提供)
西野嘉憲さん

 石巻市鮎川出身の捕鯨船員たちがクジラを追う姿を収めた写真集「鯨と生きる 北海道編」を、沖縄県石垣市の写真家西野嘉憲さん(55)が刊行した。北海道の根室海峡などでの漁に2カ月間同行し、伝統技術と誇りが息づくなりわいを一冊にまとめた。

 西野さんは鮎川地区に事業所を置く外房捕鯨(千葉県南房総市)の第51純友丸に乗船。2024年4~6月の撮影中、5頭の捕獲に出合った。北海道や青森県の恵山沖などの大海原で発見したクジラを追い、捕鯨砲で捕獲し、処理場で解体する漁の一部始終をシャッターに収めた。

 表紙を飾るのは、鮎川出身の砲手木村伸也さん(35)がミンククジラに捕鯨銛(もり)を打ち込む一瞬。西野さんは「限られた乗船日にチャンスをつかまなければいけない。船の期待を背負う砲手はそれ以上に緊張しているのがカメラ越しに伝わってきた」と振り返る。

 双眼鏡を使い、マストからクジラを探す船員も写す。「いた!という一声が勝負の合図だった」と西野さん。他の漁業と比べ、探索や捕獲など重要な作業を人間が担う点に魅力を感じるといい、「先祖代々の技術を誇りにしている姿に胸を打たれた」と語る。

 船や陸上で一息つく船員の表情はどれも柔らかく、厳しい漁の中にある充足感をうかがい知れる。まな娘から贈られた絵を飾った船室や、実際に使われた銛、大包丁を振るう解体の様子なども捉え、あらゆる角度から捕鯨文化を理解できる一冊に仕上がった。

 捕鯨の歴史や現状、漁にまつわるさまざまな作業、クジラの特徴などについて、自身がつづった文も掲載する。西野さんは「初めて捕鯨を知る人にも分かりやすいよう作った。普段食べているクジラについて知りながら、船員が生産者として抱いている誇りを感じてもらいたい」と話した。

 西野さんは大学卒業後、東京の広告制作会社でカメラマンとして勤めた後に独立。漁業や狩猟など、人と野生の関わりを主なテーマに撮影を続ける。日本独自の狩猟文化として関心を持ち、16年から捕鯨船での撮影に取り組む。

 「鯨と生きる 北海道編」は7月、17年に出版した「千葉編」に次ぐ第2弾として発売。A5変型判、60ページ。捕鯨の様子や船員へのインタビューなどを収録したDVD(20分)が付く。3300円。発行元の立夏書房のウェブサイトや書店注文などで購入できる。

「鯨と生きる 北海道編」写真家・西野嘉憲 | 立夏書房
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