「悪魔のような制度」自治医大・修学金等3766万円の“一括返済”巡り卒業生の医師が「違憲」主張 大学側は否定し“反訴”予告
退職後、大学側が一括返済を要求「悪魔のような制度」
A氏は目指していた国公立大学の受験日に“かぶせられる”形で、愛知県庁に出向き自治医大の入学手続きをするよう指示されたという。 「自治医大の募集要項には国公立大の受験を禁じるなどと書いてあるわけでもなく、手続きの日程変更もお願いしましたが、断られてしまい、結果、私は国公立大学の大学受験を断念しました」(A氏) A氏は卒業後、愛知県職員として研修医になったものの、父親の失職や就労困難な自閉症の弟、妻の妊娠による扶養負担増で経済的に困窮。 一般的な研修修了医師の場合、年収約900万円にプラスして、アルバイトで360万円程度が得られるとされるが、A氏の場合は地方公務員身分のためアルバイトは禁止されており、月収は約43万円に限られた。 A氏は弟の介護や収入面などをふまえ、毎年勤務先が変更される可能性のある指定公立病院等での勤務を継続することは厳しいと考え、2023年5月23日、愛知県に対して2024年3月31日で退職する旨の退職届を提出。 しかし、愛知県側は同日、A氏に対し、退職届を提出するのであれば、臨床研修修了医師となるために不可欠な知多厚生病院での臨床研修は継続できなくなると説明し、退職届の受理を拒否した。 ところが、同年8月末、県側から事実上の解雇(形式上は依願退職)を通告され、2024年3月末に病院を退職。結果、A氏は修学資金2660万円に加え、年10%の損害金1106万円(合計3766万円)の一括返済を求められた。 こうした経緯から、A氏は自治医大側と愛知県側を提訴。今年3月5日に行われた提訴時の会見では「無知な受験生を囲い込んで、卒業後、退職の自由を奪った上、不当な労働条件で使いたおす、まさに悪魔のような制度」と非難し、代理人の伊藤建弁護士も「医師不足解消は大事だが、手段は適法でなければならない」と強調した。 【関連記事】「無知な受験生を囲い込む、悪魔のような制度」自治医大の修学金貸与制度巡り卒業生の医師が提訴