「悪魔のような制度」自治医大・修学金等3766万円の“一括返済”巡り卒業生の医師が「違憲」主張 大学側は否定し“反訴”予告
「最大の問題点は細部の説明不足」
もちろん、A氏自身、自治医大が僻地医療に携わる医師を充足させるための大学だと、受験前から十分認識はしていた。 「この大学を受験し、合格した際には、将来僻地医療で役立つ医師になるのだろうなと、高校生ながらに考えてはいました。 国公立大学の受験を断念せねばならなかったという葛藤もありましたが、最終的にはその点については分かった上で受験・入学をしています。 ただ、今回私が問題に思ってるのは、卒業後の細かい労働条件等についてはあまり説明がされなかった点や、在学中に卒業後のキャリアについて、後出しのような形で、診療科が選べなくなったといった点です。 加えて、入学の前に、具体的な給料の話や将来の勤務先となる、病院の候補についての説明もおぼろげにはあったかもしれませんが、そもそも勤務先を自由に決める余地はなく、どこかを希望したとしても、勤務先は県の『鶴の一声』で変えられてしまう、という細かい説明まではありませんでした。 こうした説明不足が私の考える最大の問題点です」
原告側「居住・移転の自由等に違反するおそれ」指摘
原告側が主張する争点は大きく3つの論点に分かれる。 第一に、A氏が勤務する病院を一方的に指定し、そこでの勤務を強いるのは、居住・移転の自由(憲法22条1項)等に違反するのではないかという論点だ。 第二に、労働基準法14条1項では、労働契約について、医師の場合は期間の定めのないものを除き原則として5年を超えてはならないと定めているにもかかわらず、原告の場合は10年以上の拘束が要求されているという問題だ。 第三に、労働基準法16条では「使用者は、労働契約の不履行について違約金を定め、又は損害賠償額を予定する契約をしてはならない」と定めており、「退職する場合にはお金を払え」といった規定を設けることは禁じられている。 また、原告側は上記の論点と併せて、損害金とその利息についても違法であると主張。一般的な奨学金と比べて、10%と高い利息が定められている点や、損害賠償の予定あるいは違約金について、平均的な損害を超える部分については無効と定めている消費者契約法9条1項などに反することなどを理由として挙げている。