合格実績足すと東大合格者超える予備校界の不思議 駿台の公表取りやめの波紋と各社の思惑
令和8年度の大学入試から合格者数の公表を取りやめるというある予備校の発表が、予備校業界に波紋を呼んでいる。多くの受験生が複数の塾や予備校に通うため、単独の教育機関における合格者数を公表する意味が薄れたというのがその理由だが、予備校側にとってみれば合格者数は成果を示す重要な指標だけあって、追随する予備校が出るかは不透明だ。 【高校別ランキング】2025年の東大理Ⅲ合格者数 合格者数の発表を取りやめることを発表したのは駿台予備学校(駿台)を運営する駿河台学園(東京)。合格者数は「塾や予備校にとって信頼や実績の象徴」としながらも、主要な塾や予備校の合格者数の合計が東大の一般選抜前期日程の合格者を上回り、信頼性が形骸化していると説明した。 実際に7年度の大手予備校の東大合格者実績をみても、駿台(1351人)、河合塾(1174人)、東進ハイスクール(815人)。この3社の東大合格者数実績を合計しただけでも、3340人と実際の東大合格者の2997人を上回る。 東大合格者を出している予備校はほかにも多くあるため、予備校の東大合格者実績の総計はもっと多くなるとみられる。 ■水増しのカラクリ なぜ、こんなことが起きるのか。予備校の場合は、科目ごとに受講する学校を変えるなど、かけもちすることが可能だ。例えば、英語はA予備校、数学はB予備校といった具合に複数校へ通っている受験生もいるため、合格実績も複数校で計上されることはあるという。 また、予備校によって合格実績に計上する基準が異なっているケースもあるという。 現役生は、通学している高校もある。高校の授業を聞きつつ、複数の予備校をかけもちしたり、入れ替えたりしながら受験に臨んでいるという場合もある。 駿台は、このような状況のなかで、予備校の合格実績として人数を公表することに意味はなくなったのではないか、という判断をしたということになる。 こうした決断をしたのは駿台だけではない。代々木ゼミナールも「大学入試は年々多様化しており、合格者数だけでは、教育の本質や価値を測ることは難しい」として平成27年から合格者数の公表を取りやめている。 担当者は「予備校選択の指標として合格者数を示すのが業界の慣行だった」と話す。現在は人数を発表してはいないが、卒業生のインタビューなど具体的な実績事例を発信することで、数字では見えない信頼性の実績を伝えたい、としている。